ボストン1947のレビュー・感想・評価
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孫基禎はソン・ギジョン
先に公開のソウルの春に続いて現代史の中の事実を基に脚色した韓国映画。粛軍クーデターネタのあっちと比べると、民間スポーツの話だけにエンタメ度は高く、テンポよく進むベッタベタな展開ながら、わかっちゃいるけど泣かされる。
三丁目の夕日的なアンバーな画面だったり、ボストンまで行くのに何回飛行機乗り継いでんだ?などあの時代へのノスタルジーも素直に味わえる。レースシーンのリアリティをあまり気にしない方向での感動演出には目を瞑るとしても、いくらなんでもその体型でマラソン選手ってのは無理がありすぎなんじゃないすか、ナム先輩…。
日帝の支配からやっと独立かと思いきや今度は米軍の統治、その後は朝鮮戦争で南北分断、さらには民主化までの長い道のり…と、そんな隣国の苛烈な過去をよそに経済成長を遂げてきた戦後昭和の我がジャパン。当時の絶好調ぶりのツケが今になって回ってきてるという気がしなくもない。
スポ根に史実にサクセスストーリー
とてもわかりやすい映画、しかも多少の予備知識もあったのに泣けました。
終戦後、日本から解放されたばかりなのにアメリカの管理下にあるという時代の韓国が舞台。
ベルリンオリンピックで韓国人ながら、日本代表として金メダル銅メダルだった2人が、指導者として祖国を背負ってボストンマラソンを目指す実話ベースな映画です。
日本人として複雑な思いになるシーンもありますが、決して反日な感じではなく当時の風潮を簡潔に表しているのでしょう。
指導者の2人と若き天才ランナーのやり取りが良くて、どうしてもそちらに感情移入してしまいます。
紆余曲折あってボストン入りしたのにさらなる受難が降りかかり諦めずに立ち向かう、その集大成としてのレースなんて、そりゃ泣きますよね!
実話ってところがまた感動が倍増です。
1日1回だけの上映でしたが、スキマ時間に鑑賞して良かったです。
アイデンティティ
内容的には感動。でも日本蔑視の盛り込みが心にささる。
全体的にはとても感動。
資金を調達し、ようやくたどり着いた大会。
昔はこういった助け合いってあった、という本当に親身な師弟関係。
いろいろな難題を克服しながら、とうとうボストンまで来た。
ラストランの、ころんだあとの足のふるえはどうやって演技になるのか。
すごくリアル。
そして、ハ・ジュンウのスーツ姿がかっこいい。
この映画でこの感想はどうかと思うが、本当に白い麻のスーツが良く似合う。
さすが主演俳優、と思った。
最初の、日本の国旗を手で隠して引退になったという点で、また日本蔑視の映画なんだとがっかりした。
韓国映画が好きなんだが、こういった部分が中国映画にもある。
子供のころから刷り込まれた日本蔑視の部分が、こんなところに出てくる監督の年代なのかな。
笑って泣けて手に汗握って大感動
1936年から1946年の韓国。
ソン・ギジョンとナム・スンニョンから、
ソ・ユンボクへバトンを繋ぐように、
祖国への思いを胸に、強い覚悟を持ってレースに挑む
マラソンランナーたちの姿を実話に基づいて描いたヒューマンドラマ。
日本人として胸が痛むところもありますが、
母国を大切に思う気持ちに、非常に心を揺さぶられました。
あの時代だからというのもあるのでしょうが、
今の自分に祖国に対して、こんな想いはないなぁ…と、
我がことながら少し残念に思ってしまいました。
監督の脚色による紆余曲折な展開の効果も感動を倍増させてくれましたし、
ラストのボストンマラソンのシーンは、実話なので結果は判っていても、
手に汗握る迫力で、ゴールした瞬間、泣きながら心の中で拍手喝采です。
ソン・ギジョンとナム・スンニョンの友情関係も、
ソ・ユンボクとの師弟関係も、温かくてステキでした。
補足ですが、
たまに、ソン・ギジョン役のハ・ジョンウさんが大鶴義丹さんに、
ソ・ユンボク役のイム・シワンさんが若いときの鶴見辰吾さんに、
勝手に脳内変換されてしまう時がありまして、ひとりツボってました。
祖国の国旗と国歌は言葉では言えない誇りがあるんだと
あの走りに全世界が感動の嵐
誇りをかけて走る
キャスティングが良い
期待以上!号泣!
