劇場公開日 2024年9月6日

「ファンイベントに感じてしまう」エイリアン ロムルス kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ファンイベントに感じてしまう

2024年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

オマージュ的な要素が散りばめられ、ファンは喜ぶだろうが、エイリアンのコンテンツ自体がすでにイベント化されてしまい、一本の映画としては新しさを感じない。
大ヒットしシリーズ化され、熱狂的なファンがついているコンテンツは仕方ないのかもしれないが。
ウェイランド・ユタニ社が開発した、太陽の光が無い劣悪な環境のジャクソン星の鉱山で働くレイン(ケイリー・スピーニー)は亡き父が残した旧式アンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)と暮らしている。
レインは労働契約が終われば環境のいいユヴァーガ星に移住を希望していたのだが、ユタニ社に契約を不当に延長され途方に暮れていた。
そんな中、仲間が衛星軌道に放置された廃船にあると思われる冷凍休眠装置を盗み出してユヴァーガ星に脱出しようと持ちかける。
ここまでの流れはSF映画のプロローグとして面白い。
ただ、結局この廃船がエイリアンの巣窟で、いつもの追いかけっこサスペンスフォーマットが展開するという流れ。
エイリアンファンはさあ来た、というところで、それがエイリアンの真骨頂と言ってしまえばそうなのだが。
世界観は1作目を踏襲し宇宙船の造形、エイリアンの造形も素晴らしくファンは納得の出来ではないだろうか。
タイトルにもなっているギリシャ神話のロムルスを背景として掘り下げればストーリーに深みが出たのではないか。
旧式アンドロイドのアンディが準主役として出色。
AIは雇い主に従順であり、心があるわけではないが、人型である場合、心があるように錯覚してしまう危うさはサブテーマになっているように思えた。
そろそろフォーマットから抜け出す新しいエイリアンが観てみたい。

kozuka