シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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戦争映画のネクストステージ
戦場にかける橋など昔の戦争映画→地獄の黙示録→プラトーン→フルメタル・ジャケット→プライベート・ライアン→1917→シビル・ウォー。
誰と誰が何で戦ってるのか、この人達はどっちの軍なのか、どういう状況なのか何も分からず。理由も正義もカッコ良さも勇気も哀れもヒーローもヒロインも無い、あるのは次の瞬間に頭を撃ち抜かれて死ぬかもしれない圧倒的な恐怖。戦争とはそういうものなんだろう。移動にともなって1人の人間が成長するロードムービーとしても素晴らしい出来ばえ。なんでもCGで作れる時代の嘘くさい映像が一切無い。しかし何をさておき、なんといっても、またすぐ見たい何度も見たいと思う映像はラストのワシントンD.C.大攻防戦とホワイトハウス突入。低予算で真面目に面白い映画を作ってきたA24が蓄積してきた思想と技術とお金を惜しみなく投入して大大大成功した後世に残る映画。映画ファンは絶対に映画館で見ておくべき。久々の文句無し5つ星!
期待外れでした。
一見単純なエンターテイメントだが
この映画の前に極右が作った正義を装った「サウンド オブ フリーダム」があまりに中身空っぽのマッチョ映画だったので呆れてしまったが、対する左派が作った今作は見応え十分で、過激な内容ながらも様々な視点から成り立つ物語で、映画としての出来はこちらが圧勝。
ニューヨークからワシントンDCに向かう道中の惨事はアメリカと世界の問題の象徴している。
ガソリンスタンドは格差社会の歪み、赤いサングラスは人種差別、戦争に無関心で一見平和な街は日本ではないだろうか?
新人女性ジャーナリストの視点から内線を捉えているのが、物語に共感を呼び分かりやすくしているし、成長の物語としても良いのだが、もう少しキルスティン·ダンストとの絡みをドラマチックに描いて欲しかった感じ。
内戦の対立軸はハッキリとは描かれていないが、もしもトランプ大統領が独裁者として政府に居座り、それに対抗する州がワシントンD.Cを落とすイメージ。まるでスター・ウォーズの帝国vs反乱軍同盟のような構図で、大統領を殺せば平和になるという話はあまりにも単純過ぎるけど、エンターテインメント的には分かりやすくて楽しめますね。
独立プロの作品だけどこんな内容の映画を堂々と作れるアメリカって、やっぱりすごい。
予想以上の面白さ
この作品はどの目線でどこを切り取るかで印象や感想が大きく異なるだろう。
いわゆる「戦争もの」という狭いジャンルでありながら、世界的な情勢や内戦の詳細など政治的な描写を思い切って省くことで(元大統領をピンポイントで明確に狙い撃ちしているが)、制作側の意図はともかく結果的に戦争映画という枠組みを超えて色んな広がりを持たせる事が出来たのではないかと感じた。だからこそ「戦争もの」でありながら主役を戦争そのものではなく軍人や兵士でもなく、完全なる一般市民でもないジャーナリストという立ち位置に据える事で、この作品ならではのリアリティを感じさせる独特の「ロードムービー」として上手く成立したように思う。それが個人的には非常に面白く感じたポイントだった。とは言え内戦に至る背景や情勢などもリアルに描いてくれよという意見も当然あるはずで、そう考える人にはやはりイマイチな印象になるだろう。そういう意味では賛否が割れるのは仕方ない。そもそも「戦争もの」って観た人の大半が納得するという事が一番難しいジャンルかなという気もするしね。また制作側の狙いとしてはアメリカを舞台にした話であると同時に、実はどこの国にも当てはまる事なんだと気づかせる意味もあったかも知れない。つまり戦争という名の普遍的な悲劇を題材にした「寓話」として捉えれば、僕的にこの作品は「アリ」だったという事だ。
ここではジャーナリストが軸なので、正義や綺麗事だけではない「ジャーナリズム」の残酷な側面の描写がある意味新鮮で非常に興味深かった。ジャーナリストという絶妙な立ち位置により、兵士のように戦うわけではないが一般市民のように逃げるわけにもいかない彼らもまた相応の「覚悟」がないと到底務まらない仕事なのだ。目の前で常に「人殺し」が繰り広げられ、それを映像に残す事こそが彼らの仕事だ。そんな極限の最前線では誰もが正常な感覚を見失い、どんな大義も正論も意味をなさない時があり、その瞬間は「何が正しいのか」なんてもはやどうでもいい話なのだ。ジェシー・プレモンス演じる兵士との壮絶な「やり取り」の場面はまさにその象徴と言えるし、これこそが「戦争の狂気」そのものなんだろうと思う。1秒後に自分が撃たれるかも知れないという恐怖。これって本当に想像以上なんだよね。
