「最後は生命のトリナクリア。デミ・ムーアの演技に敬意」サブスタンス talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
最後は生命のトリナクリア。デミ・ムーアの演技に敬意
見ながら頭の片隅にずっとあった映画「TITANE」も、本作も、フランスの女性監督による。後半ではシンディー・シャーマンの一連の写真やリンチ監督の映画も強烈に思い出した。サウンドデザイン、文字のフォント、美術セットがスタイリッシュでかっこよかった。(特殊)メイクの力が凄い!あと黄色!最初の卵の黄身のシーンがこの映画のいい導入になっていた。エリザベスが着るコートも黄色だ。
誕生も生理も妊娠も出産も母乳も、そして生存・再生にも血が関わっている。その血で繋がっているエリザベス = スーは、バスルームでもステージでも、自己と他者と社会へのリベンジの快感と幸福感に満ち溢れている。人間は自分や他人を細分化して見てわかった気になり、評価したりされたりで悩みは尽きない。目が、鼻が、口が、顎が、額が、歯が、髪質が、尻が、胸が、ウエストが、脚が、足首が、などなど。人間は部分の足し算で存在しているものではないのに、特に女は他人の視線と自らの視線によって、外見と年齢の縛りから解放されていない。
おまけ
1)この映画、見るのどうしようか?と思っていたが見てよかった。強力な発言権を持つテレビ局の偉いさんの口のアップ&グチャグチャとエビを食べるシーン、高齢男性株主が廊下にずらり並んでスーを待ち受けるシーン、この二つが映画の中で何より一番醜悪で気持ち悪かった。誰もがわかる大きな皮肉だ、素晴らしい。
2)この映画見よう!と思ったきっかけの一つは、ドイツのDIE ZEITという週刊新聞。「21世紀のベスト・フイルム」という企画記事で、2024年の映画で挙げられていたのが「ブルータリスト」と「サブスタンス」の2本だった。他の年の映画も自分の趣味に近いかなと思った。参考までに数本挙げると:
2000「花様年華」
2001「千と千尋の神隠し」「マルホランド・ドライブ」
2003「キル・ビル 1」「ロスト・イン・トランスレーション」
2008「ダークナイト」
2016「ありがとう、トニ・エルドマン」
2019「パラサイト」「燃ゆる女の肖像」
2021「ドライブ・マイ・カー」
2023「哀れなるものたち」「関心領域」
共感ありがとうございます。
エリザベスが常に着ている黄色のコート。美=オシャレでもあるのが女性なのに敢えてあの同じコートなのも目につきますよね。
黄色い卵黄が2つになる導入はたまらなく不気味で一気に世界に引き込まれました。
株主がニョキっと出てくる所は、クズも分裂した!
なんとなく敬遠していた「TITANE」も観てみようと思います。
音楽と音響、色彩と2人の女優の美、IMAXで観たいなぁ。4DXで血飛沫かけてほしいなぁ、のノリで3回目観に行ったら、途中から泣けて泣けて、最後のエリザベスの表情に涙が止まりませんでした。
DIE ZEIT誌の選出、いいですね。
年6月1日
私のレビューがお気に障ったようですみません。
エリザベスの友達どころか、親しくしている人のひとりも出てきませんでした。そしてその理由はわかる、と思いました。また、監督はエリザベス=スーを、わざと愚かなキャラにしたんだと思いました。そこに意味があったんだと思います。
また、「年の割には~」とは、私は言ってませんが、言葉に込められた侮辱や敬意、どんな感情を持って発せられたかが問題、対象にされた人がどう思うかも重要と思います。
気持ち悪さと不快と悪意が詰まった映画に見えました。撮影が独特でした。黄色は印象的でしたね。
私のレビューにせっかく共感していただいたのですが、朝出勤前に書いていて慌てて保存したので、下書きを間違って公開してしまいました。ちゃんとアップしたら、全然違ったものになってると思います
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