劇場公開日 2024年9月20日

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「緻密なCGと骨太なストーリー、入門にも◎」トランスフォーマー ONE しゅわとろんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0緻密なCGと骨太なストーリー、入門にも◎

2024年10月2日
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鑑賞方法:映画館

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興奮

「トランスフォーマー」シリーズは映画は全て鑑賞済み。前作「ビースト覚醒」が個人的にかなり良い出来だった事もあり、ウキウキしながら映画館へと足を運んだが……何とも素晴らしい出来の作品だった。

本作はオプティマスプライム、メガトロンといった、言わずとしれたトランスフォーマー達の「過去」の物語である。サイバトロン星が滅ぶ前、オートボットもディセプティコンもまだ創設されていない。
前日譚、という位置付けになるがこれまでの映画シリーズに繋がるのかは明言されておらず(一部展開・キャラクターから、少なくともマイケル・ベイ監督の5作には繋がらない)、冒頭から世界観の成り立ちについての解説もあるので、完全な初見さんでも楽しめる親切設計になっている。表情豊かに動くキャラクター達も愛嬌があり、魅力的だ。

…であれば根っからのファンならどうだろう?答えは「もっともっと楽しめる」である。
ファンなら知らぬ者はいない両勢力のリーダー、オプティマスとメガトロン。この映画の序盤では親友の二人が、一体どのような経緯で敵対、やがては宿敵同士と化してしまうのか、それを見応えたっぷりのCGアニメーションと重厚なストーリーで描いてくれる。サイバトロン星を冒険するワクワク感もあり、これまでとは一味違ったトランスフォーマーが楽しめる。
さらに小ネタも豊富で、一部に名前だけ出るキャラクター達が、ファンにとっては「おっ!」とテンションの上がるポイント。私はアニメやコミックのシリーズには明るくないが、それらに親しんだファンは差異や共通点を探してみるのも面白いだろう。
またアニメーションでありながら、CGの迫力・緻密なディテールは映画シリーズに勝るとも劣らない。ド派手なCGアクションを期待する層にもお勧めしたい。

ストーリーの流れとしては前半はコメディタッチな楽しい冒険、後半はこれまでのシリーズを彷彿とさせるダークでシリアスな展開が待っている。楽しくてワクワクする前半があってこそ、観客は主人公オライオンパックス(オプティマス)にどんどん感情移入し、シリアスな展開に悲しみとカタルシスを強く覚えるのだ。中盤明かされる残酷な真実によってD-16(メガトロン)がダークサイドの道を歩み始める説得力もかなり強く、また同情を誘う。この映画でメガトロン推しになるファンもいるのではないだろうか。

スクリーン映えするド派手なCG&バトル、そしてカタルシスのあるストーリー。グロテスク・過激な描写もなく、ファミリーでも安心して楽しめるだろう。万人にお勧め出来る1本だ。

しゅわとろん