シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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”ギレアド”の前日譚のように思いながら見ました
Huluの「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」はアメリカの内戦後に、全体主義の国家、ギレアドが出来る(詳細略)話なんですけれど、勝手にその内戦ってこんな感じだったのだろうと思いながら見ました。深い意味はないんですが。
ベテラン戦場カメラマンのリーと、駆け出しのジェシーの描き方、対比が面白いと思いました。デジカメとフィルム、カラーとモノクロみたいな。
ジェシーのカメラの腕も、構図も、どんどん上手くなっていくのだけれど、なんというか、戦争をアートとして捉えているというか、アメリカ的な、対岸の火事的な性格も、見ていてイライラはしつつも、ジェシーはアメリカのことを意味しているのかなと。
並走する車を乗り移る場面が一番イライラMAXだったけれど(ジェシー・プレモンスに捕まって当然ね、くらい)、これも、戦争に対するアメリカの比喩なのかも。だとすると、リーは何の比喩だろう。
ユダヤ人とか、黒人とか、人種で攻撃されるのではなく(香港で撃たれてたけど)、ネブラスカとかフロリダとか、出身の州で敵対するんだなぁ、へー、と思った直後、今でも会津の人は長州をよく思っていないっていうから、そういうことかと妙に納得してしまいました。
ウオームービーかと思ったらロードムービー? 追記:赤いグラサンの男は…。
10月4日(金)
公開初日の「シビル・ウオー アメリカ最後の日」をフォトグラファーの友人とユナイテッド・シネマ浦和のIMAX(字幕)で。
状況の説明は無い。いきなり内戦下である。大統領が何をしてどういう理由で内戦になったかは、描くと政治的にも色々まずい事があるからだろう。テキサス州とカリフォルニア州の同盟を主軸にした西部勢力(WF)と政府軍が対立している。WFが優勢でホワイトハウスへ向かうのを追って、先を越して14ヶ月取材を受けていない大統領の単独インタビューを取ろうとするジャーナリスト・ジョエルとカメラマンのリー(キルステン・ダンスト)、記者のサミーに23歳の若いカメラマンのジェシー(ケイリー・スピーニー)が加わる。
ここからは完全にロードムービー、ワシントンD.C.へ向かう4人だったが、給油に寄ったスタンドでは私刑にした友人を吊していたり、途中で政府軍とWF(民兵?)の戦闘に遭遇し、銃弾飛び交う中で戦闘の状況をカメラに収める。
リーがキャノンやソニーのデジタルカメラを使っているが、ジェシーはNIKONのフィルムカメラを使っている。SONYのロゴが消されているのはコロンビアに対する忖度か?
ジェシーが撮ったフィルムを携帯キットで現像していたが、一緒に観た友人によれば、実際戦場カメラマンはああいった携帯キットで現像するものらしい。でも現代のUSならデジタルだろう。二人の違いを際立たせる演出か。
民間人の死体をトラックに一杯積んでいる武装集団と遭遇する。赤いサングラスをした男(ジェシー・プレモンス)は「お前は、どの種類のアメリカ人だ?」途中で合流したジョエルの友人二人は彼らに射殺される。リーやジェシーやジョエルも危なかったが、車に潜んでいたサミーが彼らを車で跳ね飛ばす。しかし、彼らの仲間に銃撃されてサミーは息絶える。
WFの基地でサミーの遺体を降ろした一行はWFと一緒にホワイトハウスへ向かう。
ここからがウオームービーだ。ホワイトハウスを包囲したWFは一斉攻撃をかけ、邸内に突入する。突入のため戦闘する兵士を撮影するが、リーには躊躇いが見られるがジェシーは肝が据わったようにシャッターを切り続ける。
そして、大統領執務室へ突入する際にリーはジェシーをかばって銃弾を浴びる。リーに構わず兵士を追うジェシー。遂に大統領は確保される。ジョエルが大統領に何か一言と問えば「私を殺させるな」ジョエル「それを聞けば十分だ」WFの兵士により合衆国大統領は射殺される。
同じ国の兵士同士が、自国内で戦い、殺し合う。そして、大統領を殺して笑って記念写真を撮るのだ。そのモノクロの記念写真が現像されてはっきりとして行くところで映画は終わる。
「お前は、どの種類のアメリカ人だ?」自分と違う種類のアメリカ人は躊躇無く射殺する。惨憺たる思いである。今回の大統領選挙後にこうならない事を祈るばかりである。
ベテランジャーナリスト・サミーを演じたスティーブン・マッキンリー・ヘンダーソンに助演男優賞を。
追記︰映画が終わって劇場を出るとロビーで「憐れみの3章」の予告編をやっていた。あれ、この人は赤いグラサンの男では?