自分の昔話で恐縮だが、若い頃に友達と真夜中の歌舞伎町で遊んでいて、突然見知らぬ男に「拳銃」を突きつけられた事がある。到底本物とは思えなかったが、それでも恐怖で膝が震え出して止まらなくなった。拳銃が本物かどうかは分からなくても、少なくとも目の前に立っているこの男が「完全におかしい」ことだけははっきり分かったからだ。とにかく冷静を装いながら男を絶対に刺激しないよう努めてその場を静かに離れる事に成功したが、決して忘れる事が出来ない恐怖体験となった。それ以来、映画などでは拳銃を向けられた主人公がカッコ良く立ち回るシーンがお約束として出て来る度に、ひっそり心の中で「あんなに動けるわけねえんだよっ!」とつい突っ込まずにはいられなくなった。
さて本題に戻ろう。
この作品は内戦という設定のもと戦闘の激しさとリアルさに加えてジャーナリズム精神とその残酷さを一人の少女の「成長」を通じて描いた物語だと捉える事も出来るわけだが、こういった全体的なバランスが実にちょうど良く取れてるように感じた。銃撃戦の迫力はなかなかで、特に「銃声」のリアルさ(本物を聞いたことはないけど)が非常に印象的だった。そして何度も命を助けてもらったはずのジェシーが、自分を庇って死んだリーにカメラを向け、平然と置き去りにするラストは何とも言えない気持ちになる。こういう形で「ジャーナリズム精神」が継承されていくという皮肉が余韻として強烈に残るわけで、実に味わい深いシーンとなった。また大統領の「最後の言葉」もクソ過ぎたのがこの映画の集大成だったように感じる。何ならこれを描きたいがためにこの作品を撮ったのでは?と思えるほどだ。
内戦という仮定の話をシンプルに描いた「普通の戦争もの」なのかと思ってあまり観ようと思ってなかったのだが、上映が始まってからの評価もさほど悪くなかったので観てみたところ予想以上に面白かった。最近はここでの評価やレビューを参考にしながら観る作品を決める事も多いのだが毎度本当に参考になる。レビュアーの皆さん、いつもありがとう。
妙にリアル
フィクションだが妙にリアル
アメリカという国だからという事もあるが
そう遠くない未来を予言しているような説得力がある
目の前で人が死んでいく
それをカメラで淡々と撮るジャーナリスト
とても乾いた視線で戦場のリアルを映していく・・・
観客達も戦場体験をしているかのような錯覚に陥る
特にこの作品のハイライトの処刑シーンは凄い緊張感!
ここの演出は上手いと思った!
「どういうアメリカ人だ?」
出身地を聞いてアメリカではないと判断した時に
容赦なく銃で射殺するあの怖さ!
ラストのホワイトハウスでの戦場シーンも緊迫しており
久々に手応えのある社会派映画だなと思った
およそ1400kmの旅をするロードムービーでもある。
でも、劇中に起こる全てのトラブルって
全部ジャーナリスト志望の少女の所為じゃない!?
最後の最後もそうだし。
CMがとても良い出来
未来予知じゃないよね。
戦場カメラマンのロードムービー
予告編を見て、戦争もので大画面で見るべきと判断&アメリカ内戦とのことだったので、政治ものと思って見に行ったところ大分系統が違いました。
戦場カメラマンが、アメリカ内戦の取材をしていくロードムービーで、その中で、何と戦っているのか(何の意味があるのか)を問うというのが縦軸。横軸は受け継がれていくジャーナリスト精神。
思っていた映画と違ったため、あれれ?と思ったことと、メインテーマがいずれも打ち出しが弱く、感情がそれほど揺さぶられませんでした。
戦場に向かってるのに、無防備すぎるし、格好なども綺麗すぎて違和感(何日も野宿なのに、清潔感溢れる髪や洋服、白シャツで戦場行く??)
予告編が大分ミスリードで、この映画に合った地味な映像だと足を運んでもらえないとの判断かもですが、その分評価が悪くなるので戦略ミスでは?
時間が合うのが朝一IMAXしかなく、戦争ものならIMAXでも良いか…と思ったけれど、これはIMAXの必要はないですね。
予備知識なしで鑑賞がイイかも?
序盤、主人公をはじめ登場人物の描写があまりにも浅いので不安・・・
中盤、本作はドキュメンタリータッチの反戦映画と気付いて納得!!
登場人物に思い入れがない分、次々と銃殺されてもショックは僅か。
シャローフォーカスによる悲愴感漂う顔、顔、顔。ワクワク感、100%なし。
まさにディストビアワールド・・・ヤバい・・・
といった本作ですが、心を揺さぶられる感覚は生まれて初めてかもしれません。
反戦映画としては、初見のアプローチ。しかもお見事!!
