シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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トランプ暗殺未遂事件が理解できる傑作
赤いサングラスをかけた兵士
「お前はどの種類のアメリカ人だ?」に対する答えとしては
老記者サミー
「出ていけば間違いなく殺される」が正解だと思います。
彼ら3人の兵士はほぼ無差別に邪魔くさい人々を殺していたので後始末が必要になったのでしょう。
後で銃弾や弾痕で自分たちの殺した証拠を隠蔽していた感じですね。
だから、あの3人は兵士ではなく殺人を楽しんでいた殺人鬼と解釈した方がいいと思います。
なので「香港」と答えたトニーは敵対国「中国人」と断じられて処刑されのですが
同盟国である「日本」と答えても処刑されていたでしょう。
この作品の冒頭でも無差別にミサイルで殺人をしていたので
政府軍の一部が劣勢になって無差別な殺人をするようになったのはわかります。
アメリカ映画で戦場での狂気を描く時は必ずヒーローがいて良い話で幕を閉じる事が多いですが
この監督はイギリスの近未来劇の巨匠であるアレックス・ガーランド監督なので一味違う味わいがありました。
特に注目すべきは検問所での狙撃の名手に狙われる所で丸ごとトランプ暗殺未遂事件でした。
トランプさん以外の一般人でも同じ状況になりやすいのが銃社会アメリカの現実でしょう。
IFだけどリアルな恐怖感
アメリカで内戦がもし起きたらという話が土台。
戦慄の血生臭い吐き気を催すほどの戦場風景。
いったいどういう理由で内戦状態になったのか?
想像するしかないが、戦争の恐怖感だけは充分すぎるほど伝わってきた。
以前アメリカの分断が深刻で内戦の可能性すらあるという
都市伝説めいた話を小耳に挟んでいた。そして今、大統領選真っ只中。
銃社会、人種差別、移民問題など見ているとありえなくもないよね?という
政治的な警鐘なのかもしれない。
戦場カメラマンに成長していくジェシーのどこまでもスクープを追う
後半シーン。顔が完全に変わっていたし戦争に取りつかれてるかのようで
リーの表情と対照的で興味深かった。
この映画、音が凄かった。BGMのチョイスも絶妙。
だからシリアスなんだけど音のお陰もあって最後まで一気に観れた気がした。
最低限の事前知識は必要か?
映画館で目にしていた本作品の予告編や、
作品タイトルから、アメリカが反乱勢力によって
政府転覆されるまでの物語が展開していくのかと思ったけど、
まさか戦場カメラマンの生き様や成長(?)のドキュメンタリーを
見させられるとは思わなかった。
非常に考えさせられる、いまアメリカとはいわなくても、
世界のどこで起きてもおかしくない事件が
描かれているのは考えさせられる。
ただ結末はいろんな意味で残酷で
戦場カメラマンを目指す小娘の軽率な行動で、
お世話になった人とかお手本とする人がみんな亡くなってしまうし、
これは安易にジャーナリズムの世界に飛び込むな、
という警鐘なのか、そこはどうにも捉えられなかった。
それにしてもいろんなところがR指定があるだけに、
グロい描写が多くて、そこは気をつけて鑑賞してもらいたい。
ポピュリズム、そして分断化のなれの果て。
そこに生まれるのは「人でなし」という物語。
鑑賞後に湧き上がる、悪寒がするほどの胸くそ悪さ。それは劇中で主人公の座をリーからやがてバトンタッチしていくジェシーのラスト、人でなしの達成感なりを見た事だけではない。この映画には荒唐無稽なおとぎ話と切って捨てられない、現実感がある。なんとも恐ろしいことだ。
現代社会への警鐘が本作のねらいだとするならば。本作の深層に流れる「現実感」そのものを利用し、我々の五臓六腑を締めつけてくることを想定したとでも言うのか。この作品そしてA24、悪ふざけが過ぎるではないか。
