ブルーエンジェルズのレビュー・感想・評価
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5・4・3・2・1、ブルーエンジェルズ・アー・ゴー✈️ 大人の社会科見学的な楽しさはあるものの、プロパガンダの領域からは脱せず。
アメリカ海軍所属のアクロバット飛行隊「ブルーエンジェルズ」の活動に密着したドキュメンタリー。
製作は『アルマゲドン』(脚本)や『スター・ウォーズ』シリーズ(監督/脚本)で知られる、名匠J・J・エイブラムス。
音楽総指揮は「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」や『トップガン マーヴェリック』の、巨匠ハンス・ジマー。
3,700人いるという海軍パイロットの中で、僅か6人のみが所属する事を許される精鋭部隊「ブルーエンジェルズ(発音的にはブルーエンジェル“ス“が正しい様な気がする…)」。その活動実態とチームの内実に迫る。…のだが、まぁぶっちゃけ米海軍の宣伝、言葉を選ばずに言えばプロパガンダの範疇の作品である。
昔、海軍特殊部隊「Navy SEALs」の選抜訓練、通称「BUD/S」に密着したドキュメンタリー番組を観た事がある。「教官:2番とは何だっ!!」「訓練生:負けの1番ですっ!!」などのパワーワードが続出する、正にこの世の地獄の様な壮絶な内容で、「こんなん放送したら志願者激減するべ…😰」と心配したものだが、本作はそれとは真逆の綺麗ーっで華やかーっで爽やかーっなパイロット物語に仕上がっている。
勿論、ブルーエンジェルズに所属するのはエリート中のエリートな訳だからそんな泥臭い訓練をしなくて良いのだろうし、そもそもこの部隊の存在意義は広報活動にあるのだから、観る人がドン引きする様な部分を外部に晒す訳がない。本作の様に「家族愛・愛国心・使命感」を前面に押し出した内容になるのは必然っちゃ必然で、本当にブルーエンジェルズのナマの姿が描かれているのかどうかは疑問が残る。カメラの外ではもっとドギツい訓練やシゴキがあったりしてね。
ブルーエンジェルズの隊員は皆、子供の頃にブルーエンジェルズのアクロバットを観た事でパイロットを夢見る様になったと語っている。いつの時代も、カッコ良いパイロットは子供達の憧れの的なのだ。
ブルーエンジェルズは軍隊というよりは「サンダーバード」や「ウルトラ警備隊」の様な、SF特撮のスーパーチームに近い。ブルーとイエローのパリッとした軍服に身を包み、大空を自由かつ規則正しく飛び回る彼らの姿を見れば、そりゃあチビっ子は大喜び。「僕も将来はパイロットになりたいっ!」と言い出すのも無理はない。
ドローンの登場により戦闘機乗りの居場所はなくなるなんて言われているが、本作を観る限り、少なくとも優秀なリクルーターとして未来永劫パイロットという職は残っていくのだろう。
米国人でない自分はいささか居心地の悪さを感じたが、ブルーエンジェルズが世界最高クラスの飛行隊であるのは否定しようがない。一糸乱れぬダイヤモンドフォーメーションを、わずか12インチの機体差でやってのける。彼らの人間離れしたテクニックに驚愕すると共に、それほどの技術を体得するのに費やした努力と鍛錬に畏敬の念を抱かずにはおれない。
余談だが、暴走族には「タバコ」という、先行車との車体の間隔をタバコ一本分にして走るテクニック…というか度胸試しがあると聞いた事がある。規律の無い暴走族と、規律と責任感の塊であるブルーエンジェルズが結局はおんなじ様な事をしているというのは面白い。スピードに取り憑かれた人間の考える事は一緒なのね。
『トップガン マーヴェリック』(2022)を彷彿とさせるコックピット内の映像も臨場感を高める。マスクも耐Gスーツも着用しない、隊員たちの生身のアクションの凄まじさが観客にも伝わってくる様だ。
自分は航空自衛隊所属のアクロバット飛行隊「ブルーインパルス」すらまともに観た事がない、完全なる戦闘機弱者なのだが、それでも「おーっ、すげー!」なんて感心してしまったので、戦闘機オタであれば興奮しっぱなしの90分になるかも知れない。
もっと隊員たちのケミストリーや、起伏あるドラマが見たかったが、まぁドキュメンタリーである以上そこをこれ以上求めるのは酷か。
日本ではAmazonプライム独占配信の様なのだが、テレビではなく映画館の大画面で観ていれば、もっと評価は上がっていたかも。テレビだと超絶飛行の迫力が十全には伝わらない。やっぱこう言うのは大画面と爆音が大事っすよねー。
戦闘機に興味がない自分の琴線には触れなかったが、ブルーエンジェルズのカッコ良さはしっかりと伝わったので、海軍のPR活動としては大成功なのではないでしょうか。
大人の社会科見学として海軍エリートパイロットの世界を覗き見してみるのも一興です♪
因みに、製作には『トップガン マーヴェリック』のハングマン役ですっかりお馴染みとなった俳優、グレン・パウエルが名を連ねている。彼は『ディヴォーション:マイ・ベスト・ウィングマン』(2022)でも戦闘機パイロットを演じており、もはや彼とパイロットは切っても切り離せないものとなってしまっている。今後もパイロット俳優の第一人者として世間を賑わせてくれる事だろう。
空撮の迫力満点
アメリカ海軍のアクロバット飛行隊ブルーエンジェルズの訓練の様子や航空ショーを綴ったドキュメンタリー、海軍協力の実写だからリアリティは凄い。
ブルーエンジェルズは1946年にチェスター元帥が海軍にも飛行隊があることを示すために創設、以後プロペラ機から最新ジェットまで長い歴史、本作に登場したのはF/A-18ホーネット、アクロバットの航空ショーは毎年4月から11月まで全米34箇所で70回以上行われるらしい。映画は主に 2022年のデモンストレーションチームのメンバーを紹介、演出やCGなしでパイロットの技能の壮絶さを見せてくれます。
アクロバット飛行と言えば日本でもブルーインパルスが有名、特に東京オリンピックでカラースモークで描いた五輪は今でも記憶に残ります。本作ではカラースモークは出てきませんでしたから日本独自のお家芸なのでしょうかね。
時速650kmで編隊飛行での機体の近接距離は45cmと言うから無謀でしょう、いくら全米から募った優秀な超ベテランパイロットたちと言えど事故も少しはあるようで映画でも2016年のジェフワース大佐の墜落事故を紹介していましたが基本、海軍のPR映画なのでマイナス面は控えめです。飛行中にかかる重力は7.5G、遠心加速器での訓練ではブルーエンジェルズ初の女性パイロット、アマンダ大尉も気絶していましたね。見どころは編隊飛行もさることながらコックピットから見える空撮の迫力でした。
本物のIMAXのための映像作品
タイトルなし(ネタバレ)
亡父に駄々をこねて、自衛隊の展示や靖国神社の展示には、連れて行って貰った。しかし、最後まで、ブルーエンジェルの曲芸は見る事が無かった。
サンダーバードの熱烈なファンとしては、ブルーエンジェルのアクロバット飛行が見たくてたまらなかった。
親父は「良く考えろ。人を威圧する殺戮の道具だぞ」と言っていた。
今は理解出来る。
ブルーエンジェルス。ブルーが背後の青空と一体になって美しい。味方の合衆国国民にとっては天使かもしれないが、敵にとっては、青い堕天使ダネッ。まぁ、敵に回したくない人達ダネッ。
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