赤いグラサンの男を演じたジェシー・プレモンスは、カメラマンのリーを演じたキルステン・ダンストの夫で、当初別の俳優だったが出演出来なくなり妻からの連絡で急遽出演したらしい。拘束2日でギヤラは無し?私は気が付かなかったがクレジットに名前が無いらしい。あのシーンから明らかに雰囲気が変わったし、あのシーンの後で俳優たちも休養が必要だったと監督が語っている。ある意味、この映画のハイライトだった。
有りえるかもしれない現実
これまで独創的な作品を創ってきたアレックス・ガーランドが今作では米国の内戦をリアルに描く。
この作品は米国では4月に公開されたが、少し前の12月にはNetflixでは「終わらない週末」という作品が配信された。これも米国での内戦をテーマにしている。
不思議なことに映画という物は同時期に同じようなテーマの作品が重なる事がある。公開日を見据えてその時の情勢などを監督が未来視するかのように作品を創るのである。
この米国の内戦というテーマは来月11月に控えている大統領選挙を見据えての事なのだろうか。
内戦に至った経緯は詳しくは描かれないが、3期という有り得ない期間の任期を務めている大統領の独裁ともいうべき政府に痺れを切らしたのだろう。
大きくは政府軍と西部部隊の衝突だが、厄介なのはそれらに属さない独自の部隊である。彼等の思考は曖昧で、気に入らないものは排除するような対話が成り立たない、ある意味前線よりも危険な地帯がそこら中にあるのである。
もう一つ今作の特出すべき点としては、近年の作品の中でも群を抜いてサウンドデザインが素晴らしい事だ。
プライベート・ライアンやブラックホーク・ダウンなどの戦闘シーンはよくリファレンスにも挙げられるが、それらを凌駕する程である。
毎回必ず1つはトラウマになるシーンがあるアレックス・ガーランドの作品だが今作もテーマ性の強いリアルな描写はトラウマに匹敵するようなものかもしれない。
どの種類のアメリカ人だ⁉️
この作品は星の数ほど製作されてきた過去の戦争映画とまったく同じ‼️戦争の理不尽さ、虚しさ、残酷さ、そして恐ろしさを戦場カメラマンの視点で描いております‼️ちょっとオリバー・ストーン監督の「サルバドル 遥かなる日々」を思い出しました‼️しかし今作が決定的に違うのは、アメリカの内戦を描いているという事‼️内戦に至る経緯が詳しく描かれないので、いまいちピンと来ませんが、アメリカの市街地での戦闘シーンやホワイトハウスで大統領が殺害されるシーンは、ホントに迫力があり戦慄でした‼️キルスティン・ダンスト扮するリーを主人公に、報道仲間のジョエル、そしてケイリー・スピーニー扮するジェシーら4人のジャーナリストがワシントンDCを目指すロードムービーの形をとっているのですが、道中、兵隊二人に殺害されるそうになるシーンは強烈で、掘られた穴に多数のアメリカ人の死骸がトラックから無造作に捨てられ、ジェシーは恐ろしさに泣き震え、リーとジョエルが必死に助命を訴える中でのやりとり「同じアメリカ人だ」「どの種類のアメリカ人だ?」が印象的‼️そしてラスト、ホワイトハウスで夢中でシャッターを切るジェシーが撃たれそうになり、その身代わりにリーが撃たれる姿を、ジェシーのカメラ越しにモノクロに描いたショットは素晴らしかったし、倒れたリーをジョエルもジェシーも気にすることなく先に進む姿に、戦争の真の恐ろしさを見せられた気がしてゾッとしました‼️
ボーはおそれているで大赤字ぶっこいたA24が巨額の制作費をかけて制作した
映画冒頭から小一時間、ニューヨークからワシントンまで車で向かう従軍記者達。
何も起きない旅で、新人ジャーナリストの少女はデジカメが主流の今、あえてフィルムカメラにこだわり屋外で現像をしているが、これがEDロールの薄気味悪い映像の伏線だったとは予想外でした。
ずっと、地味なロードムービーが続くので、これのどこにお金がかかっているのか疑問だったが、最後の最後でワシントンをぉー、ぶっ壊す!ここで、制作費をぶっ込んだのかぁ。
本当に現地で撮影したわけないから、巨大セットだったのでしょうか。やっぱ、映画監督だったら大都市を破壊してみたいよね?
