シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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狂気の証拠
ラストに現像される1枚の写真。
死体を囲み誇らしげな笑みを浮かべる複数の兵士の写真。彼等は“英雄”なのか“殺戮者”なのか。
戦場カメラマンが記録するのは事象のみで、その判断は見るものに委ねられる。
強烈だった。
戦場の描写もそうだけど、戦禍を生産していく兵士達の心理とか。それらを第三者的な視点で追う戦場カメラマンの目線とか。
否応なしに巻き込まれる。
巻き込まれるが、戦争自体をどうこうできる事はない。ただ、記録し留めていく。
どんな理不尽も、どんな信念も。
戦場でのみ是とされる行為も。
シビルウォーは「内乱」と訳されるらしい。
一国が分断され、その国内で起こる戦争。
この世てで1番崇高で、1番関心を惹かれない戦争かもしれない。
作品中ではなんの利害があるのかまでは明かされない。作品が描くのは“戦時下”で、どちらに正義があるのか、何が原因だったのかも明かされはしない。ただ、内部から瓦解していく国の現状が描かれる。起こってしまった戦争の内情を描いていく。
前半、ソリッドな描写はあるものの、最前線以外は案外のどかだった。BGMにカントリーソングなんかが流れてたような気もする。
戦場にカメラマンになりたいと言う少女が道行に加わったり、同業者を出し抜いて大統領のインタビューを敢行するとか。なんだか拍子抜けを感じてた。
が、中盤以降はさすがはA24…。
人の狂気が克明に描かれていく。
牧場の一角で、無数の死体を埋めている兵士とか…生殺与奪の権限を1人1人が持つのだと思うと、そこに正気なんかが入り込む余地などない。
戦禍に介入する戦場カメラマンの宿命かとも思うが、よくそんな状況で続けられるなと身震いする。
が、前出の少女は覚醒する。
死地に立ち、命の在処を自覚する。戦場カメラマンの資質を発していく。
最前線にシーンが移ってからは息つく暇がない。
まさに命が消し飛んでいく。
フィクションではあるが、フィクションを意識しなかったのは元々あった戦場カメラマンという第三者的な視点が序盤からあったからだろうと思う。
ファインダー越しの視点が、普段目にするモニター越しの視点とダブっていく。作品に絡めとられていく瞬間をハッキリと感じる。
少女は最早、戦禍に取り憑かれてるかのようにシャッターを切っていく。
あと一歩、もう一歩、前へ。
死の境界線を更新していく。
危なっかしいが、そのテンションはよく分かる。
誰も踏み込めない領域の先頭に立つ快感。
そこに立ち続けるにたる命の輪郭。
その結果が、ラストの写真だ。
そのラストに至る直前に、少女と共にしていたベテランのカメラマンは銃弾に倒れる。
宿命とも思える。
その死体を放置し歩みを止めない彼女は、もう一人前の戦場カメラマンだった。
このベテランのカメラマンが担うところは興味深くて…ずーっと沈痛な表情をしている。戦場カメラマンを生業とするくらいだから数多の戦場を渡り歩いてきたのだろうし、有名なのだから成果もあげたのだろう。が、嫌そうなのだ。まぁ戦場なので楽しいはずもないのだけれど。
その彼女は最前線で怖気付いてる。直前の同僚の死が影響したわけでもないだろうと思う。覚醒しシャッターを切りまくる少女とは対照的にカメラを構えようともしない。正直、役立たずどころかお荷物なのだ。
こんな状態の女性がどうやって戦場カメラマンとしてやっていけるのだろう?
