サブスタンスのレビュー・感想・評価
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ぐわし
朝日新聞の書評にも採り上げられたくらいなので二重人格のシリアスなサイコスリラーと思いきや、とんでもないグロテスクホラーでした。しかし朝日の批評って、よくまあこんな作品を理屈っぽくこじつけられるものだと感心します。
とんでもない設定と気色悪い化け物ぶりは楳図かずお先生、人間の欲望の醜さを冷笑する超然とした態度は筒井康隆先輩を彷彿とさせます。
構図やアングル、ワザとらしいカットの連続をマンガの実写的に表現した映像は独特ですが、太陽降り注ぐ真昼間のLAに陰鬱なお話が進んでゆくブラックな感覚も秀逸です。
終盤は、グロい作品が好きな人以外には、とんでもない趣味の悪さなので要注意です。
社会派SFホラー
面白かったけど、かなりグロかったです。逆も真なりで、かなりグロかったけど、面白かったです。見終えてから、女性監督と知って何となくホッとしました。美しさ、若々しさ、スリムかつセクシーであることに非常に大きなアドバンテージが与えられる反面、その型から外れてしまうと全く価値がないかのように扱われる、若しくは女性自身がそう感じてしまうことへの強烈なカウンターパンチを放つ作品でした。作中で「理想」の女性とされるスーを体現したマーガレット・クアリーは確かに魅力的で、彼女に群がるオジサンやマッチョな若者たちの反応は、デフォルメされてるとはいえ、なかなかリアリティがありました。マンション隣人のリアクションが滑稽すぎて、大好きなシーンです(笑)。裏を返せば、イケメンに群がる女性たちも根っこでは繋がっているように思いますが、いまだ男性優位社会ゆえに、女性たちが理想(幻想)を押しつけられて、コラリー・ファルジャ監督がいう「女性の監獄」となっている面があるのだろうと思えました。自分と分身という設定がとてもユニークで、それゆえに驚愕の顛末となるのですが、これが絵空事と言い切れない面白さも感じました。少し前に本で読んだのは、身体全体或いは頭部のみを冷凍保存して未来の機械人間の時代まで延命させるという生命延長財団やバイテク技術で寿命を500歳まで延ばそうとするベンチャー企業が現実にあるらしく、ついに人類は太古からの不老不死という究極の欲望をテクノロジーの力で現実化させつつあるようです。映画なら笑って終わりですが、現実の方が空恐ろしいと感じます。「ゴースト/ニューヨークの幻」(90)の可憐な容姿に恋した映画ファンの一人として、今作のデミ・ムーアの熱演に心から拍手を送りたいと思います。
デミ・ムーアの体当たりというか、それ以上の演技が凄かった
予告編が面白そうだったので軽い気持ちで行ってみました。
若さや美への妄執に捉われて比喩ではなく自分を喪っていく女性をデミ・ムーアがもう怪演ってレベルで演じてくれました。
デミ・ムーア演じる主人公は若さを求めて怪しい薬で分身を作り、二つの体を行き来する生活を始めるのですが、若く美しい分身(マーガレット・クアリー)としての生活に依存して、リアルの自分を拒絶するようになっていき…。
これでもかという位に若さへのコンプレックスを露わにし、若い自分でいる時間を伸ばす為に薬の用法を守らず、副作用で本当の自分は実年齢以上に老いてゆき、終いにはもう人と呼べない存在になってしまう。女優さんがこういう役をやる事自体が凄いなと思わされましたが、どんどん老いていく姿と狂気を特殊メイクで演じるデミ・ムーアの迫力がもう。
悲劇的な結末に向かうサスペンス的な映画として楽しんでいましたが、終盤はこれでもかという位に暴力的であったりグロテスクであったりのホラー的要素が強くなります。個人的には胸焼けするぐらいのやり過ぎ感がありましたが、今年観た中では”アノーラ”と並んで面白かったです。
私だったらマイキー・マディソンよりデミ・ムーアにアカデミー賞あげたいですね。
あとマーガレット・クアリーが本当に可愛くて魅力的でした。
味のしない激辛ラーメン
めちゃくちゃ辛いけど美味しい!見た目もオシャレ!こんなラーメン食べたことない!と巷で話題のラーメンを食べに行ったら全然味がしなくてただ辛いだけで全然美味しくなかったなぁという気分に近い。でもSNSは絶賛の声だらけで自分の味覚がちょっとおかしいのかと少し凹む。
思わせぶりで記号的で都合の良い寓話のようなストーリーに視覚演出。ずっと煩い。オシャレでかっこいいスクリプトや音楽は鼻に付く。中身の薄さを助長させる。
フェミニズムというよりミソジニーに関する話だ。そして特にそれを掘り下げるわけでもない。
ずっと不愉快なだけだ。