道中、おじいちゃんがずっと、
「 ここは、危険だ...」
と、呟いているがあんまり相手にされない。途中、謎の車が煽り運転をして逃げようとしたが、ジャーナリスト仲間が、おふざけで追いかけていた事が分かる。
旧知の仲間も増えて楽しいドライブになる。緊張感が和らぎ、このまま、平和にワシントンに到着すれば良かったのだけど、
途中、立ち寄った広大な広場に到着する。広場には大きな穴が掘られていて、その穴には大量の死体が山積みになっていた。
穴の側には、ライフルを構えたエルトン・ジョン似の赤いサングラスの男。男は一向にこう質問する。
「 お前は、どの種類のアメリカ人だ?」
何を答えれば正解なのか、分からないが何とか答える一向。
この後の展開は見てのお楽しみだが、少女は助かるが死体の山に転がり落ちてしまう。
初めて死体に触れてショックで車の中で吐いてしまう。この程度の事で吐いていたら、ジャーナリストやってけないじゃん?
だが、少女は最後の最後に起きた事件がきっかけになって、死体に慣れてしまう...。これが、切ないんだよなぁ。
さて、いつも通り話しは飛ぶけど、自分も葬儀屋に勤めていた時は、水死体とか、首吊り死体とか、腐乱死体を見た時はくるもんがありました。
ところが、昼勤務の正社員達は変死体に慣れてしまいすぎて、人としてありえない発言をします。
自分が葬儀屋の夜勤の宿直をしている時に限って遺体の搬送の電話がかかる事が続いた時期がありました。
いわゆる「 引きが強い」 というやつで、一晩に二回引いて、やっと帰れると思ったら早朝に県またぎの移送があったりして、葬式が出来る部屋が二つしか無いのに、ばんばん引きまくって、もう葬式をする部屋が無い状態になって、
いっぱい、いっぱいになってしまった、とある日、いつも通り、夜勤の出勤時間になり引き継ぎをして、
「 もし夜間に移送が入ったら、最短の葬式は何日ですか?」
と、聞いて何日かを確認した後に、引き継ぎだった支配人代理がこう言いました。
「 今晩、引いたら殺すよ?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「 次に引いたら殺すよ?」
は、支配人も言っていた言葉で、死体で飯食っているのに何を言っているのか理解不能で、こんな人非人な発言をする人達が恐ろしくて、恐ろしくて。
でも、こんな人格なのに遺族には評判が良かったんだよなぁ。遺族の皆さん、裏ではコイツらこんな事言ってたんだぜ?
さて、ワシントンに到着してご一行は戦火の中に飛び込む。ロケット弾飛び交う中、大統領が大統領専用特殊車両三台で脱走するも集中砲火にあい、特殊車両は大破して停止する。
大統領は無事なのか?
最初に少女のフィルムカメラの伏線があると書きましたが、デジカメ世代には分からない人もいるかもしれないけど、フィルムカメラは写真の絵が、じわじわ見えてくるのだけど、
EDロールで、何の写真か分からないピンぼけ( 何て言うんだっけ) の写真がフィルムカメラのフィルムが現像されるように、じわじわと見えてくるんだけど、その写真の後味の悪いことといったらないです。
後味悪い系の映画が好きな人にお勧めの映画です。
戦場カメラマン、ジャーナリストたちの物語
今もリアルに起こっている内紛。
大国アメリカが分断され、内乱は過激さを増し
政府軍の敗北が見えてくる。
勝手ながら、内紛が勃発した理由やら、
その経過から激しさを増す内乱を描いたものかと
思っていた。
ジャーナリズムと新旧戦場カメラマンの成長を
描くことに特化されていて
激しいドンパチは思っていたより少なく
内乱の裏側をスクリーンを通して体感している感じ。
リアリティはあって、現実に起きるかも?と
思わせるので恐怖心を煽られるが、
どうしてもここ日本では起きえない。と思ってしまい
どこか他人事、よその国のこととして見ちゃう。
その無関心?さが良くないのは百も承知🙏
戦場カメラマンの渡部さんを思い出し
彼が本作を観たらどんな感想を述べるかなぁ。と
思いながら劇場あとにしました。
赤いサングラスの男のシーン怖すぎる😱
今回はIMAXで鑑賞。
序盤から丁寧にドラマを描いていて、そのあとアメリカの様子や主人公たちがD.C.を目指す様子が描かれます。
欲を言えばどういう経緯で内戦が勃発したのかも描いて欲しかった。
主人公たちの成長なども丁寧に描かれていてとてもいいと思った。
あと、銃声がリアルすぎていきなり発砲するとき、いちいちびっくりした(笑)
