「ゴアの様式」サブスタンス ざむざむさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴアの様式
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「往年の美女が失われた美貌をとりもどすために禁忌を犯して惨劇を招く」系のプロットはもう昔話レベルの定番だから、どう料理したって「今にそぐわない感」はぬぐえないだろう、とあんまり期待はしてなかったけど、そういう映画じゃないと最初のワインで溺れるハエのシーンで気づかされた。1カット1カットの説得力がすごすぎる。プロデューサーの醜悪ぶりはエビをぐちゃぐちゃ頬張るシーンだけで、十分分かるし、どう説明しても納得できそうもないサブスタンスの存在を、USB一本で実在させてしまう。言葉もテーマもいらないのである。
グロくて悲惨な描写の連続だけど、これを元人気女優の惨劇としては捉えたくはない。最後のシーンで監督は案外エリザベスを美しさの殉教者として丁重に扱ったような気はするのだ。グロをきわめて崇高さを醸し出すのはクローネンバーグ流だけど、その辺りのゴアの美学をしっかり受け継いでいるのではないか。強さは有無を言わせず成り立つのに、美しさは異性に評価されなきゃ成り立たないなんて理不尽すぎるよな。
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