「アンドロイドと人間の共闘」エイリアン ロムルス かなり悪いオヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
アンドロイドと人間の共闘
どうも『プレデター:バッドランド』が面白そうなので、劇場に行く前の予習として本作を鑑賞することにした。えっ、プレデター•シリーズじゃないの?と不思議に思う方がいらっしゃるのかもしれないが、過去に『AVP』なるキワモノ映画が作られた経緯のみならず、この“ロムルス”も“バッドランド”もSFアクション映画界のレジェンドとして崇められているジェームズ•キャメロンに縁の深い作品のような気がするからである。
『エイリアン•シリーズ』ではお馴染みの悪徳軍産複合体ウェイランド&ユタニ社に搾取された若者たちが、“太陽”を拝むために放棄された宇宙船に潜入し、そこで例のバケモノたちに襲われるといったストーリー。随分昔に観た映画シリーズなので記憶も不確かなのだが、リドリー•スコットというよりも、ジェームズ•キャメロンが監督した“2”により雰囲気が似ている。
“バッドランド“に登場するWU社製アンドロイドも、本作における重要なキャラクター合成人間アンディ(デヴィッド•ジョンソン)と半身のルーク(顔が1のアッシュにそっくり⁈)を掛け合わせたような存在らしい。スコットが手がけたシリーズでは、ゼノモーフを会社のために利用しようとするアンドロイドを人類の“敵”として描いているが、本作のアンディは主人公レイン(ケイニー•スピニー)を献身的にサポートする良き“弟”として登場する。
T2以来、サイボーグないしアンドロイドと人類の共生を描くことが多かったキャメロンの影響大と見て間違いないだろう。その他細かいシーンや台詞回しのオマージュについては、他のサイトに五万と出ているので是非そちらを参考にしていただきたい。本稿では、時系列的にエイリアン1と2の中間に位置付けられた本作が、なぜ“ロムルス”と名付けられたのか。その謎に迫ってみたいのである。
劇中では、ゼノモーフたちのDNAから合成した禁断の液体が保管された宇宙船の区画を“ロムルス”と呼んでいた。強力な宇宙放射線を浴びても植民地でちゃんと働けるように、人間のDNAを強化する逆コロナワクチン⁈といったところだろうか。ローマ帝国建国の祖と伝えられるロムルスには双子の弟レムスがいて、本作のレインとアンディの関係を彷彿とさせるのである。
おそらくは、ローマ古代史に詳しいリドリー•スコットの入れ知恵だろうが、軍神である父親に捨てられて雌狼に育てられた兄弟はやがて父親を殺し、テベレ川のほとりにローマ(ロムルスから派生)という都市を建設するのである。レインとアンディの姉弟が敢然と立ち向かったのは、WUという自分たち若者を搾取するブラック•カンパニーであり、そこが軍事利用しようとたくらむエイリアンたちだ。
WUに忠誠を誓うルークのメモリーを受け継いだアンディが、オヤジギャグ大好きな2等アンドロイドから覚醒し、エイリアン対応をめぐって一時はレインたちと対立するくだりも史実に似ているといえば似ている。自分たちの親だと思っていた会社には裏切られ、搾取から逃れるためには惑星移住するしかないと考える若者たち。そんな若者たちを目の敵にするゼノモーフたちは、やはりDSのメタファーなのだろうか。
アメリカ副大統領のヴァンスが、「現在のアメリカの状況は、ローマ帝政末期の頃ととてもよく似ている」と冷徹な分析をしていたが、リドリー・スコットもまた“アメリカのローマ化”に気がついていたのではないだろうか。(1を思い出させる)宇宙船最下層をバケモノごと切り離すことによって、なんとか生き残りに成功するレインの姿は、分断化したアメリカの将来を予測しているかのような気さえするのである。
そのラスボスとして登場するバケモノが、かつてシガニー•ウェーバーが捨て身で闘った“クイーン”とは似ても似つかない、◯◯の姿をしているのも非常に意味深だ。かつてアメリカの大学に通っていたナオキマンが、経済的にも精神的にも日本以外生活できる場所が見当たらないと語っていたが、その日本でさえも150万人もの働きざかりの若者が自宅に引き篭もって鬱に苦しんでるという。世界中探したって70過ぎても元気で働いているのは日本人だけらしい。
この映画のせいで、かつて外国人という意味だけだった“ALIEN”に異星人という意味が加わったのは有名な話だが、日本に観光に来ている外国人に言わせれば日本の働く老人は異星人そのものだろう。働く老人たちにフェイスハガーが取りつていて、チェストバスターの代わりにシワシワの胸から生まれてくるのが働かない若者だった、というオチの新シリーズはいかがなものでしょうか。そんな映画誰も観ないか。