ただし、矛盾するようだが私は本作を微塵も否定しない。ハリウッド的な要素を排除し、ここまでリアルに描いたことには喝采を贈りたい。
① 現代社会から引きずりこむ現実感
② 戦場に引きずりこむようなリアル描写
そして
③ 人心の昇華と没落
唯一、本作で映画的であったこの部分が凄いのだ。
長年ファインダーで戦場というこの世の地獄を切り取ってきたリーは、弟子の登場により徐々に人の心を取り戻していく。一方で、この世の地獄をあまりに性急に取り込んでしまったジェシーは、やはり急激に人の心を失っていく。この二人のグラデーションはサミーの横死により交差したことを最期にまた、逆方向へと離れていく。
そう。ここに「分断」の原理を表現しているのだ。この脚本、凄まじいではないか。
①②③を内包した本作は、体験型シアターを超える四次元的な究極体験をもたらす。
しかしながらこの現実感。
どうか今だけ得られる体験であってほしい。
善き人を優先しない戦場
1. 大義が見えにくい戦争
宣伝は目にしたが、詳しい背景までは調べずに鑑賞したのが結果的に良かった。鑑賞後wiki等で、憲法違反の3期目を強行した大統領に抵抗する内戦(civil war)と了解したが、映画での説明は最低限で初見では詳細を把握できなかった。北米の内戦と言えば、1780年前後の独立戦争、1860年代の南北戦争は有名。どちらも大義名分が明確。特に北群の奴隷解放は大義として推しやすい。
本作の内戦も、大統領の暴走への抵抗という大義があったとしても、政府側の要人を裁判にかけず殺しまくる姿は、フランス革命より華かに野蛮。敵味方を確かめずに狙撃し合う兵士、丸腰の記者を香港出身だと撃ち殺す兵士に、軍の規律も統制も皆無。盗もうとした隣人を警察に任せず、半殺しにするガソリンスタンドの一般市民と変わらない。内戦は容姿で敵味方を判断しにくいし、兵士が非戦闘員になりすましている可能性もあるが、明らかに丸腰の相手を銃で威圧する兵士に正義は感じられない。もはや「北斗の拳」「Walking Dead」の世界。R指定に留める為に、敢えて描いていないが、恐らく多くの戦場同様にレイプも横行していそう。ただ事ここに至って、記者と名乗れば特別(透明人間)扱いしてもらえると期待しているジャーナリストにも、妙な選民思想を感じる。
🗽
2. 死の機会は平等に ~ 善い人が護られる訳じゃない
NYを旅立った主要人物の4名(Lee, Joel, Jessie & Sammy)の内、2名が死ぬ。最初は年老いたSammy。先に捕らえられた若いJessieを助けに向かったLeeとJoelまで陥った窮地を、車で兵士をなぎ倒して救うが、残っていた兵士の銃弾に倒れる。ラストでは、無鉄砲に飛び出したJessie を庇い、Leeがシークレットサービスの銃弾に倒れる。
2人に共通しているのは、若い仲間を救おうとした事。更には、そもそも若者の行動にリスクがあると指摘している事。Sammyは、Jessie らに銃を向ける兵士の説得を試みるLeeとJoelに危険だと警告している。非戦闘員の遺体を埋める汚れ仕事は市民にバレたくない筈で、記者にも目撃されたくない筈。そこにノコノコ出ていったら、救う処か一緒に埋められかねない。実際、香港出身者とは言え、Reutersの記者を殺した事を隠滅する為、全員殺されていたかも。
Leeも、防弾チョッキも黄色のベストも着ずに暴動を取材するJessie を諌めていたし、経筋不足の彼女がD.C.に向かうのに反対だった。終盤案の定、Jessie は拙速過ぎる行動をとり、庇ったLeeの死を招いた。
正しく忠告し、仲間を助けようとした2人が亡くなった。戦場では善い人を神が優先的に護ってもらえる訳じゃない。寧ろ、仲間を救う為にリスクを冒したのだから、そのリスクに見合った結果がもたらされただけなのかもしれない。東日本大震災の時に、中国人留学生を山まで避難させた男性が、妻も迎えに行くといって山を下りて津波に呑まれた。災害でも善き人を神が救ってはくれない。