そう思ってたとこに突っ込んでくる大統領専用車。
その車に大統領が乗っていないと直感が働いた時、彼女の目の色が変わる。
カメラマンの嗅覚とでもいうのだろうか?少女の資質が覚醒し始めたのだとしたら、彼女は本能が覚醒したかのようだった。
迷う事なくホワイトハウス内に踏み込んでいく。
銃撃戦が始まっても乱射される銃撃の間隙を縫ってシャッターチャンスを拾いまくる。ベテランの勘というか、予測というか戦火を掻い潜ってきた経歴に嘘はないようだった。
そんな彼女が撃たれたのは、彼女の真似をしたのか、少女の勇足であったのか、少女が廊下を横切ろうとした時で、射手は彼女からは見えなかったはずなのに、躊躇なく彼女を庇おうとして撃たれる。
戦場カメラマンの性能というか本能を余すことなく伝えたエピソードだったように思う。
ラストの写真が語るものは何なのか。
銃弾に倒れたカメラマンは、自分達が記録する写真は「母国への警告だ」と言ってた。
理性で戦争が阻止できるなら、戦争なんさ起こりやしないんだろうな。
その顛末が、本作品だと思われる。
皆が好き勝手にやる戦争の恐ろしさ
常に銃口を突きつけられているような緊張感のある映画。鑑賞中、何度も銃声に驚いてビクッとなってしまいました。
何より国家間の戦争とは違う独特の不気味さが印象的でした。
戦闘をしているのがどの勢力なのかも、どんな正義があって戦っているのかもわからないまま主人公たちが理不尽で不透明な暴力に巻き込まれていきます。
中には明らかにどの勢力にも属さない人が銃を取り戦っていたり、内戦を見て見ぬ振りをしながら平和な生活をしている人達がいたり、一体感がなく皆が好き勝手にやる戦争の狂気が感じられました。
ラストはホワイトハウスの職員や大統領が命乞い虚しく西部同盟の兵士に問答無用で射殺され、大統領の遺体の周りを兵士たちが笑顔で取り囲む写真の一枚絵が映り、どこか明るい曲調のエンディングテーマが流れて終わり。
多少無能で国民から信頼されていない描写はあったとはいえ、大統領がここまで命を狙われているの理由が詳しくわからない中でのこのラストは狂気に感じられゾッと背筋が寒くなりました。
しかも、登場人物の一人が仄めかしていましたが、大統領が亡くなった後もおそらく内戦は続くのでしょう。
一番怖かったのは他の人も挙げていますが、やはり赤いサングラスをかけたレイシストに絡まれたシーンでしょう。
普段の生活の中で「こいつは話が通じないな」と感じさせる人間にはよく出会いますが、これこそが戦争の本質なのかなぁと思いました
よかった
けっこう面白かったのだけど、今時フィルム撮影のモノクロ写真に需要があるのだろうか。また戦争場面にドローンが全く活用されていない。現実を描く意図がそもそもなくて、ちょっと違う現実、ファンタジーとして描いているのではないだろうか。しかし、トランプ大統領が再選するようなことがあったらあり得る世界だ。
ホワイトハウスに突入する場面は緊張感があるものの、特にそれほど登場人物に魅力を感じず最後まで気持ちがあまり揺さぶられなかった。アジア人があっさり殺されるのは怖い。
今の世界、絶対起こりえないとは言えないシチュエーションとIMAXも手伝って
IMAXの大画面と臨場感あふれる音響が、アメリカ内戦という近未来的なシチュエーションをよりリアルに描き出しており、観る者を物語の世界へと引き込む。特に、静寂から突如始まる銃撃戦など、シーンの切り替えが見事で、緊張感を高める。
本作は、アメリカという強大な国が内戦に陥るという、決して現実離れした話ではない設定が特徴だ。過去の原住民との衝突の歴史を彷彿とさせ、アメリカ社会の闇を映し出すような側面も感じられる。しかし、物語の核は、国内紛争そのものよりも、若きジャーナリストの成長にある。
