夏目アラタの結婚のレビュー・感想・評価
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結局最後まで夏目アラタに感情移入できなかった。
最初は殺されたお父さんの頭を探すのが目的でずーっと行くのかと思ったけど、それはあっという間に消えて純愛ストーリーに変化して最後の白無垢は何?と言う気分でエンドロールを迎えました。サプライズを作るための仕掛けもわかってしまうし、どう決着をつけるのかはてなマークが消えませんでした。でもなんといってもあの歯はやめて。映画は気持ち良くなる、もしくは気持ちよく終わるものだと思います。やるなら最後の白無垢では普通の歯でやってほしかった。吐き気がするくらい気持ち悪さが最後まで残りました。残念ですが、キャストには罪はないと思いますが次回作は見ません。
黒島結菜の怪演に引き込まれる
なんと言っても、朝ドラでの酷評を吹き飛ばすかのような、黒島結菜の怪演が光る。
ガタガタの歯をむき出しにした笑顔や、下からの照明で浮き上がる不気味な顔はホラーそのもので、こいつはサイコキラーに違いないと思わせるようなインパクトがある。
主人公の夏目が、初めての面会で、そんな真珠に結婚を申し込む冒頭の展開は、さすがに唐突感が否めないが、その後は、心の声を逐一モノローグで説明してくれるので、夏目が何を考えているのかは分かりやすい。
どうせ死刑囚なので、結婚しても、2人が触れ合うことはないのだろうと思っていると、裁判の過程で、真珠は決して冷酷な連続殺人犯ではなく、もしかしたら執行猶予が付いて、ラストで2人は結ばれるのかもしれないと思えてくるような展開になり、グイグイと引き込まれた。
家庭環境に恵まれなかった真珠には同情の余地があり、児童相談所の職員である夏目が、そんな真珠を助けようとして事件にのめり込んでいく様子には説得力があるし、観ている方も、真珠の無罪を信じたくなってくる。
実際、法廷の傍聴席にいる夏目に真珠が抱きつくシーンや、法律の抜け穴を利用して2人がバイクで逃亡するシーンでは、思わず胸が熱くなってしまった。
ただ、やり直し裁判の場で、真珠の証言によって明らかになった事件の全容は、決して後味の良いものではないし、そこで、夏目が、初めて真珠の「純真」を知るという展開にも、「もっと早く気付きなよ!」と突っ込みたくなる。
さらに、真珠が指摘したとおり、夏目は、「可哀想だから助けてあげたい」という気持ちから真珠に執着してきたはずなのに、それが、いつ、どうして、真珠のことを、一人の女性として愛するようになったのかがよく分からない。
ラストの結婚式のシーンも意味不明で、2人の幻覚なのかもしれないが、必要だったとは思えない。
その一方で、度々描かれてきた真珠の匂いフェチなところやX字型のマークが、2人の最初の出逢いに結び付くエンディングには、伏線回収の気持ち良さが感じられて、思わずニヤリとしてしまった。
獄中結婚
アメリカでは良くある話だと聞くが、日本でこの題材でどのように
話を進めていくのか?と疑問に思いながら引き込まれた。
冒頭の児童からの話から無理のない範囲で話に入れたのが良かった。
まあそれでもサイコパスであるのは確かだから、実質の結婚には
疑問符が付くが、映画の中の虐待、孤独、親ガチャ、じし願望
などうまくまとめてあったと思う。最近見た映画の中では
良くできていたと思う。エンドロールの映像で後味は悪くなかった。
途中までは...
