「「なめてた相手が実は…」的ホラー映画として、怖がらせるというよりは楽しませる(ギャグという意味でなく)ことに注力した一作」アビゲイル yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
「なめてた相手が実は…」的ホラー映画として、怖がらせるというよりは楽しませる(ギャグという意味でなく)ことに注力した一作
相手を見くびっていた犯罪者グループが返り討ちに遭う、という物語は、勧善懲悪ものの変形としておなじみのテーマですが、か弱い令嬢と思ったら吸血鬼を誘拐しちゃった、という本作はまさにこうした、「なめてた相手が実は」的映画(そういうジャンルがあるとすれば)の典型です。
「狩る」側と「狩られる」側の立場がたびたび引っくり返る展開の面白さは、本作の肝だけに見ごたえ十分。それに加えてアビゲイルに扮するアリーシャ・ウィアーは、バレエの動きを取り入れたワイヤーアクションも果敢にこなす熱演で、ちゃんと狡猾さと恐ろしさを醸し出していました。
さらに、誘拐のために一時的に集ったはずの面々には実は共通した背後関係があった、といった設定を入れ込んでいたり、何気ない言動で人物像を掘り下げてみせるなど、あらすじだけ聞いたら企画勝負の作品のようでいて、実はしっかり観客の注意力を保つための配慮が行き届いた作品なのでした。
全体的にはおおよそ予期できてしまう範囲での展開となるため、奇想天外などんでん返しの連続!を期待するよりも、登場人物同士の掛け合いや吸血鬼と戦う際の創意工夫を楽しむ見方がおすすめかも。
結末でちゃんとゴシックホラー的要素を入れ込んでくれたところはちょっと嬉しかったです!
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