⚔️
3. Leeは最後まで記者でいたのか?
恩師(mentor)のSummyの死に動揺したLeeは、Summyの遺体の写真を消し、D.C.の前線でたじろぎ、取材に後ろ向きになる。それでも、逃走する政府公用車に群がる兵士に、大統領は未だWhite houseに居ると断言し、再び勇ましく最前線に向かう。ただ本当は、この時点で Lee はもうScoop記者ではなかったのかもしれない。旅の途中で、Jessie は Lee に「私が撃たれる姿を貴方は撮る?」と尋ねた。Leeは曖昧に応えるが否定もしない。やはりScoop記者なら、何より記録を優先する筈。しかし、Sammy に救われた Lee は、実際には Jessie の救助を優先した。不用意に飛び出したのは Jessie の自己責任。その酬いは Jessie 自身が受けて然るべき。にもかかわらず、撃たれたのは救助のリスクを冒した Lee で、その姿を記録したのはJessie だった。
Jessie は大統領が撃たれる瞬間も、殺戮者のドヤ顔もScoopする。間違いなく生前の Lee 同様、多くの記者の羨望と嫉妬を浴びる伝説的な存在になった。そもそも、Leeの感が冴え渡らなければ、更にLee に護られなければ、Jessie はその場に居る筈もない。戦場で取材するなら先ず己を護れと新人を諭したLee自身が、恩師と同じく仲間の危機を傍観できなかった。戦場を透明人間として傍観し、記録できなきゃ記者失格なんだとしても、最後に Leeが「人間」でいた事を Jessie には語り継いで欲しい。
狂気の証拠
ラストに現像される1枚の写真。
死体を囲み誇らしげな笑みを浮かべる複数の兵士の写真。彼等は“英雄”なのか“殺戮者”なのか。
戦場カメラマンが記録するのは事象のみで、その判断は見るものに委ねられる。
強烈だった。
戦場の描写もそうだけど、戦禍を生産していく兵士達の心理とか。それらを第三者的な視点で追う戦場カメラマンの目線とか。
否応なしに巻き込まれる。
巻き込まれるが、戦争自体をどうこうできる事はない。ただ、記録し留めていく。
どんな理不尽も、どんな信念も。
戦場でのみ是とされる行為も。
シビルウォーは「内乱」と訳されるらしい。
一国が分断され、その国内で起こる戦争。
この世てで1番崇高で、1番関心を惹かれない戦争かもしれない。
作品中ではなんの利害があるのかまでは明かされない。作品が描くのは“戦時下”で、どちらに正義があるのか、何が原因だったのかも明かされはしない。ただ、内部から瓦解していく国の現状が描かれる。起こってしまった戦争の内情を描いていく。
前半、ソリッドな描写はあるものの、最前線以外は案外のどかだった。BGMにカントリーソングなんかが流れてたような気もする。
戦場にカメラマンになりたいと言う少女が道行に加わったり、同業者を出し抜いて大統領のインタビューを敢行するとか。なんだか拍子抜けを感じてた。
が、中盤以降はさすがはA24…。
人の狂気が克明に描かれていく。
牧場の一角で、無数の死体を埋めている兵士とか…生殺与奪の権限を1人1人が持つのだと思うと、そこに正気なんかが入り込む余地などない。
戦禍に介入する戦場カメラマンの宿命かとも思うが、よくそんな状況で続けられるなと身震いする。
が、前出の少女は覚醒する。
死地に立ち、命の在処を自覚する。戦場カメラマンの資質を発していく。
最前線にシーンが移ってからは息つく暇がない。
まさに命が消し飛んでいく。
フィクションではあるが、フィクションを意識しなかったのは元々あった戦場カメラマンという第三者的な視点が序盤からあったからだろうと思う。
ファインダー越しの視点が、普段目にするモニター越しの視点とダブっていく。作品に絡めとられていく瞬間をハッキリと感じる。
少女は最早、戦禍に取り憑かれてるかのようにシャッターを切っていく。
あと一歩、もう一歩、前へ。
死の境界線を更新していく。
危なっかしいが、そのテンションはよく分かる。
誰も踏み込めない領域の先頭に立つ快感。
そこに立ち続けるにたる命の輪郭。
その結果が、ラストの写真だ。
そのラストに至る直前に、少女と共にしていたベテランのカメラマンは銃弾に倒れる。
宿命とも思える。
その死体を放置し歩みを止めない彼女は、もう一人前の戦場カメラマンだった。
このベテランのカメラマンが担うところは興味深くて…ずーっと沈痛な表情をしている。戦場カメラマンを生業とするくらいだから数多の戦場を渡り歩いてきたのだろうし、有名なのだから成果もあげたのだろう。が、嫌そうなのだ。まぁ戦場なので楽しいはずもないのだけれど。
その彼女は最前線で怖気付いてる。直前の同僚の死が影響したわけでもないだろうと思う。覚醒しシャッターを切りまくる少女とは対照的にカメラを構えようともしない。正直、役立たずどころかお荷物なのだ。
こんな状態の女性がどうやって戦場カメラマンとしてやっていけるのだろう?
