「好き嫌いが分かれるかもしれないが面白かった」サブスタンス kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
好き嫌いが分かれるかもしれないが面白かった
デミ・ムーアとマーガレット・クアリーのヌードやエクササイズ番組のシーンを観ると、男の欲望を煽るようなアングルの映像が多くて驚く。プロデューサーのセリフもこの時代よくOKが出たなという印象。男ってこんなの好きなんでしょ?という監督のスタンスを感じた。でも、それはサービスではなく問題提起のためだと後にわかる。若さと美しさを追い求める愚かさみたいなものはこれまでもいろんな作品で描かれてきた。
物語の基本的な構図としてはあまり珍しいものではない。正体不明の薬物を投与することで自分の分身が生まれ1週間で交替することになるが、そのルールがどんどんなあなあになっていくという流れ。そして新しい自分が暴走していく。もう少しうまいやりようがあるだろうにと思うが、人間の欲望とはどんどんエスカレートするってことだよな。
後半の展開は正直全く想像していなかったから、驚いたしちょっと笑ってしまった。なんだこれ!?と。あんな流れでは好き嫌いが結構分かれてしまうだろうな。でもあのステージで話す彼女の言葉はとても重い。若さと美しさを求められる女性の立場をうまく風刺した脚本だ。ホラーとしてエンタメ要素を失わずに自分の伝えたいことはキチンと伝えてくる。コラリー・ファルジャという監督はなかなかの策士だと感じる。
驚いたのがデミ・ムーアの演技。本当に凄まじかった。アカデミーもノミネートだけじゃなく、主演女優賞を与えてもよかったんじゃないかと思う。
最後に。音楽もとてもよかった。有名な曲を使っているわけではないけど、時折流れる効果音のような音楽がとてもいい。あの音楽で場の雰囲気を醸し出すことができていたことはちょっと驚く。こんな映画は好きだ。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。