「クセの強い映画を期待していたのに、あっさりしていて物足りない」アンジェントルメン tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
クセの強い映画を期待していたのに、あっさりしていて物足りない
無法者の集団が決死の任務に挑むという展開そのものに目新しさはないのだが、船で目的地へと向かう特殊部隊の状況と、敵地に潜入したスパイたちの活躍がそつなく描かれていて それなりに楽しめる。
ナチスの兵隊たちを虫けらのように皆殺しにしていく様子からは、「敵の弾は当たらないのに、こちらの弾は百発百中」みたいな荒唐無稽さを感じないでもないが、マカロニ・ウエスタン風のBGMと相俟って、B級アクション映画としての面白さが味わえるようになっている。
ただし、激しい銃撃戦や派手な爆発といった見せ場はあるものの、高難度のはずだった作戦が、これといったトラブルもないまま、あっさりと成功してしまうところには、何だか拍子抜けしてしまった。個性的な「ならず者」たちが、それぞれの特技を活かして活躍する姿ももう少し見たかったし、ラストが、主人公と敵のラスボスとの「一騎討ち」になっていなかったところも残念だ。
期待した割には、ガイ・リッチーらしいトリッキーな演出や、ジェリー・ブラッカイマーらしいスタイリッシュな映像が、影を潜めてしまっているところも物足りない。
イアン・フレミングやMが出てきた上に、「主人公が007のモデルになった」と説明されても、髭をたくわえたヘンリー・カヴィルはワイルド過ぎて、タキシードの似合うスパイのイメージからは程遠いと言わざるを得ない。
どうせなら、主人公のキャラクターを、ショーン・コネリーが演じたジェームズ・ボンドに寄せた造形にしていたら、もっと面白くなっていたかもしれないと思ってしまった。
ヘンリー・カビルは、かつて、ジェームズ・ボンド役の候補になっていたこともあるのに、どうして、あんな髭モジャのキャラクターにしてしまったのか、残念でなりません。