ラストD.C.に着いた時の戦いのシーンは、迫力満点で大満足。
この映画は結構考察しがいもあると思うので、後日よく考えて、自分なりの考察をここに追記したいと思います。
命乞い
世界中に派兵している合衆国が、テロではなく内戦が勃発することを仮想したことを映画化出来ることが驚きであり称賛できる。
でも、
記者ジョエルは内乱後の大統領への最初のインタビューを何にするかと悩んでいて、それが現に現実に実現すると、
ジョエル「大統領、何か一言?」
大統領「殺さないでくれ」
なんと、馬鹿馬鹿しいほど普通の質問に、応答はさらに普通で笑えた。
感情に流されず報道写真家は記録を残すことと言いながら、
新米報道写真家の盾となり命を守ってあげて散っていったベテラン報道写真家リー、
そのリーを亡くし命を守られたジェシーは、覚醒したように脇目も振らず大統領射殺現場に突入し記録写真を撮り収める。
民間ミニタリーマンが、捕獲した記者にアメリカ人とは、どの種類のアメリカ人と詰問する。
さらに南米、中米、何処から来たアメリカ人か?
南北アメリカ大陸、合衆国の成り立ちを想像すると侵略と奴隷のアメリカ大陸が見えて来て笑えてくる。
他にもこの映画は、アメリカ人がアメリカを客観的に俯瞰した謙虚な姿勢で警告を発していることを感じる。
そう、カメラマンもソルジャーのように第一線で任務だけを果たして行くだけでいいのか?
そんな自問に足がすくみだしたリーが取った行動が救いだと感じたが…
大統領の辞世が命乞いだったことも素敵だった。
(・∀・)
シビル・ウォー アメリカ最後の日
劇場公開日:2024年10月4日 109分
「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランドが監督・脚本を手がけ、
内戦の勃発により戦場と化した近未来のアメリカを舞台に、最前線を取材するジャーナリストたちを主人公に圧倒的没入感で描いたアクションスリラー。
連邦政府から19の州が離脱したアメリカでは、
テキサス州とカリフォルニア州の同盟からなる「西部勢力」と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。
就任3期目に突入した権威主義的な大統領は勝利が近いことをテレビ演説で力強く訴えるが、
ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。
戦場カメラマンのリーをはじめとする4人のジャーナリストは、
14カ月にわたって一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うべく、ニューヨークからホワイトハウスを目指して旅に出る。
彼らは戦場と化した道を進むなかで、内戦の恐怖と狂気を目の当たりにしていく。
出演は「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のキルステン・ダンスト、
テレビドラマ「ナルコス」のワグネル・モウラ、
「DUNE デューン 砂の惑星」のスティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、
「プリシラ」のケイリー・スピーニー。
シビル・ウォー アメリカ最後の日
劇場公開日:2024年10月4日 109分
音響がすごい
ですね〜
初っ端から引き込まれました
IMAXかせめてしっかり音に気をつかってる映画館でぜひご覧になって
キルスティンはスパイダーマンのころから好きです。
ラストでびびってた、と思ったら、だてに歴戦カメラマンやってませんね〜
本能的なのは師匠のサミー譲りなんでしょうか。
せっかく大統領にたどり着いたところで新旧交代で、、、
しんみりしちゃいましたが、
若き気鋭の後輩が記念撮影です。
プリシラの彼女だとはわかりませんでした。
彼女の最高のショットはエンドタイトル、スクリーン上で現像、拡大、焼き付けられます。
サミーが語ってた過去の独裁者の現実が想起されました。
一番好きなシーン
山火事?燃える森をプレスカーで突っ切るところ。瀕死のサミーの手が火の粉を追います。
あと、WFと合流してサミーを悼む写真家二人、バックの川面のキラキラ。
音響だけでないですね、撮影も、です。
ライバル的なプレスクルーのビデオマンは
ケビンコスナーの現代西部劇ドラマやシカゴPDに出演してましたねー
映画館でどんどん観たい役者さんです!
