「何が何だかわからない。」シビル・ウォー アメリカ最後の日 ひろさんの映画レビュー(感想・評価)
何が何だかわからない。
わたしが無知だからかもしれない。
アメリカ人が見たら、全然印象が違うかもしれないがいち日本人の感想として書きます。
架空の内戦。
まずは何が何だかわからない。
この映画にとって、どことどこがどういう理由で戦っているのかっていうのは重要ではないのだと思う。
それは理解できるがあまりにも置いてけぼり。
これが歴史的事実であれば、たとえば戊辰戦争なら、説明なんかなくてもだいたい想像がつく。
理由なんか関係なく、それでも人は戦いに巻き込まれたら残虐に人を殺すんだろう。
だが、見ている方はどうしても登場人物によりそいたくなってしまう。だが、この作品はそんな気持ちを無視して淡々と進む。
見ている人間にとって不親切極まりないのだ。
わたしたちは今、政府軍側にいるのか、西部軍側にいるのか、どちらに肩入れして見るのかも現在地がどちらかもわからない。
度々出てくる兵士たちはみな迷彩服でどちら側の軍かわからない。
主人公の出身地、コロラドは西部?ミズーリは?
冒頭の大統領は悪者だったの?
無知なのもあって置いてけぼりだ。
主人公もジャーナリストとして情熱があるのか、トラウマを抱えて本当は辞めたいのか。自分の感情をほとんど語らない。なので、共感が出来ない。
相棒の男性もハイなナイスガイなのか、知的なブレーンなのか、キャラも掴めない。
たぶん、映画は内戦よりジャーナリズムを描きたかったのかなと思う。
ただ、感情を語らないキャラ、中途半端な師弟物で感情は乗らないまま。
もっとベタなくらい主人公と若手の子が関われば気持ちも動いたかもしれない。
そして宣伝側は内戦物として売り出したいのはミエミエだが、それにしては内戦の説明がなく理解出来ない。設定がないからまるでリアリティがない。
二大政党が戦うほうがリアリティがあるけど、まぁ、それの映画化は無理なんだろう。
怖いのは急に同じ国民が殺し合う恐怖ではなく、グロい遺体や殺し方の残虐さ、派手な銃火器だ。
精神的にくる怖さではない。
つまり、怖くない。
これならよほど「ホテル・ルワンダ」のほうが怖かったし、トラウマになった。
ジャーナリズムを描きたいなら、実際の戦争や紛争をテーマにしたほうがいいのではないか。
反戦映画にしてもお仕事映画にしても中途半端だ。
作り手は本当にこれで自分が作った映画を誇りを持って人に勧められるんだろうか。
だとしたらズレている。
他の方のレビューにもあったが音楽が合わない。
個人的に好きな感じのかっこいい曲ばかりなのだが、詐欺師がでてくるような小粋な映画に合いそうな曲ばかりだ。
意図的にミスマッチ感をだしたかったのだろうが心地よくない。
見ている間、一生懸命日本に変換して理解しようと政府対関西が戦うことを想像してみた。
そしたら、それって「翔んで埼玉」みたいになるな、と思ったらまぁ、日本で内戦を描くよりはアメリカのほうが迫力がでるなと思った。
現代日本でやるのには無理があるので、少しだけ敬意の★1つ。