百戦錬磨のプロジャーナリストたちとの間で、彼女は戦火を潜り抜けながら、カメラを通して真実を記録していく。恐ろしい現実にも、悲惨な光景にも、レンズを向け続けなければならないジャーナリストの使命感と、その過酷さが描かれている。若さゆえの無謀な行動が招く悲劇は、どの職場でも起こりうる普遍的なテーマであり、観る者に考えさせられる。
特に気に入ったシーンだが、ジェシー・プレモンス演じる赤いサングラスのシーンはYoutubeなどの映画紹介ページでも観られるが、特に緊張感が出ていてよかった
彼は代役だったらしい
このシーンについてはYoutubeの”CIVIL WAR Interview | Director Alex Garland Breaks Down THAT Scene From Controversial Thriller”で述べられている
総評
映像美と緊迫感あふれるシーンは必見だが、ストーリーの奥深さはやや物足りない。ジャーナリストという職業に興味がある人や、近未来的なディストピアに興味がある人におすすめしたい。
映像技術の力によって、観る者を物語の世界に引き込むことに成功している作品だ。しかし、ストーリーそのものについては、若きジャーナリストの成長物語という点で、普遍的なテーマではあるものの、特に目新しい要素はない。
評価
映像:★★★★★(5点満点)
ストーリー:★★★☆☆(3点満点)
総合:★★★★☆(4点満点)
余談だが、109シネマズの3ポイント鑑賞券を利用したため、1900円で鑑賞できたのは地味にうれしい(1300円+IMAXレーザー鑑賞料金600円)
戦場でジェシーの心が変わっていく
前知識無しに見ました。アメリカが分断され内戦が起こっている世界。内戦の理由は描かずに、生々しい戦闘シーンに焦点を当てた作品。
銃殺シーン、血だらけの人、集められた死体、車に轢かれる人等、どぎつい場面が多く、気分がズンと重くなりました。人が簡単に殺されていきます。
途中退出する人もいたのですが、気持ちは理解できました。
銃や砲弾、ミサイルが支配するディストピアンワールド。戦争の恐ろしさが伝わってきます。
内戦とは別世界の、一見、静かで平和な街があり、レジの女性が「私達、関わらないようにしているの」と言うシーンも一種異様でした。
ロケットUSAやラブフィンガーズ等の選曲が素晴らしく、曲を使うタイミングもうまいです。戦争の狂気やどんよりとした重い雰囲気をさらに深いものにしています。
戦場カメラマンになりたい23歳のジェシーという女性が登場人物の一人です。
戦場の緊迫した場面で、恐れおののいたり、泣いたりしていたのが、だんだん感覚が麻痺していき... 終盤のとあるシーンで変わってしまった彼女の心を象徴するシーンがあり、この映画の名場面だと思いました。
戦闘シーンで敵が潜んでいる場所を、ヘリや戦車がミサイルで破壊するシーンがあるのですが、兵士が見えないせいか、ゲームを見ているような感覚がありました。でも、人が人を銃殺するシーンは、痛々しく、残酷で、心が引き裂かれるような感覚を覚え、気持ちが滅入りました。
2回見る気がしない映画でしたが、見ておいて良かったとは思いました。でも、内容を知っていたら見に行かなかったと思います。
深みは無いが、銃撃戦は見る価値あり。
なぜ?という視点がないので
内戦で混乱したアメリカに放り出された状態で
しゃあないから登場人物たちの旅によくわからんけど
ついていくかぁって感じの映画でした。
?で始まり、で?って感じのお話。
アメリカ人ならおススメ。
軍事的、政治的リアリティが無さすぎて突っ込みが間に合わない
そもそもの背景となった説明も無く、各勢力の主張や状況がわからず、西部側(と思われる)主人公側の行動原理もはっきりとしない感じ。
以下、突っ込みどころ
・途中の戦闘シーンが小規模すぎ(建物の取り合い?)て、小競り合い程度
・燃えた森林を走り抜けるシーンが意味不明(ただの森林火災?)