今年のベストワンです♪
現実になってもおかしくないリアリティ
アメリカが内戦により分断され、同国内で同国民が殺し合い、命が簡単に失われていく様を
淡々と映し出されるがゆえ、戦争の恐ろしさがよりクリアに伝わってきた気がします。
加えて、音響による演出がハンパなくエッジが効いていて、
何度も「ビクッ」としました。Dolby Atmosで観たため、より一層“音”による迫力があり
圧倒されましたね。
俳優陣、特に主演?のキルステン・ダンスト(リー)とケイリー・スピーニー(ジェシー)が
光っていましたし、ジェシー・プレモンスの不気味且つクレイジーな演技も
素晴らしかったです。
ジャーナリストの視点から描いた内戦・戦争は、
肉眼では悲惨な状況にうつるのに、カメラを通すとどこか人ごとと言いましょうか、
客観的に見えてしまう、そこがまた恐ろしいと感じました。
その点においては、後半に火の粉が舞うなか車を進める主人公たちが映しだされるのですが、
戦火にも関わらず、どこか幻想的で美しくもあり、そう感じてしまった自分に、
そういう感情になっていいのか?と自問自答をしながら観ていました。
底冷えする恐ろしさを感じた次第です。
ロードムービーになっているため、道中含む行く先々の出来事がいちいち強烈で
ラストまでダレることなく一気に観ることができました。
ラストにおけるリーの死は、ワシントンD.C.での戦いが始まると、
リーになんとなく死亡フラグが立っているように見えていたので、納得ではあるものの
ある意味ジャーナリストとしてプロフェッショナルであったジェシーの冷静さに
違和感がありつつも、どこか納得感もあり、鑑賞後感は悪くありませんでした。
なんというリアリティ、なんという没入感、
私的フェイバリットにはならないと思うものの、すごい作品に出会いました。
危険と隣り合わせな戦時下の戦場カメラマンの危機にハラハラした。
内戦中なので治安が悪いというか、政府側なのか、分離独立派なのかも分からないようなヤツらが、戦闘状態じゃないところに銃を持ってウロウロしている。他国と戦っているのとはまた違った恐怖感である。
ワシントンDCへの道中、通りがかりに立ち寄ったガソリンスタンドでさえ銃を持って武装していて、相手の勘違いかなにかで誤解を与えてしまっても、撃たれて命を落としかねない緊張感がある。
(追記)この時、米ドルでなくカナダドルで払うという下りもニヤっとさせられる。
僕はこれ以降、覚悟を決めて、リーも含めて、もういつ誰が殺されてしまってもおかしくないなとハラをくくった。
映画観賞してるだけの僕がハラくくっても意味がないのだが(^^)、そんくらいリアリティがあって緊張したということだ。
建物にこもって狙撃してくるヤツがどっち側か分からないみたいな会話も、戦時下だとあるかもしれないと思えてくる。
特にダンプから死体を穴に落としてる赤サングラスなんか、よく分かんないヤツはとにかく殺すのがデフォルトで、あと30秒遅かったら多分みんな死んでた。
僕は、リーも23歳駆け出し戦場カメラマンも、最後には撃たれるか爆発で死んでしまうと諦めていたが、意外に23才女子がしぶとく生き残った。最後のホワイトハウス近辺での行動は見ていてずっとハラハラしどうしだった。生き残れば勇猛果敢だが、死んだら無謀である。
最後に自分をかばって撃たれたリーをそのままにして、撮影を続けるとこなんか、カメラマン魂を超えて、興奮から来る狂気に見えた。
政府軍が勝つと思ってたら、分離独立派が勝ったので、アララと思ったが、まあそれはどうでもイイ事である。
あと、予告やポスターの文言から、アメリカの分断を正面からとらえて問題提起するみたいな物語だと思って期待していたが、内戦下の戦場カメラマンの物語という感じだったので少し肩透かしを食った。
しかし、観賞後に映画.comの解説見たら、ちゃんとそう書いてあった。
しかし&しかし、緊迫感あふれる展開で映画にはドップリ浸かって面白かった。
分離独立派の国旗の☆2ヶがナイス。
ジェシー・プレモンス
彼の出演シーンは怖くてドキドキしました。
しかし、戦争の最前線の先頭にジャーナリストがいて、足を引っ張りまくってるのはいかがなものかと。
昼食直後の鑑賞でも寝なかったので採点甘めです。
寝なかったのは、ケイリー・スピーニーがタイプだからかもしれませんが…