そう思ってたとこに突っ込んでくる大統領専用車。
その車に大統領が乗っていないと直感が働いた時、彼女の目の色が変わる。
カメラマンの嗅覚とでもいうのだろうか?少女の資質が覚醒し始めたのだとしたら、彼女は本能が覚醒したかのようだった。
迷う事なくホワイトハウス内に踏み込んでいく。
銃撃戦が始まっても乱射される銃撃の間隙を縫ってシャッターチャンスを拾いまくる。ベテランの勘というか、予測というか戦火を掻い潜ってきた経歴に嘘はないようだった。
そんな彼女が撃たれたのは、彼女の真似をしたのか、少女の勇足であったのか、少女が廊下を横切ろうとした時で、射手は彼女からは見えなかったはずなのに、躊躇なく彼女を庇おうとして撃たれる。
戦場カメラマンの性能というか本能を余すことなく伝えたエピソードだったように思う。
ラストの写真が語るものは何なのか。
銃弾に倒れたカメラマンは、自分達が記録する写真は「母国への警告だ」と言ってた。
理性で戦争が阻止できるなら、戦争なんさ起こりやしないんだろうな。
その顛末が、本作品だと思われる。
皆が好き勝手にやる戦争の恐ろしさ
常に銃口を突きつけられているような緊張感のある映画。鑑賞中、何度も銃声に驚いてビクッとなってしまいました。
何より国家間の戦争とは違う独特の不気味さが印象的でした。
戦闘をしているのがどの勢力なのかも、どんな正義があって戦っているのかもわからないまま主人公たちが理不尽で不透明な暴力に巻き込まれていきます。
中には明らかにどの勢力にも属さない人が銃を取り戦っていたり、内戦を見て見ぬ振りをしながら平和な生活をしている人達がいたり、一体感がなく皆が好き勝手にやる戦争の狂気が感じられました。
ラストはホワイトハウスの職員や大統領が命乞い虚しく西部同盟の兵士に問答無用で射殺され、大統領の遺体の周りを兵士たちが笑顔で取り囲む写真の一枚絵が映り、どこか明るい曲調のエンディングテーマが流れて終わり。
多少無能で国民から信頼されていない描写はあったとはいえ、大統領がここまで命を狙われているの理由が詳しくわからない中でのこのラストは狂気に感じられゾッと背筋が寒くなりました。
しかも、登場人物の一人が仄めかしていましたが、大統領が亡くなった後もおそらく内戦は続くのでしょう。
一番怖かったのは他の人も挙げていますが、やはり赤いサングラスをかけたレイシストに絡まれたシーンでしょう。
普段の生活の中で「こいつは話が通じないな」と感じさせる人間にはよく出会いますが、これこそが戦争の本質なのかなぁと思いました
よかった
けっこう面白かったのだけど、今時フィルム撮影のモノクロ写真に需要があるのだろうか。また戦争場面にドローンが全く活用されていない。現実を描く意図がそもそもなくて、ちょっと違う現実、ファンタジーとして描いているのではないだろうか。しかし、トランプ大統領が再選するようなことがあったらあり得る世界だ。
ホワイトハウスに突入する場面は緊張感があるものの、特にそれほど登場人物に魅力を感じず最後まで気持ちがあまり揺さぶられなかった。アジア人があっさり殺されるのは怖い。
今の世界、絶対起こりえないとは言えないシチュエーションとIMAXも手伝って
IMAXの大画面と臨場感あふれる音響が、アメリカ内戦という近未来的なシチュエーションをよりリアルに描き出しており、観る者を物語の世界へと引き込む。特に、静寂から突如始まる銃撃戦など、シーンの切り替えが見事で、緊張感を高める。
本作は、アメリカという強大な国が内戦に陥るという、決して現実離れした話ではない設定が特徴だ。過去の原住民との衝突の歴史を彷彿とさせ、アメリカ社会の闇を映し出すような側面も感じられる。しかし、物語の核は、国内紛争そのものよりも、若きジャーナリストの成長にある。
