「初七日の意味だけググった方が良いけれど、だから何?という感じになっているのは微妙」呪葬 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
初七日の意味だけググった方が良いけれど、だから何?という感じになっているのは微妙
2024.7.18 字幕 アップリンク京都
2022年の台湾映画(103分、G)
祖父の葬式のために帰った疎遠の娘が奇妙な出来事に晒される様子を描いたホラー映画
監督はシエン・ダングイ
脚本はチャン・ケンミン
原題は『頭七』で「初七日」、英題の『The Funeral』は「葬式」という意味
物語の舞台は台湾の田舎町
家族の反対を押し切って娘チンシェン(ウー・イーファン)を出産したチュンファ(セリーナ・レン)は、祖父ティエンヤオ(ヴェイト・テン)の死に際して、葬式に参加することになった
だが、家族との関係は冷え切っていて、父チュアンツァイ(チェン・イーウェン)、母ユージェン(シェリー・ワン)、姉チュウファ(ジーン・カオ)たちは追い出すように冷たくあたってきた
唯一の理解者は、父の異母弟で叔父のチュアンデ(ナードゥ)だけで、彼の友人のミン(チェン・ジアクイ)が葬式を執り行う事になっていた
初七日が終わるまでは祖父のそばに居ようとするチュンファだったが、夜な夜な奇妙な夢を見始める
また、娘は得体の知れない存在を感じるようになっていて、誰かに監視されているようだと言い出す
家族は誰もが難癖をつけてきて、姉と大喧嘩になったチュンファは、やむを得ずに娘を連れて実家を離れる事になったのである
映画は、呪術系ホラーということで、いきなり出てくるとか、禍々しい映像が登場するというわかりやすいものになっていた
初七日という意味のタイトルで、この意味を知らないと映画の意味がわからない
仏教圏特有の風習としても、その意味を知って使っている人の方が少ないように思える
初七日とは、故人が三途の川に到達する頃合いを言い、この日を越えると故人はあの世へ行ってしまうという境目になっている
なので、この期間は映画における守護的なことができる期間になっていて、チュンファたちを助けることができる期限となっている
これが映画内でほとんど説明されないので、何が起こっているのかは非常にわかりづらい感じになっていた
家族を殺した犯人たちにとっては、初七日を越えるとチュンファたちを守護するものがいなくなることになる
それゆえに、その影響を打ち消そうとしているように思えるのだが、実際には彼らもよくわかっておらず、チュンファたちが何に護られているのかも理解していないように思えた
犯人たちの動機としては、祖父を殺して、家族を一同に集めたところで積年の恨みを晴らすという内容になっていて、遅れて駆け付ける事になったチュンファたちが最後の生贄のような感じになっていた
犯人に殺された家族たちは、実家が危険だから去るようにという願いを込めて追い返そうとしているのだが、もっと効果的な方法はなかったのかと頭を抱えてしまう
どのような制約があって、犯人のことを教えられないのかなどの意味不明な点が多くて、その驚かしがチュンファを居座らせている格好になっているのは何とも言えないところだろうか
邦題が『呪葬』ということで、葬式が悪魔の儀式みたいなものかと思っていたが、全くそんなことはなく、葬式なのに身内以外が参列しないという不思議な光景にもなっていた
このあたりは、いわゆる家族葬ということなのか、台湾では当たり前のことなのかがわからないのだが、故人を偲ぶ習慣にそこまで偏りがあるとは思えず、よくわからない設定になっていたように思えた
いっそのこと、葬式に間に合わずに遅れて、そのせいで良くないことが起こっていると誤解する流れなら理解ができるのだが、映画からはそのあたりの流れが全く読めないのはキツいのではないだろうか
いずれにせよ、雰囲気は悪くないのだが、つくりがかなりチープで、全然怖くないのが難点
お化け屋敷のような感じで、驚かせ方も単純で、怖いシーンは夢でしたを連発するのも微妙だと思う
歌手のセリーナ・レンがすっぴんで演技に挑戦という文言が踊っていて、それを宣伝材料にしなければならないのは配給の苦慮するところだろうか
セリーナ・レンでググると呪葬関連しかヒットしないのでアレだが、任家萱でググるとどんな人かわかるので、気になる方はその変身ぶりを確認しても良いのではなかろうか