【”お前はどの種類のアメリカ人だ?”今作は、現代アメリカの政治的分断による起こり得る危機を激烈な戦闘シーンで描きつつ、本質的には、戦争カメラマン、ジャーナリストの在り方について描いた作品である。】
■アメリカ合衆国から、西部の諸州(WF)が独立し、内戦状態になったアメリカが舞台である。
だが、今作では何故内戦が歿発したかについては、政治的配慮もあるのだろうが詳しくは描かれない。
イキナリ、WFがハンヴィーや戦車に乗り、大統領のいる首都、ワシントンDCに向かう光景と、それに付いていくベテラン戦場カメラマンのリー(キルスティン・ダンスト)と記者のジョエル(ワグネル・モウラ)達は、大統領の単独取材を計画する。
そして、ベテラン記者サミー(スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン)やリーに憧れる新人カメラマンのジェシー(ケイリー・スピーニー)も同行する。
◆感想
・四人が、途中で遭遇する民兵グループ、レイシストの武装集団との遭遇シーンの緊迫感が恐ろしい。
特にレイシストの武装集団との遭遇シーンである。
多数の黒人たちを殺戮したと思われる死体を荷台に積んだダンプ。
そして、サミーが制止する中、リーとジョエルとジェシーらは彼らに接触しに行くが、赤いサングラスをかけた男(ジェシー・プレモンス:ご存じの様にキルスティン・ダンストの旦那さん。注目株の俳優である。)が銃を構えながら、”お前はどの種類のアメリカ人だ?”と聞きながら、一人一人の出身地を訪ね、運転手の男が”香港”と告げた途端に容赦なく撃ち殺すシーンや、多数の黒人たちを重機で掘った穴に埋めるシーンは、正に現在のアウシュビッツである。
・サミーの機転で危機を脱するが、この頃から新人カメラマンのジェシーの、危険を恐れない死の瞬間を捉えるスクープを撮る事に執念を抱いて行く姿に変貌していく様が恐ろしい。
日本人戦争カメラマン、沢田教一氏が撮影した、べトナム戦争時に母親が子供を抱えて川を渡る姿を撮った写真が、世界に強烈なメッセージを発信したのは反戦思想を伝えるためである。
だが、この作品では、そのジャーナリストとしての気概を持ったリーと、パパラッチの如きジェシーとの対比が見事に描かれている。
・WFは、ホワイトハウスを包囲し、激烈な戦闘を繰り広げる。そしてホワイトハウス内に突入したWFの兵士たちは、職員を次々に問答無用で殺していく。
彼らについて、邸内に入るリーとジェシーとジョエル。だが、リーは無謀なジェシーのスクープ写真を撮ろうとする行動の盾となり、斃れる。
そして、WFの兵士たちは、最後には命乞いする大統領をも撃ち殺すのである。
その写真を撮るジェシーのレンズの中には、得意満面のジョエルもいるのである。そこには、戦争カメラマンやジャーナリストとしての使命感は感じられないのである。
<この映画は、現代アメリカでの政治的分断により起こり得る危機を激烈な戦闘シーンで描きつつ、本質的には、戦争カメラマンの在り方について描いた作品である。
変容していく、戦争カメラマンジェシーの姿は、秩序が崩壊した時代に適応した象徴なのだろうか。
この映画には、希望は無い。只、絶望のみが残る作品である、と私は思う。>
新人ジャーナリストのエピソードは不要としか思えない
冒頭から、既にアメリカが内戦状態に陥っていて、どうしてそんなことになってしまったのかについては、ほとんど説明がない。
確かに、現在のアメリカは、共和党(特にトランプ)の支持者と民主党の支持者との分断が深刻なのだろうが、だからと言って、カリフォルニアやテキサスやフロリダ等の州が独立に動くとも思えない。
映画の狙いが、「内戦が勃発したアメリカ」をシミュレートすることであるならば、下手に理屈を並べてその理由を説明すると、逆に現実味がなくなってしまうので、こうした、「原因はともかく内戦が起こっています」という描き方も「有り」なのではないかと思った。
実際、アメリカの街並みがウクライナやガザのようになっている光景はショッキングだし、水不足やら停電やらドルの下落やらによって市民生活が困窮している様子も生々しい。