難民国として、国際社会に復帰することの意味は、想像以上に大きなものだった
2024.9.5 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年の韓国映画(108分、G)
戦後の混乱期に国際大会に出場しようと奮闘した朝鮮マラソンチームを描いたスポーツ映画
監督はカン・ジェギュ
脚本はカン・ジェギュ&イ・ジョンファ
原題は『1947 보스톤』で「1947年、ボストン」、英題は『Road to Boston』で「ボストンへの道」という意味
物語は、1936年のベルリンオリンピックにて、日本人名・孫起貞として優勝したソン・ギジョン(ハ・ジョンウ)が描かれて始まる
彼は「日本人代表として走ったこと」をスピーチで強要され、日章旗を月桂樹で隠したことなどを理由に、マラソン界から追放されることになった
それから10年後、戦争が終わって日本の統治は終了したものの、今度は米ソによる管理体制に入る
ギジョンの功績はレース名を冠するまでになり、そのレースも10周年を迎えることになった
だが、ギジョンは酒を浴びて表彰式に遅れて来るなど、自堕落な生活をくり返していた
ベルリンの盟友・ナム・スンニョン(ぺ・ソンウ)は呆れるものの、再び二人で世界の舞台を目指したいと考えていた
スンニョンは高麗大学のマラソンチームの監督をしていて、そこには貧乏な出身ながらも短縮マラソン(20km)で優秀な成績を叩き出したソ・ユンボク(イム・シウン、幼少期:キム・ジョンチョル)もいた
ユンボクはギジョンに憧れてマラソンを始めていたが、自堕落な彼を見て落胆し、能力の高さから高慢な態度を取り続けていた
映画は、スンニョンがボストンマラソンへの参加を考え、ギジョンを誘う所から動き出す
大会への参加を在韓米庁に打診するものの、担当者のスメドレー(モーガン・ブラッドリー)は「朝鮮は難民国のために、アメリカに入国するためには保証金900万ウォンと在米の保証人が必要だ」と言う
それは本国の決定であり、在韓米軍のホッジ将軍(ロン・ケリー)の発言一つで可能だったが、彼は大会への参加には否定的な立場だった
そこでスンニョンは「ギジョンからプレゼントされた靴で優勝したジョン・ケリー(ジェシー・マーシャル)の記事」を見つけ、彼に手紙を書くことを考える
渋々、ジョンへの手紙を書くことになったギジョン
だが、その返事には「招待はOKだが、ギジョンが監督になること」が条件になっていた
そして、スンニョンは出場のために監督を降り、ギジョンが就任することになった
映画は史実ベースに脚色を加えている作品だが、かなり綿密に再現されていた
難民国認定からの入国の難しさ、在米朝鮮人のペク・ナムヒョン(キム・サンホ)がこぼす「何もしてくれない祖国」という言葉も辛辣なものとなっている
だが、そんな祖国だとしても、ギジョンは太極旗を胸に走る意味を強く感じていて、ボストンマラソン財団の公式会見では自説を語り、その大切さを訴える
その言葉は記者団の心を掴み、運営側は星条旗を外して、太極旗にて走ることを許可するのである
スポ根映画としての成長過程、ユンボクの周囲で起こるドラマなどもサラッとしていて濃密
コメディ要素もユーモアがあって暗くなりそうなシークエンスでも弛緩作用が効いていた
レースシーンも迫力があり、最初から最後まで集中力を切らすことなく鑑賞できるのは良かったと思う
若干のロマンス要素もあって物語に華もあるし、瞬間湯沸かし器のようなギジョンの葛藤もしっかりと描かれていたと思う
公式記録を今更変えることは難しいと思うが、記憶だけは語り継がれて行ってほしいと素直に思えた
いずれにせよ、事前に必要な知識はないが、日韓併合、戦後の過渡期の歴史の流れを知っていないと、なんで米軍?と思ってしまうかもしれない
このあたりは基礎教養の部分で、若干耳の痛い話も出てくるが、これは朝鮮サイドの意識と感覚で描かれているので当然のことだと思う
史実映画としても発見があるし、スポーツ映画としても見応えがあるので、気になっている人は事前情報(レースの結果など)なしで鑑賞しても良いのではないだろうか