何が真実で伏線がどこにあるのか。その見せ方が感情の見透かしだったり表情芝居の駆け引きもあり夢中になってみれた。
ただ、全てが良かったかというとあー。そんな事実なのね。というぐらいのものもありのめり込むほどでもない。
終わってみれば普通だったかなと。。。
テンポがよく最後まで引き込まれました
原作漫画は3巻くらいまで読んだコトがあった程度で観に行きましたが、ストーリー展開のテンポがよく、黒島さん演じる真珠の行動、言動が全て計算?それとも素?殺した?殺してない?と観ながらどっちだ?っと柳楽さん演じる夏目アラタ同様にココロが振り回されながら観てたらあっと言うまの2時間で楽しめました。殺人事件そのものではなく、あくまでもアラタと真珠のココロの読み合いが焦点になった演出になっている為、殺された人たちの「みんな死にたがっていた」という殺人に至る動機付けは説明不足で弱かった部分が気になりましたが、まぁ2時間と言う枠内に納めるには、削らざるを得ない点ではあったかなとは思いました。
漫画を再現したような黒島さんの顔芸、柳楽さんの目力演技はとても良かったです。ただ、どんな過去、理由があったにせよ、真珠コワッって気持ちは最後まで拭いきれなかったので、受け入れられるアラタも充分おかしい人なんだと思いましたw
結局、どこか似たモノ同士の恋のハナシだったんだろうなと言う感じです。
今回は堤監督のトガりすぎた演出も抑え気味で知らずに観たら堤さんが監督だとは気がつかないくらいだと思います。
【”憐れみの心から、真実の愛へ”哀しき死刑囚を演じた黒島結菜さんの前半はサイコパスの様な様々な顔芸に翻弄され、後半は彼女の真実の姿が明らかになる展開にヤラレタ作品。柳楽さんとの演技合戦作品でもある。】
■元ヤンキーで家庭に恵まれずに育った夏目アラタ(柳楽優弥)は、児童相談員。彼は、品川真珠(黒島結菜)にバラバラにされた3人の男のうちの一人の男の息子が”父の首を見つけたい。”と言う願いで文通していた事から、その息子に成り代わって刑務所に面会に行く。
初回の面会で真珠が興味なさそうに部屋を出ようとした際にで、咄嗟に”俺と結婚しようぜ”と言ってしまってから、彼は真珠に取り込まれて行く。
◆感想
・真珠が面会所で見せる、様々な表情とボロボロの歯が印象的である。時には子供の様な声で”僕、殺していないんだ。”と涙を流したり、イキナリ声が変わって恫喝してきたり、下からの光を浴びた顔を不気味に歪める表情は、ハッキリ言って気持ち悪いが、それだけ黒島結菜さんの演技が凄いのだろうと思う。
とにかく、嫌な気持ちで大画面に引き込まれる。
・アラタを演じる柳楽さんも怯みながらも、真珠にあの手、この手で真実を話させようとする姿は、流石である。
序でに言うと、私選弁護人を演じた中川大志さんも頑張っている。
■序盤は、完全に真珠が全殺人の犯人だろうと思いながら鑑賞してしまう。死刑囚と面会するのが趣味と言う不気味な男(佐藤二朗)の存在も、ミスリードに貢献している。
真珠がアラタを取り込もうとしていると鑑賞側は思わされているのだが、一点真珠はガラス越しにアラタの匂いを嗅ぐシーンや、留置所内で届いた手紙の匂いを嗅ぐシーンが映されている。
そして、殺された3人以外に、別な血液が真珠の部屋に有ったという点が気になる。
・後半の展開は面白い。真珠のネグレクト&精神破綻していった母は真珠を生む前に、子を生んでいたというトリックである。8歳時のIQの低さと後年のIQの数値が30以上も上がっていた謎が分かるシーンである。
・アラタは、徐々に真珠の哀しき過去に向き合い始めるのである。自身の幼い頃を思い出しながら。
その中で、アラタは真珠に対して持っていた”憐れみの心”が徐々に薄れ、彼女に本当に惹かれて行くのである。
■効果的なシーンとしては、元ヤンキーだった頃のアラタが雨が降る中、アパートの中に入れずに濡れていた太った女の子に傘を差し出し”風邪を引くなよ。”と声を掛けてポケットからハンカチを彼女に差し出すシーンであろう。
その太った女の子は、そのハンカチに顔を埋めて匂いを嗅ぐのである。
つまりは、アラタと真珠は過去に一度会った事が有り、真珠は疎外されていた自分に優しい言葉を掛けてくれた男がくれたハンカチの匂いを覚えていたのである。
故に、このシーンで序盤から真珠が矢鱈に匂いを嗅ぐ行為の意味が氷解するのである。
<今作は、トリッキーな箇所も随所にあるが、後半の展開がサスペンスから純愛ストーリーとして昇華する所が、良いのである。
アラタの真珠に対する”本当に愛おしく思う。一緒に生きて欲しい。”という言葉は、真実であろう。
哀しき出生の秘密を持った少女が、幼い時に声を掛けてくれた男と出会い、未来が開ける予感がする終わり方も良いと思った作品である。>
かつては悪ふざけが過ぎて作品を台無しにしてきた堤監督だが、
本作は真面目モードで上手く作品を纏めたと思ったのに、最後でこれまた台無しにしている。
結局、柳楽は幼き頃のヒロインに出会っている。
これは余計だろう。
確かに劇中、ヒロインが匂いを気にする伏線はあったものの、
これでは、
対等な立場で見てくれる相手を待っていたはずのヒロインが、
幼き頃に手を差しのべてくれた(可哀想と見た)相手を待っていた印象になってしまった。
これでは真逆の意味にならないか?