・登場車両がほぼハンヴィー(軍隊規模がせいぜい連隊程度)
・市街地戦で超低空かつ近距離で攻撃する攻撃ヘリ(しかも反撃なし)
・味方がやられた後に登場して超近距離で砲撃する戦車(なぜ遠距離砲撃しないのか)
・たった5人に制圧されるホワイトハウス
・終盤、戦闘におびえるベテランリーと無双状態の新人ジェシー
・サミーが亡くなったときは取り乱してたのに、目の前で相棒にリーが撃たれても無視して進んだジョエル
・降伏交渉も無視し、なんの躊躇無く大統領を撃ち殺す現場兵士(ならず者集団ですか)
他にも色々出てくるけど、総じてモヤモヤが残る作品
物語なんてどうでもいいけど、とにかく迫力の戦争映画を観たい方にはオススメ
アメリカの分断、まさに現状に訴えんばかりの映画。ストーリーは内容がない、なんで内戦が起ったのかも全く描いていない米国の分断というより反政府テロ組織の内乱といったほうがいい。ただ迫力の音と後半のワシントン争奪戦は圧巻でそこはストーリー無視をカバーしうる大迫力。また女性、大統領、主人公までをも惨殺する演出はハリウッド映画を覆すリアリティに満ちててとても良かった。物語なんてどうでもいいけど、とにかく迫力の戦争映画を観たい方にはオススメです。
タイトルなし(ネタバレ)
戦争映画と言うより、ハラハラドキドキのロードムービーだった。ゾンビ映画にも似てる。内戦はあくまでも背景で、あまり詳しく語られない。いずれアメリカはこうなる可能性あり?トランプか?話題性枠でアカデミー賞ノミネートあるかも?にしてもキルステン・ダンストとジェシー・プレモンス夫妻は共演好きだな。
非リアルな設定から生まれるリアル
内戦に至った経緯は基本語られません。
大統領3期目とかFBIの解体とか断片的な示唆はあれど、それがどういう時制で実行されたかまでは最後まで不明です。
そうしたディテールを追うのではなく、なぜか内戦が起きたアメリカで、アメリカ国民がどうなっていくのかを描いた作品です。
序盤から中盤はロードムービー。
混乱の中にもまだギリギリ正気が残るニューヨークから、14ヶ月インタビューに応じていないという(なぜ…)合衆国大統領にワシントンD.C.までコメントを取りに行くプレスメンバーを軸に話は進みます。
この間、ハートフルな内容はほぼなく、基本スリラー。
挿入されるアメリカ音楽をバックに、人々が死と隣り合わせの時間を過ごすなかで、どう狂い、或いは狂わずに生きているのかが、謎に満ちたまま淡々と、しかし具体的に描かれていきます。
終盤は戦争映画的なドンパチがメインに。
ただ、勝敗は既に決しているようで、一進一退の攻防と言うよりは完全なる掃討戦といった様相。
プレスたちがそれをどう切り取るか…でエンディングとなります。
内戦の構造的には、蜂起した西部中心の州とまだまだ多くを束ねる連邦政府の対立ですが、敵も味方もアメリカ人という中で、正直日本人の私にはどちらが西でどちらが連邦なのか、シーンによってははっきりしなかったりも。
ただ、恐らくこの映画で、そこはあまり重要な要素では無いのでしょう。
ニューヨークで澄まし顔で仕事をこなすホテルマン、廃スタジアムで疲労の色を見せつつも責任感を持ってキャンプを運営するボランティア、隔絶した田舎町で仮初の平和を謳歌する女性店員、アメリカ的かを問いながら市民を虐殺する西部軍兵士…
ラストのホワイトハウスで最後までいわゆる「現代のアメリカ」を維持し続けているSSと政府高官達を含め、極限の状態だからこそ浮かび上がるそれぞれのキャラクターに、アメリカという国を感じました。
