All We Imagine as Lightのレビュー・感想・評価
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現代インド都市生活を描く傑作
ムンバイの大病院。ベテラン看護師のアヌーはヨーロッパへ出稼ぎに出た夫の留守を守って忙しい日々を過ごしている。若い同僚でルームメイトのプラバは独身。二人は少し齢が離れているがなぜか気があう。アヌーはすでに病院では中核で、若い看護師を指導する立場にある。プラバは仕事の手を抜くこともないが私生活の充実にも熱心で、つぎつぎボーイフレンドを取り替えては遊び回っている。アヌーはそうしたプラバの生き方にかすかに苛立ちを感じるが、生真面目な自分の人生には怒らなかった楽しみを軽々と手にするその姿に、羨望を感じてもいる。あるとき二人が休暇を合わせ一緒に海辺へ旅に出ると、二人の前に不思議な出来事が起こり始める。
2024年のカンヌでインド映画として30年ぶりの大賞にかがやいた名篇です。ムンバイを舞台に現代インドの都市生活がていねいに描かれていて、湿度の高いざらりとした手触りの夜を描写する手つきは、たいへんみごと。二人の旅行が始まってからの、日常生活の延長上にひっそり夢のようなことが混じり込むのも、グル・ダッドやサタジット・レイにさかのぼるインド映画の素晴らしい伝統です。どこの部分もよくできているのですが、とりわけ終盤は嫋々たる美しい余韻を残します。
これも日本で早く公開されてほしい作品のひとつですね。
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