最後の展開はもうバカバカしすぎて笑うしかなくてグロホラーというよりコメディに思えてくるが、最後まで都合の良い話だったなぁとしか思えなかった。
グロは疲れたけどそこは論点じゃない。B級感は悪くない。異様にエロいエアロビもどうでもいい。だってこれは寓話だから。
でも現実を生きる私はそういった諦めではないカタルシスが欲しかった。
私の味覚が鈍いのか。きっとこの激辛ラーメンは味がしないわけではない、みんな美味しいと言っている。私の口に合わなかっただけ。そう思うしかない。でも正直に言っておこう。
私にはマズかった。
デミ・ムーアの迫真演技だけど…
最後はグタクダになってしまった。
バイオハザードじゃん(笑)。
ひょっとして監督は最後を一番撮りたかったのかな?最後は好きではなかったがデミ・ムーアが気合いを入れて演じていたことに星をつけた。ヌードを出すことはもちろんだけど、醜さをここまで出すかね。今後デミ・ムーアの映画を観たくなった。
前半はSF、後半はスプラッターホラー
アドレノクロム
原色を使った画面構成とテクノ調の音楽。キャラ設定をはじめエロスとか、ボディホラーとか、さまざまに強調された演出がとても映画的で面白い。この監督は演出の才能があるな。
カンヌで脚本賞取るだけの脚本の深みもある。まさに女性監督だからこそこの内容が撮れる。戯画化しながらも人の苦しみの本質的なところをえぐっている。とてもうまい。
デミ・ムーアをはじめ、マーガレット・クアリー、デニス・クエイドの怪演振りも見事。
芸能人なんかで整形を繰り返し、だんだん顔がモンスター化していく人をたまに見かける。そういう人たちの心理的葛藤って、この映画で描かれていると思う。
ありのままの自分に存在価値が見いだせない。美しく若い自分には価値があるが、そうでない自分には価値がない。自分が醜く見える。
世界がとても醜く見えて、正さなければならないことがたくさんあり、悪の原因となっている敵を選び出しそれを攻撃する。戦っているエリザベスとスーは、まさに自己受容ができずに自分自身を攻撃する多くの人たちである。
条件付きの愛と受容。そこから生まれる恐怖と葛藤、虚無感、孤独。
人が神との分離という幻想を生きるこの世の特性。
最後の方はホラーに寄りすぎかなとも思うが、テーマが深く映画としても面白い。
なんて私得な映画なのかと思った
楽しみにしている映画は基本的に事前情報をできるだけ入れないで観に行くので
マーガレット・クアリーのファンの私は彼女を観る為にワクワクで映画館に足を運んだのだが、マーガレット演じるスーはそれはもうぴちぴちで可愛い上にプロ根性を感じるパンプアップダンスのシーンも凄いのだが
(デミのエアロビもすごい)、
いわゆる「ザ・セクシーでジューシーな可愛い若い女性」とゆう、もっとも男性に都合の良い、類型的すぎてもはや没個性ですらある女の子を演じる彼女がある意味新鮮。
ブラピを誘惑する風変わりなヒッピー少女、2番目に作られた出来損ないのお人形、教祖に担がれそうな姉とその双子の妹、プレイガールなレズビアンなど個性溢れるキャラクターを演じてきたマーガレット・クアリーからするともはや引きの演技に見える。
(終盤に見せ場はあるが)
この映画の主役はあくまでデミ・ムーアでマーガレット・クアリーが型にはまった女性像を演じれば演じるほど、光り輝くほど、デミ・ムーアに強い影を伴う強烈な姿が浮かび上がる様で、マーガレット・クアリーが遠慮しているとかではなく監督と主演2人で肩を組んで支え合っている様な絶妙なバランスの上でなりたつ力強さを感じる映画だった。
エリザベスとスーは本来1つの魂を共有しているはずなのに、時間を奪い合い、罵り合い、攻撃し合ってやがて崩壊に向かっていくが、これが女の嫉妬と単純に読み解くのは勿体なく思う。
エリザベスが自分を大事に出来ない人間になってしまったこと、今でも美しいのに自分自身が美しくないとジャッジしてしまっていること。そして何が彼女を追い詰めてしまったのか、それは社会の歪みや自分達は選ぶ側でありジャッジしていいと思っている男達の目線だったりする訳でそのあたりは、映画のグロテスクな接写飲食シーンなどに表現されているので、映画鑑賞中にアピール笑いしているおじさんとかもそのあたりの男性が持つ加害性を分かっていると信じたい。
そしてエリザベスとスーは母と娘のメタファーとも受け取れる。エリザベスのエネルギーを吸って体内から生まれたスーはエリザベスの体液を奪うほど活発的になり、エリザベスはどんどん老いが加速していく。