なんともスッキリしない作品だった。
そっちに落としたかあ
序盤から「この後どうなるの?」って感じで引っ張ってたんだけどね。ラスト、綺麗に収める方向にしちゃったかあ。
4人殺しても「同情』できる事情をだすのはいいんだけどさ、予告やら序盤で壮大なミスディレクションかけてるってことだよね?うーん、そういう予定調和な感じで終わらすのは、どうなのかな?
柳楽優弥の演技がやや作りすぎな感じというか自然じゃないよね。もしかしたらそういうキャラにして少し「コメディ要素」含ませてるのかもだけど。
あと、柳楽優弥の代表作と言ってもいい「誰も知らない」の設定を引き継いでる感じがして、そうだったら凄く面白い。
一方、佐藤二朗はギャグ路線の演技なんだけど、悪趣味な人柄を表すのに丁度いいバランスだった。あの全然笑えないけどわざとらしくもないっていうのは良かったな。
最後の連れ出しも「そういう仕掛け」を見せたいだけでなんか中途半端というか。そして最後の結婚式のシーンは壮大な妄想というね。真珠がバラバラにする意味もネタバラシのおかげで弱くなってるし。
もう少し振り切れた方が良かったんじゃないかなあ。まあ、でも途中まではワクワクさせてくれたから★4です。
黒島の怪演はよいが
黒島結菜の怪演は良かったが、十巻以上ある話を2時間に縮めて、アラタと真珠が互いに惹かれ合う姿を描くのは難しいと思った。真珠は子供時代の匂いの記憶があったのだが、アラタの気持ちが変わっていく様子は分かりにくい。まあ、男って少し危なっかしい子を魅力的に感じてしまったり、吊り橋効果で恋愛感情を持ったりして、私を含め、少しバカなのですが。
原作本を少し読んだが、漫画の真珠の方が絵がキレイで魅力的に感じる。
漫画原作を映画にするのであれば、巻数が少ないものの方が、脚本家や監督の味が出せる。「カラオケ行こ」や「ルックバック」は良かったので。
原作漫画既読組 終盤のオリジナル展開
原作13巻を2時間にまとめているので省略されるエピソードがあるのは理解した上で。それでも真珠が逃亡して海辺でアラタとデートするところまではすごく良かった。それ以降映画オリジナル展開になるのですが 濡れ場をみたいわけではないのですが、真珠に「しよう」と言わせておいて次のシーンで真珠から「お預け」って流れは意味がわからなかった。さらにあとからアラタが真珠を気づかってしなかった的な説明が入るのでこの部分はどうしてもノイズになってしまいました。直接的な描写は要らないので普通に「した」ことにしても全体の流れ的に問題なかったのでは?と思います。もしかしたら原作の感じ(したけどしてない)を再現したかったのか??
再審判決までをふくめて法廷劇としての流れは良かったと思います。原作の二人が心中未遂をはかる展開は共感できなかったので映画のおとし方の方が好きでした。
終盤の真珠とアラタの関係性の描写が雑(伝わりにくい?)に感じられたのが惜しいと思います。
新感覚ラブストーリーでした。
サスペンス或いはミステリー物かと思いましたが、結末は恋愛物でした。
真珠は最初から純愛だったけど、アラタは真珠に触発され最後に純愛に目覚めるという展開。
しかも二人は最初から運命の糸で結ばれていたとは。
死刑囚との恋愛というあり得ない設定でしたが、観終わった後、不思議な余韻に浸りました。何だろう、この感覚…。
柳楽(夏目アラタ)さんはちょいワルな児相職員役がぴったりハマってましたし、黒島(品川真珠)さんもサイコパスな役の熱演が良かったです。
最近は日々のニュースや映画の中でも毒親の存在が目立ちますよね…。 「あんのこと」もそうでした。
日本の親たちよ、しっかりしろ!! って思いました。
黒島結菜さん、よかったです!柳楽優弥さんはもちろん
10年くらい前のCM、NTT docomo『想いをつなぐネットワーク』編で彼を待つ、けなげで可憐な女子高生を見て「なんて可愛い女の子⁉︎」って思ったのが黒島結菜さんを知った最初だったと思います。
CM曲『SPICY CHOCOLATE「ずっと feat. HAN-KUN & TEE」』がとても印象的で今でも聴くとウン十年前の青春時代を思い出し年甲斐もなくキュンとします。(オヤジのキュンって気持ち悪いかも?)