ずーっと戦場にいる感覚です。シアター内に銃撃がこだまします。
轟音とともに、硝煙、流れる血の匂いが充満しているかんじ・・・4D要らず・・・
ときに一斉射撃。さすがに核や細菌兵器はないけど、あまりにも非人道的な大虐殺。
シビル・ウォー(内戦)はジュネーブ条約適用外になるのでしょうかね???
マリファナ、ウォッカで何とかメンタルの平衡を保っていた主人公たちも
ひしひしと迫る人生の最期に心の均衡が壊れていくようです。
そこはフィルムカメラがバツグンにイイ仕事をしています!!
だからこそカメラマンが必需。従軍記者だけではダメ。素晴らしいアイデアです。
死体を前に満面笑顔のポーズ。最悪です・・・涙が出そうになりました。
鑑賞後は、家族や友人、周囲の方々に想いを馳せざるを得ない脚本・演出が秀逸です。
最優秀助演賞=我が国の名機ニコンFE2。ブラックボディが超カッコイイ!!
ケイリー・スピーニーの素顔が本作の役のようであればイイんだけどなぁ。
薄っぺらい脚本で今年のワースト候補
正しい"嫌悪感"を感じられる映画
(随時加筆予定)
作り込まれた音や画角で、緊張感を途切れさせない銃撃戦の直後に流れるノリの良い音楽、というかそういったハリウッド映画的な演出に、最初はとても嫌悪感を覚えた。
しかしそれはむしろ、意図的に嫌悪感を抱かせるように目論んだ演出なのではと思った。それくらいクッキリと、音楽に合わせて軽快に編集されたシークエンスと、無BGMの銃撃戦シークエンスが分かれているように見えた。
戦争を題材にした映画にはすべからく、作る側も見る側にも「戦争・虐殺をエンタメとして消費してはいないか?」という課題が付きまとう。それに対して、ハリウッド映画にありがちな演出を、それもとても大味にして施すことで、戦争や暴力を扱ってきた映画界やこれまでの映画に対する凄まじいカウンターにしようと試みているように感じた。
ミスのない判断なんてない
予告のアオリ具合から想像される戦争映画とはけっこう異なり、米国の分断そのものは織り込み済みで、その先に待つ暴力の姿を描いた戦時下暴力ロードムービーといった趣。ワシントンD.C.まではまったり暴力、最終盤のホワイトハウス突入は本気の戦闘で、種類は違えどどっちもえらい緊張を強いられる。
ラストに大統領射殺とはさすが独立宣言で人民の抵抗権を謳ってる国は違う。わが国だったら絶対そんなオチはつかないだろうが、CAとTXが手を組むぐらいだからトランプ以上に酷い大統領という話なんだろうか。
プリシラ、エイリアンに続いて今年3作目の主役、ハリウッドの河合優実か!という売れっ子ケイリー・スピーニーはニコンFE2を使っているが、現代の報道現場でフィルムカメラのやつはいねーだろとは思いつつ、A24の中の人ならハッセルとかを使いかねない(勝手な印象)。
ルールのある戦争映画、ルールのない内戦映画
戦争映画は観ている人を不快にしないようにルールがある。
しかし、この映画を観て内戦とはルールのない戦いなのだと痛感する。
ルールとは降参して手を上げて出来来た人を撃たない、明らかに武器を持たない人を撃たないということだと思う。
この映画では内戦として描かれているため、このルールは通用しない降参した人も武器を持たない人もゲームのように無差別に殺されていく異常な世界だ。
ガザやレバノンでこのような事が行われている記事を読む。
国同士のルールで行われない戦闘はこのような形を取ることになるという事を私達に教えてくれる映画だった。
この映画はテキサス州(共和党支持)とカリフォルニア州(民主党支持)が手を結んで大統領軍と戦うという、ハッキリとした理由はわからないが複雑な状況の世界だ。
選挙にのめり込むアメリカ人を見ると案外ありえる話だと思ってしまう。
内戦の中身ではなく状況を見る映画
このご時世に合ったアメリカが2つに割れて内線を始めたらというストーリーにひかれて視聴しました。そしてA24なので間違いないかなあと思い。
結果、あらすじをちゃんと確認してない私も悪いのですが 、A24らしい映画だったけど私には合わなかったなという感じでした。
リアルに2つに分かれたらどう言う対立構造になり主義主張が生まれるのか?という対立の中身を期待していたのですが、その辺の描写はなく、対立した結果いかに今の生活が壊れ悲惨な戦いになるか、またその状況をジャーナリスト視点で、若いジャーナリストが育っていく過程を使って描く映画でした。
なので内戦は話題を呼ぶための手段でジャーナリストの現状をいかに伝えるかに腐心した映画だなという印象です。
そのストーリー自体は結構予想通りなものでしたが、戦争のリアルさとか悲惨さはよく描けていたと思います。もう見たくないくらいには。
音楽の使い方や場面の魅せ方、飽きさせなさはやはり上手くてよい映画だったのだと思います。
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