その意味で、(内戦という)状況自体は非リアルですが、そこにいる人々が極めてリアルに浮かび上がる映画でした。
アメリカ的に絶対正義であるワシントンとホワイトハウスを人の手で容赦なく破壊し、報復もない(しようがない)米映画、という部分でも価値がありそうです。
しかし、本当にこんな状況になったら日本は政治も経済も軍事も大混乱なんだろうな…。
海外の動向は基本言及されないですが、数少ない情報として米ドルよりカナダドルのほうが価値があったり、中立地としてアラスカ・グリーンランドという具体的な地名が出てきたりするなかで、非現実とは知りつつ、そんなことをぼんやり考えさせられたのでした。
戦争は単なる殺し合い
この作品程、予告編で抱いた作品とかけ離れた作品は初めてです。予告編イメージでは、分裂内戦B級的映画でした。まさかカント的映画だとは。静粛シーンにそれを感じ、恐らく写真は無音のメッセージを表したんだと思いますが、そのシーンで色々な思い、思考が交錯しました。
ダンプトラックの、米国人てどんな米国人?、のシーンは、恐怖心を持って観てました。又、ラストの、若い女性カメラマンのシーンも衝撃でした。
米国では南北戦争はシビル・ウォーですが、この作品のシビル・ウォーは、それとは違う戦争、正にシビル・ウォーでしたね。
中国人に慈悲はない
戦争映画の一種とすれば普通だとは思うが、期待していたものは見られなかった。
個人的に、アメリカという大国が分裂したことでどうなるか、を描くと思っていた。
しかし正直どこの国でもよかったと思う。(一部アメリカ的な考えは出てきたが、主題ではないし)
内戦の発端も明かされないので、没入も出来ず。
上記2点から、戦争なんて始まってしまえば全部同じか、なんて思ったり。
各々のジャーナリズムも語られないため、危険を冒して撮影を続ける動機も分からない。
サミーなんて一切取材する様子もないし、何しに着いてきたの?
そのサミーの死を受けてなお止まらない理由、どころか辞めるかどうかの葛藤があったかさえ不明。
リーは腑抜けだしたし、ジェシーはよりのめり込んでたので、何かしらあったのだろうけど…
WFが大統領の抹殺に成功するが、きっかけも目的も知らないから、分かったのは戦争が終わったことだけ。
自らを庇った人の死にシャッターを切る気持ちも、死体を囲んで笑顔でチーズする気持ちも理解できない。
戦時下とはいえ、誰にも共感できなかった。
ジャーナリストのフォローしながら戦闘しなきゃいけない兵士は大変だなぁ。
戦争は怖い…
映画館の予告とTV CM以外の情報を一切入れないで見に行きましたが、思っていた感じと違う…
正直、ジャーナリストの友人の出番迄はちょっと眠くて、銃声の音で『ハッと』したりして…
それ以降はラストまで一気に突っ走ります!
まあ、戦争が如何に人間性を損なうかって事で、だんだんと人間を被写体としてしか感じられなくなる女の子が恐ろしい…
なんで米国が分断したのかなんて全く出てこない!
今のアメリカじゃ、色々有り過ぎてなんでも良いって
事かな?
今一つリアリティに乏しい
製作費が相当なものだとのことだが、画像的には建物のセットなのか、登場するクルマやミリタリーワークなのか、役者さんの数なのか、だが、全体的な印象としては謳い文句の没入感を得られなかった。
その理由は以下の3つにあるような気がした。
①映画の主題が不明。
・ダンストが演じる主人公(なのか?)のLeeさんの描写から、この映画がどういう主題を表現したいのかがよくわからない。