時間を守れとキレるエリザベスは母親の様だし、スーはエリザベスを疎ましく思いより暗い場所に閉じ込めようとする。サブスタンスシステムの終了する踏ん切りがつかずスーを助けようとしたのは、若さや美貌への執着ではなく母娘の様な絆ゆえだったのではと思うと切ない。
この映画のすごいところはこれだけ社会的メッセージや女性の人生の苦しみや悲しみが描かれているのに、徹頭徹尾ボディーホラーとゆうジャンル映画として出来ているところで。ほんとうにイカれた次元まで観る人を連れていきあまりにもな見た目で馬鹿馬鹿しさすら感じるとんでもないモンスターが映画の最後に怒りの祝砲を上げるように登場する。
私は観ながらもうクローネンバーグじゃん…と思いましたよ。スキャナーズで人を爆発させ、ビデオドロームでもなんか腕が爆発してたとても好きな時期のクローネンバーグを思い出しながら観て、ははは、馬鹿だなぁ
すげぇな〜と思いながら
最後の執着で叫んでんのか笑ってんのか分からない顔の部分だけで、這いずり出すエリザベスの執着の様なものに思わず笑いながら、彼女が最後まで求め続けたものを想像して泣いてしまう。私などには想像もつかない。輝かしい賞賛を愛を受け取ったことがある彼女が、サブスタンスに出会うまでどれほどの悔しさを感じてそして我慢していたのか。こんなことになってしまったけど、これだけ暴れられたのだから良かったのではないかとも思う。
グロシーンより心をえぐると一部で言われている昔の同級生とのデートの準備をしている鏡シーンも、私からすると綺麗だし、早く出かけて!大丈夫だよ!とか思って観てたけど、スーパースターだった自分が冴えない元同級生(ここには、女性側からの男性をジャッジする目線が含まれる訳だが)を心の支えにしようとしていること、泥水に浸った紙切れを必死に探して、彼だけは自分を求めてくれることに喜びを感じてしまっている自分のプライドとの葛藤があるのだと思うと本当に辛い。
ほんとに面白い映画だったけど
この映画の最大の弱点は日本の映画ファンの中でここまでの、ジャンル映画リテラシーを合わせもつ女性映画ファンがどれだけいるのか問題で、自分で言うのもなんだが私はそこそこ映画も観てきたし昔は苦手だったホラジャンルも映画文脈を伴った変遷や細分化されたジャンルの違いが分かるようになったからこそこの映画のとてつもねぇモンスター性に大喜びしてるんだけど
田舎の香川県では、映画館はある程度の年齢以上の男性ばかりだし、配給も売り方に困ったのは分かるが
映画の公式の度重なる、男性中心的な広告戦略、広告人選、ダサいキャッチコピー、ヌードシーンの性的商品を肯定するような動き、デミ・ムーアを嘲笑する様なキャリアの紹介などほんとうにほんとうに、
日本の社会にはこの映画を需要するには早かったんでは?みたいな残念極まりない公式、映画の出来の良さを配給が足を引っ張るにも程がある状況に怒りが止まらない。サブスタンスのホラー世界で私達は生きている事を再確認し現実世界はサブスタンスの4DXだよと男性達に言いたくなってしまう。
すごく長々と書いてしまったが、
ジャンル映画なんて、楽しく観てたらそれでオッケーなのは事実で、
ズレたアピール笑いをするのも自由、それに対してウザいと思うのも自由ではある。
でもホラー映画は昔から社会問題を取り扱うことができるジャンルでもあったわけで、コラリー・ファルジャー監督が“女性らしさのある繊細な感受性”など吹き飛ばす気合いの入ったゴア描写や特殊メイクでパワー溢れるジャンル映画の名作を作ってくれたことがとても爽快。
いろいろスゴい作品
インパクトのある「脳裏に焼き付く」映画
現在62歳のデミ・ムーアが、50歳のエリザベス役を演じています。エクササイズウェアに身を包んでいるときには素晴らしいスタイルですが、シャワーを浴びているのを見ると年齢相応におなかが出ていたり、たるんでいるところがはっきりわかり、ここまで晒す女優魂には驚嘆しましたし、アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたのもわかります。また、分身であるスー役のマーガレット・クアリーは非の打ちどころのないプロポーションで、見た目の差は歴然としています。
カンヌ映画祭で脚本賞、アカデミー賞はメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞していますが、レヴューア的にはいまいちでした。
サブスタンスは、映画の中で何度も出てくる「一体である」に表される「本体」という訳がぴったりと来る気がしますが、「同一性と変化」という、「テセウスのパラドクス」に表される、哲学的にもとても深い概念を取り扱っている映画です。ところが、分身が生成される方法については、発想の新規性を感じますが、「同一性と変化」に対する切込みは弱く、「本体」が持つある程度の記憶を含む様々な部分を共有しているはずなのに、どこまでが共有されているのかがはっきりしないので、なぜここまで互いに暴走するのかが、明確には理解できません。