百戦錬磨のプロジャーナリストたちとの間で、彼女は戦火を潜り抜けながら、カメラを通して真実を記録していく。恐ろしい現実にも、悲惨な光景にも、レンズを向け続けなければならないジャーナリストの使命感と、その過酷さが描かれている。若さゆえの無謀な行動が招く悲劇は、どの職場でも起こりうる普遍的なテーマであり、観る者に考えさせられる。
特に気に入ったシーンだが、ジェシー・プレモンス演じる赤いサングラスのシーンはYoutubeなどの映画紹介ページでも観られるが、特に緊張感が出ていてよかった
彼は代役だったらしい
このシーンについてはYoutubeの”CIVIL WAR Interview | Director Alex Garland Breaks Down THAT Scene From Controversial Thriller”で述べられている
総評
映像美と緊迫感あふれるシーンは必見だが、ストーリーの奥深さはやや物足りない。ジャーナリストという職業に興味がある人や、近未来的なディストピアに興味がある人におすすめしたい。
映像技術の力によって、観る者を物語の世界に引き込むことに成功している作品だ。しかし、ストーリーそのものについては、若きジャーナリストの成長物語という点で、普遍的なテーマではあるものの、特に目新しい要素はない。
評価
映像:★★★★★(5点満点)
ストーリー:★★★☆☆(3点満点)
総合:★★★★☆(4点満点)
余談だが、109シネマズの3ポイント鑑賞券を利用したため、1900円で鑑賞できたのは地味にうれしい(1300円+IMAXレーザー鑑賞料金600円)
戦場でジェシーの心が変わっていく
前知識無しに見ました。アメリカが分断され内戦が起こっている世界。内戦の理由は描かずに、生々しい戦闘シーンに焦点を当てた作品。
銃殺シーン、血だらけの人、集められた死体、車に轢かれる人等、どぎつい場面が多く、気分がズンと重くなりました。人が簡単に殺されていきます。
途中退出する人もいたのですが、気持ちは理解できました。
銃や砲弾、ミサイルが支配するディストピアンワールド。戦争の恐ろしさが伝わってきます。
内戦とは別世界の、一見、静かで平和な街があり、レジの女性が「私達、関わらないようにしているの」と言うシーンも一種異様でした。
ロケットUSAやラブフィンガーズ等の選曲が素晴らしく、曲を使うタイミングもうまいです。戦争の狂気やどんよりとした重い雰囲気をさらに深いものにしています。
戦場カメラマンになりたい23歳のジェシーという女性が登場人物の一人です。
戦場の緊迫した場面で、恐れおののいたり、泣いたりしていたのが、だんだん感覚が麻痺していき... 終盤のとあるシーンで変わってしまった彼女の心を象徴するシーンがあり、この映画の名場面だと思いました。
戦闘シーンで敵が潜んでいる場所を、ヘリや戦車がミサイルで破壊するシーンがあるのですが、兵士が見えないせいか、ゲームを見ているような感覚がありました。でも、人が人を銃殺するシーンは、痛々しく、残酷で、心が引き裂かれるような感覚を覚え、気持ちが滅入りました。
2回見る気がしない映画でしたが、見ておいて良かったとは思いました。でも、内容を知っていたら見に行かなかったと思います。
深みは無いが、銃撃戦は見る価値あり。
なぜ?という視点がないので
内戦で混乱したアメリカに放り出された状態で
しゃあないから登場人物たちの旅によくわからんけど
ついていくかぁって感じの映画でした。
?で始まり、で?って感じのお話。
アメリカ人ならおススメ。
軍事的、政治的リアリティが無さすぎて突っ込みが間に合わない
そもそもの背景となった説明も無く、各勢力の主張や状況がわからず、西部側(と思われる)主人公側の行動原理もはっきりとしない感じ。
以下、突っ込みどころ
・途中の戦闘シーンが小規模すぎ(建物の取り合い?)て、小競り合い程度
・燃えた森林を走り抜けるシーンが意味不明(ただの森林火災?)