演出過多だったが感動してしまった
「ソウルの春」を観たばかりだが、続けて史実に基づいた韓国映画を鑑賞。植民地支配から解放されたばかりの韓国がマラソンでオリンピック出場をめざす話。孫基禎は、植民地時代に日本人として出場したオリンピックで金メダルをとったマラソン選手ということは知っていた。でも、本作は選手ではなく監督として活躍する姿を描く。
当時は国家として成立する前だから、政治的にはかなり混乱している時期。アメリカの統治下だからオリンピック出場も難しかったのだろう。国際大会で活躍が必要という条件はなかなかハードルが高い。しかもそのためのボストンマラソンへの出場にもいくつかの条件が必要。だからドラマになる。
マラソンのレースシーンもなかなか熱かった。感動仕立てにするための演出(犬がらみのトラブル)は若干盛りすぎた感はあるが、ギリギリ受け入れることにしよう。いや、そもそもこの話自体も演出しすぎなんじゃないの?と思える箇所がいくつかあった。でも、なんだかんだで感動してしまうんだから、あまり文句は言えない。
気になったのはユンボクのオリンピック出場。世界記録出して、相当期待されたんじゃないかと想像する。でも、そこはほぼ触れずに終わった、後で調べたのだが、なるほどという結果だった。映画では触れないわけだ。
本作では、日本憎し!の気持ちが抑えめだったように感じる。植民地支配が絡む物語としては珍しい。政治色が強くない、スポーツの話だったからかもしれない。だいぶ観やすい映画になっていた。演出過多なところがなければもっとよかった。感動しただけにもったいなく感じる。
詰めが…
それで、翌年のロンドンオリンピックはどうなったの?
ボストンマラソンに出場するための保証金を、民衆からの寄付で賄ったり、ボストンが米国独立の地であることを訴えて、ユニフォームに太極旗を付けることを認めさせたりといったシーンには、胸が熱くなる。
特に、星条旗を付けて走ることを断固として拒否する監督の姿には、ベルリンオリンピックで自分が獲得した金メダルが日本の実績になってしまったという彼の過去が重なり、二度と同じことをくり返さないという決意がひしひしと伝わってくる。
ただ、その割には、思いのほか「反日色」が薄くて、やや拍子抜けしてしまった。日本をどう描くのかは別にしても、作劇上は、憎むべき強敵がいた方が話が盛り上がったのではないだろうか?
クライマックスのマラソンにしても、転倒して足が痙攣していた割にはゴボウ抜きで優勝するという展開は、これがフィクションだとしたら「やり過ぎ」で興醒めだし、監督が11年前に樹立した世界記録を、同じ韓国人の若者が塗り替えたという事実も、「出来すぎ感」が強すぎて、逆に感動できなかった。
そもそも、苦労してボストンマラソンに出場したのは、翌年に開催されるロンドンオリンピックの出場権を獲得するためだったのに、エンディングで、そのことに何も触れないことには違和感を覚えざるを得なかった。調べてみると、1948年のロンドンオリンピックでは、韓国はマラソンで良い成績を残せなかったようだが、次のボストンマラソンで韓国勢が表彰台を独占したことなど、自分たちに都合の良い事実だけを紹介するという姿勢には、やはり、誠実さが欠けているように思う。
ところで、ボストン在住の身元保証人は、如何にも胡散臭くて、てっきり、巨額の現金を持ち逃げするのだろうと思っていたのだが、最後まで「善い人」だったところには、何だかホッとしてしまった。
感動あり、笑いもあり
知らない話だったのですが、なんとドラマティックな実話なのでしょう。
募金が集まるシーンや朝鮮の国旗が認められたシーンは泣けました。
マラソンのシーンはテンションあがりました。
はじめての飛行機や渡米の珍道中には笑いました。
感動だけでなく笑いもあり、想像していたよりずっと楽しい映画でした。
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