「スプラッターよりも不潔さがダメな人はキツい映画かもしれません」アビゲイル Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
スプラッターよりも不潔さがダメな人はキツい映画かもしれません
2024.9.19 字幕 MOVIX京都
2024年のアメリカ映画(109分、R15+)
訳あり少女の誘拐によって、未曾有の事態に巻き込まれる犯罪グループを描いたスプラッター系ホラー映画
監督はマット・ベティネッリ=オルラン&タイラー・ジレット
脚本はスティーヴン・シールズ&ガイ・ビューシック
物語の舞台は、ヨーロッパのとある町(ロケ地はアイルランドのダブリン)
麻薬中毒から立ち直りつつある元陸軍衛生兵のジョーイ(メリッサ・バレラ)は、ある計画に参加していた
それは、12歳の少女アビゲイル(アリーシャ・ウィアー)を誘拐して身代金をゲットしようという作戦で、誘拐自体は予定通りに行われた
ジョーイたちは、リーダーのランバート(ジャンカルロ・エスジポート)の命令により、彼女の住む屋敷へと向かい、そこでアビゲイルを監禁することになった
参加したのは、元ニューヨーク市警の刑事・フランク(ダン・スティーヴンス)、元海兵隊の狙撃兵・リックルズ(ウィリアム・キャトレット)、ハッカーのサミー(キャスリン・ニュートン)、地元のギャング・ピーター(ケヴィン・デュランド)で、彼らの護送にディーン(アンガス・クラウド)があてがわれていた
監禁は12時間、その後にアビゲイルの父(マシュー・グッド)との取引が行われるはずだった
だが、ディーン、リックルズが何者かに殺され、その屋敷には何者かがいるのではないかという空気が立ちこもる
また、アビゲイルの父が実は裏社会の大物クリストフ・ラザールということがわかり、さらに不穏な空気が漂い始めるのである
映画は、誘拐した少女が実は吸血鬼で、その父も吸血鬼でした、という内容で、アビゲイルを監禁していたと思っていたものの、実は反対に監禁されていた、というテイストになっていた
この時点での生き残りは、ジョーイ、ピーター、サミー、フランクの4人で、彼らは「吸血鬼について知っていること」を共有しあったりする
そして、心臓に打つ杭をビリヤードのキューを加工するなどで応用し、日が昇る時間まで耐えようと考える
映画は、単純なスプラッターホラーで、これまでの吸血鬼のイメージを踏襲する内容になっている
特徴的なのは、日光浴びたらバーン!とか、杭を打たれたらバーン!という、ド派手な死に方だろうか
噛まれたら操り人形ヴァンパイアになるのだが、そのあたりの設定も非常にわかりやすく、噛んだヴァンパイアが死んだら吸血鬼化しない、というものになっていた
予告編で「アビゲイルがヴァンパイア」ということがわかっているので、ヴァンパイアになるまでが長く感じる
だが、正体を表してからはすごいスピード感になってくるので、待ってました!という感じに仕上がっているのではないだろうか
いずれにせよ、ヴァンパイア映画の基本的な要素が満載で、配役の勝利と言えるほどに主演のなりきり具合がハマっていた作品だと言える
ラストに登場する父親の存在感も圧倒的で、娘の言うことはちゃんと聞くところは面白い
スプラッター自体は大丈夫でも、死体プールに浸かったサミーがそのままの服で行動しているとか、血まみれのジョーイがそのまま車を運転するとかの方がキツいと思う人が多いかもしれません
一昔前のホラーだったら、サミーはシャワーを浴びるサービスショットを披露する役で、そこでピーターが殺されると言う展開になったのかな、とか余計なことを考えてしまった
ニンニクと玉ねぎの違いがわからないのもツボで、所々に配置されている真剣なギャグも良かったのではないだろうか