・登場車両がほぼハンヴィー(軍隊規模がせいぜい連隊程度)
・市街地戦で超低空かつ近距離で攻撃する攻撃ヘリ(しかも反撃なし)
・味方がやられた後に登場して超近距離で砲撃する戦車(なぜ遠距離砲撃しないのか)
・たった5人に制圧されるホワイトハウス
・終盤、戦闘におびえるベテランリーと無双状態の新人ジェシー
・サミーが亡くなったときは取り乱してたのに、目の前で相棒にリーが撃たれても無視して進んだジョエル
・降伏交渉も無視し、なんの躊躇無く大統領を撃ち殺す現場兵士(ならず者集団ですか)
他にも色々出てくるけど、総じてモヤモヤが残る作品
物語なんてどうでもいいけど、とにかく迫力の戦争映画を観たい方にはオススメ
アメリカの分断、まさに現状に訴えんばかりの映画。ストーリーは内容がない、なんで内戦が起ったのかも全く描いていない米国の分断というより反政府テロ組織の内乱といったほうがいい。ただ迫力の音と後半のワシントン争奪戦は圧巻でそこはストーリー無視をカバーしうる大迫力。また女性、大統領、主人公までをも惨殺する演出はハリウッド映画を覆すリアリティに満ちててとても良かった。物語なんてどうでもいいけど、とにかく迫力の戦争映画を観たい方にはオススメです。
タイトルなし(ネタバレ)
戦争映画と言うより、ハラハラドキドキのロードムービーだった。ゾンビ映画にも似てる。内戦はあくまでも背景で、あまり詳しく語られない。いずれアメリカはこうなる可能性あり?トランプか?話題性枠でアカデミー賞ノミネートあるかも?にしてもキルステン・ダンストとジェシー・プレモンス夫妻は共演好きだな。
非リアルな設定から生まれるリアル
内戦に至った経緯は基本語られません。
大統領3期目とかFBIの解体とか断片的な示唆はあれど、それがどういう時制で実行されたかまでは最後まで不明です。
そうしたディテールを追うのではなく、なぜか内戦が起きたアメリカで、アメリカ国民がどうなっていくのかを描いた作品です。
序盤から中盤はロードムービー。
混乱の中にもまだギリギリ正気が残るニューヨークから、14ヶ月インタビューに応じていないという(なぜ…)合衆国大統領にワシントンD.C.までコメントを取りに行くプレスメンバーを軸に話は進みます。
この間、ハートフルな内容はほぼなく、基本スリラー。
挿入されるアメリカ音楽をバックに、人々が死と隣り合わせの時間を過ごすなかで、どう狂い、或いは狂わずに生きているのかが、謎に満ちたまま淡々と、しかし具体的に描かれていきます。
終盤は戦争映画的なドンパチがメインに。
ただ、勝敗は既に決しているようで、一進一退の攻防と言うよりは完全なる掃討戦といった様相。
プレスたちがそれをどう切り取るか…でエンディングとなります。
内戦の構造的には、蜂起した西部中心の州とまだまだ多くを束ねる連邦政府の対立ですが、敵も味方もアメリカ人という中で、正直日本人の私にはどちらが西でどちらが連邦なのか、シーンによってははっきりしなかったりも。
ただ、恐らくこの映画で、そこはあまり重要な要素では無いのでしょう。
ニューヨークで澄まし顔で仕事をこなすホテルマン、廃スタジアムで疲労の色を見せつつも責任感を持ってキャンプを運営するボランティア、隔絶した田舎町で仮初の平和を謳歌する女性店員、アメリカ的かを問いながら市民を虐殺する西部軍兵士…
ラストのホワイトハウスで最後までいわゆる「現代のアメリカ」を維持し続けているSSと政府高官達を含め、極限の状態だからこそ浮かび上がるそれぞれのキャラクターに、アメリカという国を感じました。
その意味で、(内戦という)状況自体は非リアルですが、そこにいる人々が極めてリアルに浮かび上がる映画でした。
アメリカ的に絶対正義であるワシントンとホワイトハウスを人の手で容赦なく破壊し、報復もない(しようがない)米映画、という部分でも価値がありそうです。
しかし、本当にこんな状況になったら日本は政治も経済も軍事も大混乱なんだろうな…。
海外の動向は基本言及されないですが、数少ない情報として米ドルよりカナダドルのほうが価値があったり、中立地としてアラスカ・グリーンランドという具体的な地名が出てきたりするなかで、非現実とは知りつつ、そんなことをぼんやり考えさせられたのでした。
戦争は単なる殺し合い
この作品程、予告編で抱いた作品とかけ離れた作品は初めてです。予告編イメージでは、分裂内戦B級的映画でした。まさかカント的映画だとは。静粛シーンにそれを感じ、恐らく写真は無音のメッセージを表したんだと思いますが、そのシーンで色々な思い、思考が交錯しました。
ダンプトラックの、米国人てどんな米国人?、のシーンは、恐怖心を持って観てました。又、ラストの、若い女性カメラマンのシーンも衝撃でした。
米国では南北戦争はシビル・ウォーですが、この作品のシビル・ウォーは、それとは違う戦争、正にシビル・ウォーでしたね。
中国人に慈悲はない
戦争映画の一種とすれば普通だとは思うが、期待していたものは見られなかった。
個人的に、アメリカという大国が分裂したことでどうなるか、を描くと思っていた。
しかし正直どこの国でもよかったと思う。(一部アメリカ的な考えは出てきたが、主題ではないし)
内戦の発端も明かされないので、没入も出来ず。
上記2点から、戦争なんて始まってしまえば全部同じか、なんて思ったり。
各々のジャーナリズムも語られないため、危険を冒して撮影を続ける動機も分からない。
サミーなんて一切取材する様子もないし、何しに着いてきたの?