その後、野菜ジュースのCMでも初々しい新社会人っぽい雰囲気に好感を持ち、近いところでは一人暮らしを始めることになりお父さん(松重豊さん)を寂しがらせておきながら、「遊びにおいでよ!」って喜ばせるツンデレの可愛い娘さんにとても好感を持ちました。でも家を出る理由が『島唄』の息子さんとのできちゃった事実婚かも⁉︎って思いとても落胆しました!(CMだってば!)
関係ない枕が続きましたが、それくらい私の中では黒島結菜さんはCM女優のイメージだったんですが今回の役どころは新境地というかこれからさらに羽ばたく代表作になる予感がします。『見えない目撃者』の吉岡里帆さんみたく。
お年寄りには自分を『ボク』って呼ぶのには違和感がありますが、それはさておき気迫満点の演技には驚きとともに彼女を見る目が大きく変わる作品でした。マウスピースや特殊メイク、ここまでやるとは『天晴れ』です。
柳楽優弥さんを翻弄する二転三転するキャラは本当にサイコパスっぽく、でもラストの展開や本当の初めての出会いの種明かしには少しホッとします。
柳楽優弥さんは想定通りで何の文句もございません!役所広司さんをして「やっと柳楽くんに追いつけた」と言わしめただけのことがあります。(この部分だけを切り取られ誤解を招いていると役所さんはおっしゃってましたが)
とにかく主役お二人のスクリーンいっぱいの表情合戦!監督曰く『顔面歌舞伎』はまさに言い得て妙です。最初の真珠(黒島結菜さん)登場シーンの闇の中に光る眼の不気味さ、その眼がまたクルクル変貌していく様は見応えがあります。
堤幸彦監督作品は私の中では当たり外れがありますが、今回は間違いなく『当たり』でした。隠し技・ネタがたくさんありそうなので2回目の挑戦も近々したいです。面白かったです。
追伸
いつものことですが封切り初日夕方の回、観客は最後列横並び両手で足りてしまいました!
繰り広げられる心理戦からの結末。ちょっと期待しすぎたかな。
原作は知りません。予告で見て堤さん演出だし面白そうだなと思い見てみましたが期待しすぎたか自分的にはいまいちでした。
得体の知れない不気味な品川ピエロを黒島さんが演じてますが、ちょっと自分としては違和感のある演技でした。ま、難しい役どころではありましたので。
役柄的に個人的には杉咲花さんが演じたらもっと化けていたかなーと思う感じでした。
ま、でも黒島さんも頑張っていたと思うし、決して下手ではないんですけど。
でも個人的にはこの役に対してもっと振り切ってやれるんじゃないかなーって思いました。
柳楽さんや中川大志さんなど出ている役者さんは安定の方々ばかりなのでそのあたりは安心して見れました。
ただ、なんというかストーリー的にはちょっとよく分からないというか、イマイチな感じがしました。
特に小ネタとかもなく堤さんの演出って感じもしなかったし、配信とかになったら試しに見てみる感じでいいかと思います。
可もなく不可もなくって感じです。
二人の演技があってこその作品
死刑囚にプロポーズという意外な設定に惹かれ、どんなオチなのかを知りたくて鑑賞したのですが、終盤に驚くようなどんでん返しは無く、設定の割にオチは意外と無難な方向に持って行った感じで、ラストはちょっと拍子抜けしました。(ある意味、どんでん返しが無いところに驚かされはしましたが…)
ただ、そんなことはどうでもいいと思えるくらい柳楽さんと黒島さんの演技が素晴らしかったです。映画を観てこれだけ演技に引き込まれたのは久しぶりです。お二人の演技を観るだけでも鑑賞の価値があると思います。
また、オチは無難とは言いましたが、終盤までの展開は全く読めず、二人の駆け引きにワクワクさせていただきました。
追記>
エンドロールの途中に映像が流れますのでお見逃しのないように。
あの時の“優しい”匂い。
3年前の秋に日本中を震撼させたバラバラ殺人事件の犯人“品川ピエロ”こと死刑囚の品川真珠と福祉課児童相談所職員の夏目アラタの話。
頭部が見つかっていない遺族の息子は父の頭部を探してあげたいという思いから、自宅に残されてる名刺の名、児童相談所の夏目アラタの名を勝手に使い、犯人の真珠と文通…、その文通のやりとりで真珠からアラタに“会って話したい”と…、そんなことから対面することになった真珠とアラタだったが…、対面してすぐ文通の文字と、顔、雰囲気のイメージが違い、即退室しようとする真珠に「俺と結婚しようぜ」とプロポーズする夏目アラタから始まっていく。(原作未読)
察しがよく頭がキレ他人の事を見透かす、ちょっと一枚上手な真珠と、そのキレのよさと察しの良さに気づき中途半端付き合いじゃ駄目だとホンキでぶつかろうとするアラタとみせるけど。
話が進むにつれ真珠から出た言葉「僕は犯人じゃない」ってワードからオヤジと名乗る奴が犯人?真珠は無実?犯人?と過るなか真珠の生い立ちが分かってくると真珠に少し情が入ってしまい無実であって欲しいって気持ちと、いやっ真珠が犯人だろと自分の頭の中で色んな複雑な気持ちに。
やり直し裁判で真相が分かり…、それから少し経ち真珠の前に顔を出したアラタからの優しい言葉には少し涙で。
終始流れる怪しいBGMと共に進んでくストーリーって感じで久しぶりにワクワクしながら鑑賞出来て楽しめた!真珠を演じた黒島結菜の怪演ぶりは見事!と、夏目アラタ演じた柳楽君のちょっと口の悪い感じのキャラはガンニバルを思い出させてくれてで、やっぱ柳楽君いいね~!