・サミーが出血多量で亡くなるときは、ジョエルが慟哭したりLeeが撮ったデジタル写真を捨ててしまうが、Leeが撃たれて死んだときには、誰かが彼女のカメラを回収するわけでもなく彼女の亡骸も放置。
・西軍の皆に、従軍カメラマンにまで、一人生き残った大統領をその場で殺す前提が共有されている意味は何なのか。
②全てが安易。
・丸腰のシボレーVANでパンクもしないで長大な戦場を通り抜け、そのまさに最前線まで丸腰の記者達が容易に辿り着いてしまう。
・政府軍の抵抗がほとんどない(ような)のも不思議だ。
③戦場や殺戮の生々しさをリアルに表現したいように見えるが、全く現実味がない。
・サミーは、仲間の記者達を脅すM16を持つ2人の軍人だけを、遠くからシボレーで大音量を出しながら近づいて来て易々と轢き殺せてしまう。
・ジェシーが撃たれそうになった際に、Leeは咄嗟に彼女を突き飛ばして代わりに棒立ちになってしまうが、倒れこんだジェシーはカメラのフィルムを巻き上げLeeが代わりに撃たれるのを写せてしまう(そんな暇が有ったらLeeも逃げろよ)。
・ジェシーは戦場カメラマンにあこがれているが、NIKONの古いフィルムカメラを使っている(戦場で現像、露光している)。
アメリカン・スナイパーやプライベート・ライアンとは随分差がある。
気分はもう
戦闘は単純 戦争は複雑
わかりやすい戦闘に目が行きがちだけど それ以外が恐怖だ
関わり合いにならなければ無かったコトに出来るとでも言いたげな街でのシーンが1番怖いかも
何もかもが制御出来ないのだ ホントのアメリカ人などないのだ
DCに辿り着くまでのロードムービーが本編で
その先はエンタメ寄りだろう 大統領を殺せば終わるなんてゲームでもないだろう
コレが映画でよかったと言える現実を望み
今 世界に蔓延する戦争に終止を願う
ジャーナリストという立場を有効活用した傑作
見終わってまず思ったのは、ジャーナリストが主人公なのか、いや〜うまいな〜〜ということ。
うかつに制作に手を出すと、政治批判や派閥、社会に関する思想などが丸出しになりそうな題材をうまく扱い、映画として面白い作品に仕上がっていると感じました。
ジャーナリストを主人公にすることで中立・俯瞰的な立場から戦争の最初から最後までついていく。
それによって、戦争の全貌(映画に写っていて自分たちが見ている内容すら一部かもしれないけれど)を思想が偏ることなく見ることができると思いました。
廃墟となった遊園地のシーン。
末端の兵士たちはたぶんただ生きるために戦ってるんだろうな〜ということも思いました。
また、残虐な行為をするガソリンスタンドの青年や、差別主義者な赤いハント用サングラスの兵士(?)も、戦争によって浮き彫りな部分を目の当たりにして心臓がヒュッとなりました。
A24史上最大予算、最大規模の力がひしひしと伝わってきました。
予想とは違ってたが
観る前はフルメタルジャケット プラトーン的な戦争映画をアメリカの内戦としてみせ最後は白人政府側が勝利するんだろうなと思っていた。
実際は報道カメラマンからの視点で戦争を捉えたものでした。
内戦がどのように起こったのかは全く描かれず、ラストはホワイトハウスが制圧され大統領が殺される所で終わります。
映画としてはよくできていて面白かったのですが、個人的にはなぜ内戦が起こったのか制圧後どうなるのかの方が興味あるので、何とも消化不良な感じです。
アメリカ人ではないという理由で殺したあの軍人は西軍?
で大統領を殺した軍人が黒人の女性?
