「 「素顔のままで」会える友人がひとりでもいたらエリザベスの運命は違っていたかも 「美」でしか評価されてこなかった孤独な魂の哀しい末路」サブスタンス Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)
「素顔のままで」会える友人がひとりでもいたらエリザベスの運命は違っていたかも 「美」でしか評価されてこなかった孤独な魂の哀しい末路
エンドロールが終わって劇場の通路を家路へと急いでいたら、後ろから「こんなB級ホラーみたいなのを見せられるとは思わなかった」と女性の声。ちらっと見ると、どうやらカップルで来ていた女性のほうが男性をなじってるような感じでした。デートムービーは慎重によく検討してから選びましょう。映画の後に食事の予定を入れているなら、なおさらです。
さて、この物語の主人公は女優のエリザベス(演: デミ•ムーア)で若い頃はその美貌で大いに活躍したようですが、今はテレビでエアロビ•ダンスの番組のレギュラーをやってるのみ。そのレギュラーも50オーバーに用はない、若く美しい女に切り替えろ、ということで、あえなく剥奪されてしまいます。これで彼女の高いプライドはズタズタ。若い頃から、もっぱらその美貌で評価されてきた彼女のプライドは「美」や「若さ」と一体化しています。で、彼女は禁断の「サブスタンス」に手を出してしまうんです。
彼女の周囲には「美」とは別の価値、例えば、「聡明さ」とか「優しさ」とかで彼女を評価してくれる人はいなかったんでしょうね。本篇に示唆に富んだシーンがあります。エリザベスは道でひょっこり、冴えない中年のおじさん風情の昔のクラスメイトに出会います。クラスメイトが彼女に連絡先を書いた紙を渡してふたりは別れるのですが、この時点でふたりでコーヒーでも飲みながら、昔の思い出話でもしていたら、エリザベスの運命は変わっていたかも知れません。そこで旧友の何人かの連絡先も知り、プライドもエゴも今みたいではなかったころの友人たちとも再会して他愛のないおしゃべりを続ける…… そんなことから人は変わってゆけます。彼女はあの一線を踏み越えた後にその中年男のクラスメイトと会おうと彼女から電話するんですけど、結局、プライドが邪魔して会えずじまいなんです。
ビリー•ジョエルのヒット曲に “Just The Way You Are” (邦題『素顔のままで』)という名曲があります。語り手の男性が恋人と思われる相手に対して「ありのままの君を受け止める」「ありのままの君が必要だ」そして「ありのままの君を愛してる」と切々と歌いあげてゆきます。う〜ん、ありのままの自分で接することのできる相手がエリザベスにいたらなあと思わざるを得ません。恋人、夫、親、息子、娘、兄弟姉妹、友人……誰でもいいから側にいて、素顔のままの彼女を見てくれていたら、そして「美」とは別の物差しで彼女のことを測ってくれていたら、彼女の運命は違ったものになっていたことでしょう。みんな君を愛するようになる、というのはエリザベスの分身スー(演: マーガレット•クアリー)のキャッチフレーズですが、エリザベス本人の本質は、結局、愛されるどころか、誰にも関心を持たれない荒涼とした孤独の砂漠の中にありました。
ということで、なかなかよくできた「大人の寓話」なのですが、後半の怒涛の展開は私の好みではありませんでした。あと、最初にもちらっと記しましたが、食事の前に観るとなんらかの気分転換をしてから食事に臨まなければならないハメに陥りますのでご注意ください。
カップルの男性お気の毒。。w
俺だってこんな展開になるなんて思わないよ!!ですよねw
この作品がダイエットムービーでした(°▽°)
鑑賞後、しばらく食欲ゼロでした。
でも中毒性があって凄く面白かったです。
今までは、割ってみて"双子たまご"だったら
"おっ!ラッキー♪"って思ってましたが、今度遭遇したら飛び上がりそうデス(°▽°)
私も元クラスメイトの男性とお付き合いが始まったら、と良いほうに解釈していましたが、病院の領収書(でしたっけ?)を破って電話番号を書いて、水たまりに落ちたのをそのまま渡す、これはやっぱりエリザベスを見下しているから、という方もいて、そう言われるとそんな気もしますね。水たまりで汚れたきれっぱしをそのまま渡した時、私もちょっと失礼じゃ?と感じたことを思い出しました。過去の大スター、落ちぶれちゃっててさあ、という意地の悪い感情もあったのかも、という気もします。
共感ありがとうございます。
化膿していく注射跡や終盤モンスターもさりながら、食い散らかしたエビの殻や咀嚼の粘着音をクリアしないと食事はキツそうですね。臀部に残る食べ残しも・・しかしカメラに映った妙なモノは、スタッフクリア出来たんですかね?
共感ありがとうございます。私が見た回ではカップルが終盤の出血大サービスのシーンでいたたまれなくなり途中退場してました。ちょっとざまあ見ろと思ってしまいました。
私自身は本作は終盤の展開込みでお気に入りです。観客の予想をいい意味で裏切ってくれる作品が好みです。作り手が悪乗りしてるのが感じられるところも好きな点です。
デミ・ムーア主演の「素顔のままで」をかけたレビューお見事です。
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