何よりも、隣人同士が殺し合うという状況には戦慄を覚えるし、一行が住民の大量虐殺(の死体処理)の現場に出くわす場面では、「戦争の狂気」と「命の軽さ」が感じられて、肌感覚の恐怖を味わえた。
ラストのワシントンD.C.での激戦は、「戦争映画」としての本気度が伺えて見応えがあるものの、劣勢の大統領側が降伏もせずに最後まで戦い続けたり、大統領を問答無用で射殺してしまうところには、やはり違和感を覚えてしまった。
3期目を迎えているということなので、おそらく大統領は「独裁者」になっていて、それにふさわしい末路だったのだろうが、せっかくのチャンスだったのに、そもそもの目的だったインタビューがろくにできなかったことには、どこか釈然としないものを感じてしまう。
また、劇中、ベテランの女性ジャーナリストが、新人の女性ジャーナリストを教え導くような場面が度々出てくるのだが、それによって、戦場ドラマとしてのテンポや緊張感が途切れてしまい、間延びした感じになってしまったのは残念でならない。
それでなくても、新人ジャーナリストの勝手な行動とヘタレぶりにはイライラさせられたのだが、ラストでは、自分のせいで先輩が撃たれたのに、その様子を撮影するだけで、彼女を放置したまま、平然とその場を後にする姿には、あまりの非常識さに唖然としてしまった。
もしかしたら、戦場カメラマンとしての彼女の成長を描きたかったのかもしれないが、人命を軽視することがプロ意識であるかのような描写は、それこそ、ピントがズレているとしか思えない。
それから、報道クルーの全員がスチールカメラしか携行しておらず、映像や動画を撮影していないことにも、疑問を感じざるを得なかった。
戦争が悪とか、悲惨とか、 そんな価値観を壊してくれる。
戦場カメラマンを通じて描く、
最後は 大統領が ころされ
殺した兵士たちは 笑顔で
記念写真。
戦争が悪とか、悲惨とか、
反戦とかでも無く、右翼でも左翼でも無く。。
感じ方 善し悪し 意味は
観る者が 決めろ。。
ゾンビもモンスターもエイリアンもいない、けどさ
A24、やってくれるね!相当作り込んでるのがわかるね。無音のシーンがあったりさ。戦闘シーンのポップなBGMと日常時の不穏なメロディ!逆でしょ?普通!
キルスティンダンスト、久々ー!スパマイダーマンの頃好きだったな。あと、「メランコリア」ね。地球最後の時のあのアンニュイさを出せるのはいいよね。少し目がぼーっとしてるのが印象的!若いカメラマンの女の人、「プリシラ」の人かあ!中々よいキャスティングだよね。
ウィルスでも災害でもなく、もちろん、エイリアンの襲来でもないし、外敵との戦いでもない。でもあんな風に街が荒廃してるのって、、、り、リアルな怖さがあったよね。南北戦争みたいな「歴史」の世界でもないっていうのが中々ズシンときたなあ
キャスティング的にはキルスティンダンストが主人公的な立場だと思ったからさあ。
あ、あとラストの写真ね。ある意味あれが1番怖いかも。あれだけマジな戦闘の中、従軍記者がいるってのはね。「勝った方が正義」ってことなのかな?戦争なんて正義vs正義なんだよね、、、
総合的に★5をあげたい!内容も演出もよく練られててイイよ!2024のベスト決めるの大変になってきたぞ😅
カスカスの映画。☆一つも付けたくない
なぜアメリカが内戦にまでなってしまったのか、
その原因は何なのか、
和平・停戦への努力は無かったのか、
それをジャーナリストはどう捉え、どう報道するのか、
そして映画としてのエンドをどう描くのか・・・。
昨今のトランプ賛同勢力の在り様を踏まえ、
アメリカ合衆国という国の執るべき道筋の一つの考えが
示されるのでは・・・・。
期待は全て裏切られた。
「アメリカの内戦」というテーマに、
何の答えも問いかけも用意されていない。
特にラスト、エンドタイトルの背景にはあきれるばかり。
大統領を殺して全て終わり。そんな訳無いだろう。
騙された。
ある意味のリアルさは感じることができた。
戦地に行って命懸けでスクープ写真を撮って来る報道カメラマンって世の中に数多いるが、純粋な使命感よりも、賞を獲った有名カメラマンへの憧れや自分て凄い!みたいな自己陶酔によることが動機であるというリアルさというかイジリみたいな感じは良かった。
(穿った見方ですかねw)
ジョエルはあそこが硬くなるとか言ってるしw、どうみてもJKにしか見えないジェシーは最後にはカメラマンズハイになり人命への意識はすっ飛びスクープ最優先の行動を取る。