白人至上主義で移民対白人で内戦はじまったのかなと考えていたのですが違うみたいだなぁ。ますますわからん😭💦💦
想像より結構違いました。
映画を見る前に簡単なあらすじは見たのですがジャーナリストが戦火をくぐり抜け大統領にインタビューに行く何となくぼんやりと分かっていたつもりで、もっと激しい戦火をくぐり抜けていくのかと思いきや4人のジャーナリストがのんびりクルマで目的地まで向かいたまにトラブルに巻き込まれる感じで想像していたのとはかなり違ったので拍子抜けでした。もちろん戦いの中でのシーンも最後(ラスト)の方にはあるのですが全体で見ると少ない時間です。出演キャストに目を向けるとリー・スミス役のキルステン・ダンストさん個人的にはスパイダーマンの彼女役のイメージが強いです、というか彼女の作品ってスパイダーマン以外余り見てないというのもありますがwしかしスパイダーマンの彼女役をやってからもう20年近くも経つんですね、時が経つのは早いです。キルステン・ダンストさんも歳を取るわけだwジェシー・カレン 役のケイリー・スピーニーさんは映画の設定とはいえ行動が無謀すぎますね。最後はリー・スミスがかばって銃弾に倒れてしまいジェシー・カレンは助かりますが現実だったらジェシー・カレン 役みたいな無謀な人は戦場では真っ先に死ぬタイプでしょうね。無謀と勇気、勇敢は同じようで全く違うものですから。リー・スミスは最後の方では行動が控えめでしたがその事をよくわかっていた行動だったのかもしれません。リー・スミスや他の人もジェシー・カレンに対してそのこと(戦地での事)は何度か忠告はしていたはずですが聞く耳持たずって感じで太ったおじさんのサミーが一番わかっていたように思いますが。
Face
ロードウォームービーという感じの作品でスリルは抜群に感じられましたが、どうにも奴の存在がノイズすぎて物語の重厚さにのめり込めず惜しいなと思いました。
序盤から街中で起きている暴動を撮影するカメラマンたちが映され、やがて大統領への取材が行われていないことに違和感を持ってホワイトハウスまで向かうといったストーリーで、思ったよりゆっくりしたスタートで拍子抜けしてしまいましたし、ダラダラしてるなと要所要所で思ってしまいましたが、ホワイトハウスへ近づいていくごとに不穏さが増していき面白くなっていきました。
途中で武装している人々に捕まってしまい、人種を問われて答えるとアメリカ人にも種類があると言われてぶっ放されて、香港と言えば有無を言わさず殺され、とやはり根本から根付いたものは消せないのかと虚しくなりましたし、でも自分の国以外の人と接する時は違和感を感じるし、接客業に就いているのもあって、日本なんだから少しは日本語喋りなよと思う自分もいるので、その拡大解釈版がこの武装している人なのかなと思いました。
最後のホワイトハウスへの突撃の緊張感は凄かったです。
敵か味方かの区別がつく前に行動して銃をぶっ放す、その様子を戦場カメラマンが激写していくという命懸けも命懸けな様子をスクリーン越しとはいえ観れたのは本当に貴重な体験だと思いました。
見境なく撃たれる銃弾、敵だと判断したら即座に射殺、とにかく前へ前へ突き進んでいく傭兵たちに天晴れですし、あんなとこで武器無し丸裸で交渉なんて無理があるんだなとSNS社会とは真逆の言葉が全く効かない世界線は強烈に映りました。
どうしてもジェシーの勢い任せの行動が引っかかり続けてしまいました。
最初から掛かり気味な部分は気になりましたが、若者ってそういう感じだよなとなんとか納得していたんですが、車から車へ飛び移る時は完全に調子に乗っていたと思いますし、勝手に飛び出しては犠牲が生まれて、また勝手に飛び出しては犠牲が生まれてを繰り返してやっていたのでマジで反省の色も何も無いなと観ながら最高にイラついてしまいました。
あれぐらいのハングリー精神が無いと戦場では生き抜けないとは思いつつも、お前のその行動が無ければ無事だった命もあったんだぞと誰が引っ叩いて欲しかったです。
他の創作物でもこういった感じで単独行動に出るカメラマンって悪びれなくやるから本当にタチが悪いなと改めて思いました。
ただジェシーがある種の怪物になったかのような表情はとても良く、「プリシラ」「エイリアン ロムルス」に続いてケイリー・スピーニーの演技力をまざまざと見せつけられました。
ドンパチ戦闘シーンが後半に偏っていたのもあって前半の物足りなさはありましたが現地にいるような映画体験ができたのはとても良かったですし、他人事だなんて思えない事象が飛行機で行けるところでは起こっているんだなと少し肝を冷やしました。
