劇場公開日 2025年5月9日

「炭鉱都市大同が、観光都市になるまで。」新世紀ロマンティクス Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0炭鉱都市大同が、観光都市になるまで。

2025年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「6才のボクが、大人になるまで。」の中国版とでもいうのか。
だがあくまで主役は登場する男女ではなく中国都市といったところ。

本作は、監督が22年かけて撮影したフィルムを再構築したもので、本筋の男女の物語においては殆ど台詞もなく、ほとんどの映像はドキュメンタリー未満の記録映像のようだ。おそらく中国の街並みに興味が無ければ眠くなる。二度と見ることのかなわない炭鉱街が廃れていく様子、そして急速に発展していく映像は個人的には興味深く見られた。

主役の女性チャオを演じるのは監督の妻だが、殆ど化粧っけもなく、台詞がほぼ無いこともあいまって演じている感が少ないので余計に物語みがない。別れた男女が数十年後に再会してまた別れるだけの話と言えばそれだけだが、今まで積み重なってきた中国の歴史や様変わりした景色との相乗効果でやたら感動的に見える。この時代を実際に現地で生きていたらもっと迫る物があるのだろう。

しかし毛沢東の肖像画についての説明が出てきたほかは、中国の政治的な側面について殆ど説明が無く、そのあたりを入れればもっとわかりやすくなるだろうと思う反面、やはり検閲が厳しくて無理なのかと邪推せざるを得ない。

Jax