内戦に乗じて嬉々として武装する市民やアジア人を撃ち◯す人種差別主義者、惨状に目を背け農牧を続ける年寄りなど、実際にも当たり前にいるんだろうなと思わせるリアルさも良い。
でも一番リアルだったのは大統領の最後の言葉だったりして。
「インタビュー・ウィズ・バンパイヤ」の子役時代から見ているキルスティン・ダンストってまだ42才だそうだが、かなり疲れてて驚いてしまった。
報道の嘘、分断の現実、皮肉あふれる作品
ピントの合っていない部屋の中の様子から少しずつピントが合いはじめて物語は始まる。
「我々は史上最大の勝利を目前にしている」「我々は再統合を受け入れる用意がある」とホワイトハウスで力強く聴こえるスピーチの練習をする白人男性で"任期3期目"の大統領の横顔の一方で、ホテルの一室でそのスピーチを眺めてカメラを構える女性の部屋の窓からは爆炎が上がる。
米国が分断し、カリフォルニア・テキサス勢力(WF)が中心となって19州が連邦政府から独立を宣言。
大統領を取材しようという4人のジャーナリストがNYからワシントンD.C.までの約1300kmを車で旅する話。
女性の気鋭の戦場カメラマン、リー・スミス(ソニーα)
彼女に憧れ戦場カメラマンを目指す23歳のジェシー・カレン。(Nikon FE2)
記者のシェエル、ジャーナリストの先輩で杖を付く巨漢のサミー。
PRESSの黄色いジャケットも身につけず市内の暴動を撮影しようとして巻き込まれかけたジェシーをリーが助けた縁をきっかけに相乗りをして旅をする。
journal(日記/新聞・雑誌)、Journey(旅)、shooting(銃撃/写真を撮る)、rideshare(ライドシェア/相乗り)…
物語中に無数に散りばめられたダブルミーニングとダブルスタンダード、大統領によるメディアを通じたスピーチと実態はまるで異なり、連邦政府軍はWFに攻め込まれ崩壊寸前という描写にフィクションと明示しているのに不思議とリアリティを感じる皮肉っぷりに好き嫌いが大きく分かれる作品かと思う。
市街地での暴動を始め最新のミラーレスで決定的瞬間を撮影していたリーと、その背中を見ているだけでカメラを構えることさえできなかった父のお下がりだというフィルムカメラを持ち歩くジェシー。
ニュージャージーを迂回し、現実ではUSWによる労働組合騒動で揺れるUSスチール本社のあるペンシルベニア州ピッツバーグ、ウェストバージニアを経由してホワイトハウスのあるワシントンD.C.へ。
コロンビア特別自治区(District of Columbia)は正確には州ではない連邦政府の直轄地。
大統領はFBIを解体し、治安は悪化。その一方でどちらにも加担しない街では表向き平和な光景が広がる。
死と隣り合わせの旅の中で未成熟だったジェシーがどんどん銃撃の中でものめり込むように果敢にカメラを構えて撮影に挑んでいく姿とリーがカメラを構えられずにいる姿は対称的で辛い。
この作品に何を見出すのかは観た人によると思うが、クライマックスのワシントンD.C.市街地銃撃戦とホワイトハウス攻略、軍の最高司令官を兼ねる大統領の遺体を前に笑顔でWFの兵士たちがエンドロールで映っている様子は米国の建国の理念でもある「銃を持つ権利」、政府が腐敗した時に市民(Civil)が連邦政府を倒すことを権利として認めているアメリカにおいて、日本人の感覚では分かり得ない感情が込められていると思う。
また銃声や爆発、不意に突如として奪われる人の命が作品全体に緊張感を与えてくれる。
米国では4月から公開され話題となっていたようだが、日本では奇しくもドナルド・トランプ暗殺未遂が2度も起きた後で公開されたように、大統領選挙を強く意識しつつも分断の明確な理由を政治的、政策的背景などをほぼ一切触れない点は見事。
白人男性の"3期目"の大統領はトランプのイメージとも、バイデンのイメージとも見える。
個人的には大統領選挙や政策論争は大切だが、市民の生活はそれとは切り離されて、たとえ分断があったとしても日々の生活と人生は続くのだという事を忘れている人に呼びかけている所までが皮肉なのだと思った。
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