鑑賞日 10/5
鑑賞時間 9:50〜11:55
座席 L-9
【シビれル映画】
アメリカの内戦という大いなるもしもを、トランプ風刺でリアリティ満載に描く。戦場の音を巧みに表現して実はラージフォーマット向き。色んな意味でシビれル一本。
◆概要
【脚本・監督】
「エクス・マキナ」アレックス・ガーランド
【出演】
「スパイダーマン」シリーズ キルステン・ダンスト
ワグネル・モウラ
「DUNE デューン 砂の惑星」スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン
「プリシラ」ケイリー・スピーニー
「エクス・マキナ」ソノヤ・ミズノ
「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」ニック・オファーマン
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」ジェシー・プレモンス(キルスティン・ダンストの実夫)
【製作費】
$50,000,000(推定。A24における史上最高額)
【公開】2024年10月4日
【上映時間】109分
◆
◆以下ネタバレ
◆
◆大統領
大統領が“大勝利”間近である事を何やらカメラに向かって熱弁する様子から始まる冒頭。終わってみればこの“大勝利”は大いなる虚構であり、二期までの大統領就任期間を3期まで広げた(というセリフがあった)横暴ぶり。大統領に始まり大統領に終わるこの物語は、つまりこの男が諸悪の根源であり、全ての発端だとこの冒頭で記していた。監督は、ファシズムや暴力的な言葉に対する怒りが本作製作の根源だと語っており、また、この大統領はトランプを意識したとも明かしている。この物語が、現世で一歩道を間違えれば現実のものとなりうる恐ろしさで満ちていたのは、監督のそんな思いや演出からくるものだと思った。
◆狂
そんな大統領を発端として、人間の“狂い”が描かれていく。冒頭の自爆テロから、ガソリンで火をつけられる黒人、吊るされた死に際の男達、ウインターランドでの銃撃に死体を踏み越える描写や、兵士3人に袋を被せ不必要に散弾を浴びせるシーンも狂気。なんと言ってもインパクトなのはバージニア。ジョエルを演じた役者が演技後30分泣き続けたといい、死体の山を前に次々と仲間が撃たれていくあのシーンのおぞましいこと。戦争が人を狂わせる事がこれでもかと映画全体で描かれ、そしてそのリアリティが強烈だった。また音も印象的で、轟音の銃声や微かなうめき声に(IMAXだったので尚更)震えるし、次々と銃殺するシーンにポップスが乗る、とてつもなく異様な音の演出も。特に意味はないらしいがオープニングクレジットのテストトーンも、エンドロールに入るグランジ的な曲も不気味。音による“狂”の演出も際立っていた。
◆ラスト
リーが銃撃に倒れるラスト。思えば、“勃起するほど興奮する”とジョエルが表現していたように、また前項のように、戦場が人を狂わせる事を懇々と描いた本作。英語で銃を撃つshootと撮影するshootは同じ単語であり、ホワイトハウス内では、まるで兵士の銃と同期するようにジェシーがシャッターを押していく。つまり、ジェシーもある意味戦場の毒に侵されていた訳で、リーがジェシーをかばったのも、銃撃回避の物理的なものはもとより、堕ちていくジェシーを救う精神的なものでもあると思った(あの場でリーが撮る写真はカラー、ジェシーのそれはモノクロであったのも、それを暗示する演出か)。リーがホワイトハウス前で吐き気を催していた事に、どうしたリー?と見ているこちらも不思議になるのがミソ。リーの反応が本来正常で、見ている我々すら本作を通じて戦場の毒に侵されている訳だ。リーの願いも叶わず、見捨てて進むジェシーの姿がなんとも悲しい。大統領の死体に笑顔で写真に映る兵士達が、人の死に無感情となる本作の極め付け。わきに映る残党は、おそらく何かしらの反抗をその後企てる訳で、戦争が生む憎悪の連鎖、戦争が終わらない事を暗示する演出。現実であの元大統領が引き起こしかねないとてつもない罪を、ラストで重々しく表現していたと思う。
◆関連作品
○「エクス・マキナ」('15)
ガーランド監督の長編初監督にして代表作。第88回アカデミー賞視覚効果賞受賞作品。プライムビデオ配信中。
◆評価(2024年10月4日現在)
Filmarks:★×3.8
Yahoo!検索:★×3.0
映画.com:★×3.9
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