「たぶん、ブラザー・シンのTik Tokの方が面白いと思う」新世紀ロマンティクス Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
たぶん、ブラザー・シンのTik Tokの方が面白いと思う
2025.5.13 字幕 アップリンク京都
2024年の中国映画(111分、G)
2001年〜2022年のある男女を追いかけたドキュメンタリーテイストのラブロマンス映画
監督はジャン・ジャンクー
脚本はジャン・ジャンクー&ワン・ジアフアン
原題は『風流一代』で「ロマンティック世代」、英題は『Caught by the Tides』で「潮流に飲まれる」と言う意味
物語の舞台は、2001年の中国・大同
キャンペンガールやモデルで活躍していたチャオ(チャオ・タオ)は、マネージャーの恋人ビン(リー・チュウビン)と共に活躍の場を広げていた
大同は炭鉱で栄えた町だったが、今では採掘量も需要も減り、町は徐々に寂れつつあった
ある日のこと、ビンは「他の町に言って稼いでくる」と言うメッセージを残してどこかへ消えてしまった
映画は、ドキュメンタリーとヒューマンドラマが合体したような内容で、2001年の大同、2006年の奉節、2022年の珠海を舞台にしていた
主要なキャストは20年(キャラによっては15年)の時を越えて再演していて、どう言った趣旨で撮り始めたのかはよくわからない
2022年はコロナ禍での撮影で、近年の中国を語る上では外せない状況だったと思う
それでも、感染源とかではないし、それが趣旨ではないので、あくまでもコロナ禍の中国のとある町はこんな感じだった、と言うテイストで描かれていた
ドラマ部分としては、恋人同士の別れと再会を描いていて、2001年時点で二十代と三十代ぐらいに見えたのが、2022年では四十代と六十代以上に見えるように思えた
実際の年齢だと、チャン・タオは48歳だが、リー・チュウビンは年齢不明で、彼は当初は撮影スタッフの一人だったとのこと
ドキュメンタリーとして撮り始めたものにドラマを加えたので、実は2022年パートは老けメイクをしていたりするのかな、と思った
映画は、ドキュメンタリーの内容に興味が持てないと爆睡必至の内容で、前半約1時間はドラマと言うドラマがない
予告編でも登場するチャオをバスから降ろさないビンのやり取りが、実際には10回ぐらい同じことをしていたのは笑ってしまった
2001年の段階なのでおそらくスタッフと女優と言う関係だと思うのだが、ちょっとコミカルに寄りすぎているように思う
あの状況がどうやって生まれたのかと言うのがわからず、何かしらのパフォーマンスの後にあんな感じになっていたので、「こんな仕事をやりたくない!」みたいに脳内補完していた
ちなみに2022年パートで登場するおじさんインフルエンサーは本人役で、ブラザー・シン(下六兴哥)と言う人だった
ガチのインフルエンサーで、2024年の段階でフォロワー120万人(映画の時は125万人だから減ってる?)いたりする
音楽分野のTik Tokerのようだが、アプリを入れていないので、持っている人は動画を楽しんだら良いと思う
いずれにせよ、中国の大同とか三峡ダム、それらの歴史について興味があると面白いかも知れないが、個人的には「ふーん、そうなの」ぐらいで流す感じになっていた
北京五輪とか、主席が変わるとかはその時代を生きた人ならわかるのだが、今の体制の弊害みたいなものはまったく描かれないのは逆に不気味だったりする
この辺りは検閲も含めて色々と映せない部分があったと思うので、そう言った意味では貴重な映像なのかも知れません