そのサミーの死を受けてなお止まらない理由、どころか辞めるかどうかの葛藤があったかさえ不明。
リーは腑抜けだしたし、ジェシーはよりのめり込んでたので、何かしらあったのだろうけど…
WFが大統領の抹殺に成功するが、きっかけも目的も知らないから、分かったのは戦争が終わったことだけ。
自らを庇った人の死にシャッターを切る気持ちも、死体を囲んで笑顔でチーズする気持ちも理解できない。
戦時下とはいえ、誰にも共感できなかった。
ジャーナリストのフォローしながら戦闘しなきゃいけない兵士は大変だなぁ。
戦争は怖い…
映画館の予告とTV CM以外の情報を一切入れないで見に行きましたが、思っていた感じと違う…
正直、ジャーナリストの友人の出番迄はちょっと眠くて、銃声の音で『ハッと』したりして…
それ以降はラストまで一気に突っ走ります!
まあ、戦争が如何に人間性を損なうかって事で、だんだんと人間を被写体としてしか感じられなくなる女の子が恐ろしい…
なんで米国が分断したのかなんて全く出てこない!
今のアメリカじゃ、色々有り過ぎてなんでも良いって
事かな?
今一つリアリティに乏しい
製作費が相当なものだとのことだが、画像的には建物のセットなのか、登場するクルマやミリタリーワークなのか、役者さんの数なのか、だが、全体的な印象としては謳い文句の没入感を得られなかった。
その理由は以下の3つにあるような気がした。
①映画の主題が不明。
・ダンストが演じる主人公(なのか?)のLeeさんの描写から、この映画がどういう主題を表現したいのかがよくわからない。
・サミーが出血多量で亡くなるときは、ジョエルが慟哭したりLeeが撮ったデジタル写真を捨ててしまうが、Leeが撃たれて死んだときには、誰かが彼女のカメラを回収するわけでもなく彼女の亡骸も放置。
・西軍の皆に、従軍カメラマンにまで、一人生き残った大統領をその場で殺す前提が共有されている意味は何なのか。
②全てが安易。
・丸腰のシボレーVANでパンクもしないで長大な戦場を通り抜け、そのまさに最前線まで丸腰の記者達が容易に辿り着いてしまう。
・政府軍の抵抗がほとんどない(ような)のも不思議だ。
③戦場や殺戮の生々しさをリアルに表現したいように見えるが、全く現実味がない。
・サミーは、仲間の記者達を脅すM16を持つ2人の軍人だけを、遠くからシボレーで大音量を出しながら近づいて来て易々と轢き殺せてしまう。
・ジェシーが撃たれそうになった際に、Leeは咄嗟に彼女を突き飛ばして代わりに棒立ちになってしまうが、倒れこんだジェシーはカメラのフィルムを巻き上げLeeが代わりに撃たれるのを写せてしまう(そんな暇が有ったらLeeも逃げろよ)。
・ジェシーは戦場カメラマンにあこがれているが、NIKONの古いフィルムカメラを使っている(戦場で現像、露光している)。
アメリカン・スナイパーやプライベート・ライアンとは随分差がある。
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