最後の15分くらいは、これでもかというくらいのグロのオンパレードで、レヴューアー的には全く受け入れられず、これも評点が低い理由です。
とにかく、いろいろな意味で、インパクトのある「脳裏に焼き付く」映画でした。
経験したことのない強烈な映像
とんでもなく強烈な映画だった。まるで高級クラブでビンタを食らい続けているような感覚だ。ファルジャ監督の執念は凄まじい。前作「リベンジ」同様の執拗なまでの描写に恐れいる!今回はそれが数段パワーアップして冒頭から気を抜くことを許してくれない。人物のアップやスロー映像。効果音とサウンドトラックの衝撃。またはセットのど派手さ。突拍子もないストーリー展開。すべてにショックを受ける。もはやトラウマ級の作品でR15じゃ甘いんじゃないか。また女性から見える男のアホさがおもしろい。「女性ってこういう風に男を見てるんだなぁ」と勉強にもなる笑。またその男どももろくでもない奴らでね。ハラスメント当たり前の悪夢のようなキャラクター。TVプロデューサーがレストランでエビをむさぼり食うシーンのどぎつさ。一瞬でどういう人間なのかを見せる。上手い。考えてみたらここまで振りきった映画はなかったかもしれない。Netflixの「ブラック・ミラー」にビタミン剤を大量注入したような作風だ。それにいろんな映画のパロディも楽しめた。個人的には終盤に流れるヒッチコック「めまい」のサントラ(Bハーマン)のアレンジ、からのRシュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭部分。この辺りの展開にはムリがあるけど、もうずっと笑っていた。
欲望の膨張を描いた映像表現の極点
極端なドアップで登場人物達を切り取り、
人間の欲、業、浅ましさを徹底的に皮肉たっぷりに強調してみせる。
グロい映像は、観るのが少々しんどい部分も多いけれど
特殊メイクなど技術の結晶による、劣化、破損、変性する肉体のリアリティはすごい。
全体はセリフを極力抑えて映像や音響で説明することに徹底していて、
サブリミナル的に文字を画面いっぱいに入れたり様々な手法が駆使されて、
主人公の学生時代の同級生からの誘いに逡巡したり、
老化という現実から逃れたい、若いままでいたいと激しく揺れ動く心情が、
鏡の前のシーンなどで執拗に描かれる。
後半は細胞の膨張が戯画的なレベルまでに到達し、
気持ち悪さを突き抜けて、ある意味爽快な喜劇の世界へと飲み込まれていく。
老化への抵抗という人間の欲望の膨張を徹底的にあぶり出し、
誇張してみせた映像表現の極点ともいうべき傑作映画。
ヘラヘラ見てるこちらも加害者になっている
若さ! 美しさ! ...に執着する愚かな女! の映画、と見せかけて、
「何が女を抑圧しているのか」を要所要所でめっちゃ刷り込んでくる。審査員の目線、プロデューサーの目線、オヤジたちの目線、自分たちは老け散らかしてるくせに若い女若い女...
あのモンスターになった後にオシャレをしようとするところが本当にグッときてしまう。自分の顔を必死で肯定しようとしている人たちを無碍にしない場面だ。モンスターになっちゃいました、おしまい、だとB級映画だ。この映画はここからが大事なのだ。
化け物だなんだといって彼女を袋叩きにする客席の連中へ、血飛沫を撒き散らす! カタルシスがすごい。散々女体を性的客体化し値踏みしてきたオヤジ社会への全女性の叫びに見える。報復! 叛逆! もっとやれ!
その時に気づいたんだけど、そういえばこれを見てる映画館も「客席」だよなと。前半やたらとヒップや若い女体を画面いっぱいに映してしつこいくらいプルンップルンにやってたけど、ああなるほど、そういうことか。
「エロッw」って声を漏らしてた隣のおじさん、俺たちにも血飛沫かかってますよ
これさ、よく考えたら異形化していく主人公よりも遥かに不愉快なのがエビにむしゃぶりつくプロデューサー。「有害な男らしさ」には肯定する余地がないよね。
オマージュがどうとか熱演がどうとか偉そうに評論しているここのおっさんレビューたちも全部滑稽に見えてきますな。あなたたち今エビにむしゃぶりついてるのと同じなのでは?? ハッハッハ
グロ耐性しっかり無いと駄目
あまりハマらなかった
全355件中、41~60件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。