「時の流れに身をまかせ」新世紀ロマンティクス 青樹礼門さんの映画レビュー(感想・評価)
時の流れに身をまかせ
20年間という時間軸を、ほんとうに20年かけて製作した作品。
途方もないプロジェクト。
大袈裟な作りにせず、観客はこのヒロインとともに
まさに長江を渡るボートに乗り、
たゆたう漂泊なる旅をする。
ポケベルがケータイに、やがてスマホになる。
炭鉱は閉鎖されて職を失う人々。
ダム建設のために立ち退かされる住民。
コロナ禍で暮らしが改変。
ボーっとしつつも、
じぶんのこれまでの20年をも垣間見た。
ヒロインの表情の豊かさ。
後半にはなぜだか感情移入して涙が出た。
セリフはほとんどなく、
ニュース音声や歌や、挿入されるあらゆるジャンルの
ドルビーアトモスサウンドの豊穣。
ハズしというか、微妙、いやベタにダサ加減がたまらない。むしろクールに感じる。
カメラがまた素晴らしい。
中国映画だが、スタッフは国際的人材で
壮大かつデリケート。
編集がまた自由な風のようで大胆。
しかしちゃんと前後がつながっているから混乱なし。
またいつか見直したい。
ジャジャンクー作品初体験でした。
他にも観たい。
あらためて、映画とは、時間の乗り物なんだなあと。
さすらいのロマンティクスドライブ。
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