アラタ目線で騙されて、真珠目線でラブロマンスのかけらを拾おう
2024.9.6 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(120分、G)
原作は乃木坂太郎の同名漫画(小学館)
被害者の体の一部を探すために死刑囚と結婚することになった児童福祉司を描いたサイコミステリー&恋愛映画
監督は堤幸彦
脚本は徳永友一
物語の舞台は、東京の隅田川近辺
児童福祉司として働いている夏目アラタ(柳楽優弥)は、ある日、観察中の山下卓斗(越山敬達)が世間を騒がせている「品川ピエロ」こと品川真珠(黒島結菜、幼少期:木村心)と文通をしていたと聞かされる
さらに自分の名前で手紙を出されていて、とうとう「直接会いたい」という返事が来てしまった
卓斗はいまだに行方不明になっている父・良介(皆川暢二)の頭を探していた
そこでアラタは、卓斗の代わりに真珠と会うことになり、父親の頭を探すと約束を交わした
拘置所にて面会に至ったアラタだったが、真珠は初見にて入れ替わりを見抜いてしまう
焦ったアラタは「俺と結婚しようぜ」と言い出し、そこから奇妙な関係が始まってしまうのである
映画は、1日20分の面会の中で「頭の所在を探る」という内容になっていて、前半は心理サスペンスの展開を迎えていく
だが、報道で知る姿、私選弁護士の宮前(中川大志)から聞かされた人物像とは異彩を放っていた
報道された品川ピエロは太った大柄の女だったが、目の前に現れたのは「少女」とも見まごう小柄で華奢な女性だった
さらに真珠はアラタの言葉を鵜呑みにしているようで、結婚に前のめりになる一方で、何かを確認している様子が描かれていく
原作が今年の4月に完結したばかりで、企画段階では未完状態だったという
そこから原作者との綿密な打ち合わせを行なってシナリオを構築し、撮影に至った
映画は原作に忠実に作られていて、エピソードの取捨選択が行われている状態だが、そこまで違和感のある内容とは思えなかった
サスペンスとしても、次にどう展開が動くのかが読めない感じになっていたが、全編を通した感想だと、「アラタ目線だとミステリー、真珠目線だとラブロマンス」という二つの映画が同時進行していたことになる
訳あって2回鑑賞することになったが、初回はアラタ目線、2回目は真珠目線で観ることになった
映画は、ラブロマンスである要素も前半からきちんと描かれて、冒頭のイメージショットに登場する数々の「X」にも意味があった
このあたりがうまく繋がるところに、本作の面白みがあると言える
それでも、初回から真珠目線のラブロマンスとして観るのは無理に近いので、素直にミステリーだと思って観て、実はラブロマンスだったという感想を抱く方が良いと思う
それほどに、アラタと真珠の間には溝があって、それがラストシーン(ポストクレジット後のワンシーン)によって埋められるようにできていた
猟奇殺人犯と獄中結婚をする慣例とか、逮捕から起訴、棄却に至る流れにおける「ある落とし穴」というのは巧妙に構成されていた
実際に同じことができるかはわからないが、映画の真珠の目的を考えれば、漫画的とは言え許容の範囲のように思えた
いずれにせよ、主演二人の演技に助けられている部分は多いが、個人的には2度目も楽しめる内容で、悪くない出来だと思う
拘置所内の心理サスペンス、法廷におけるミステリー、さらに随所に散りばめられたラブロマンス映画のかけら
このあたりを堪能するには、集中できる映画館の方が良いかもしれない
原作ファンだとオチは知っていると思うので、2回目の鑑賞のつもりでラブロマンス要素を探しながら観るのも面白いかもしれません
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