「居たたまれないし気持ち悪いし、とにかく凄かった」サブスタンス ツネさんの映画レビュー(感想・評価)
居たたまれないし気持ち悪いし、とにかく凄かった
・若さと美を失った女優のデミムーアが、加齢とともに失ったものを取り戻すため、あぶない薬に手を出して大変な事になる、といったストーリーはわかりやすいものだった。しかし、カメラアングルや演出、背景や小物の美術が物凄く良くてトラウマになった。冒頭から黄身が分裂する映像も象徴的だし不気味だしと利いてて感心しとおしだった。加齢の問題は誰しもがわかる悩みだし、若くなれるわけでもない解消のしようがない現実があるせいかとにかく暗い気持ちになっていく。その解決方法の薬の禍々しさと華やかすぎるマーガレット・クアリーの容姿端麗さと順風満帆さが不安をどんどん搔き立てられてとても面白かった。分裂?する様とその後の肉体の変質がとにかく気持ち悪かった。骨髄?を自分で抜き取ったのを分身の自分にさしていくのとか怖すぎる。
・分身が活躍していくことで嫉妬に狂うという状態が面白かった。楽しすぎる一週間の後に、絶望的な一週間を繰り返すのは耐えられないだろうなと初めて思った。
・絶望的な一週間を明るくしようとさえないファン?と連絡を取ろうとして、結果、分身と比べて劣っている事に耐えられなくなってドタキャンする様がとにかく居たたまれなかった。こういう時は、比較してはいけないんだと思うけど、分けようのない自分自身が比較対象っていうのはやめようがないだろうな、と怖くなった。
・分身の薬をすすめた看護師?も同じように薬の生活をしていて、この世に価値がまだあると思っているのか?的な事を言っていてぞっとした。高齢の悩みってこういう事なのか、と思った。
・薬を置いてあるところが良かった。シャッターが半分しか開かないのにカードキーで取りに行く時の連絡が手紙でフォントも良かった。
・徐々に分身だけで生活したくなって一週間ルールを破り、デミムーアから骨髄?を抜き続けた末の姿が背中が盛り上がって、背骨が曲がってるような状態で居たたまれなかった。欲望に走った代償がこうやってはっきり出ると答える。しかし、思ったより動けてて驚いた。
・最後の最後、分身と意識が分離した末に大晦日の舞台前で歯が抜けて耳が落ちてと身体が崩壊して一度しか打てない分離の薬をもう一度希望を託して打った後、とんでもない化物になった。とても気持ち悪かった。そこに、昔の栄光と写真の顔を切り抜いてぐちゃぐちゃになった顔に貼り付けた末に、舞台にあがるなんて、とんでもない事思いつくなぁと度肝を抜かれた。しかも、そこで血しぶきをあげまくってとてつもなすぎてトラウマになった。随所に美人は笑顔じゃないとや、顔におっぱいがあれば、とかセクハラシーンを差し込んできてそれが傷になっているように見えた。その後、ぶったぎられて外へと出て完全に崩壊したのに生きててまだ生きてるんだと怖かった。顔と少しの肉片だけになったデミムーアがしんどそうに動いていた。どんな感覚なのかなぁって思いつつ、冒頭で作っている様子が出ていた一番輝いていた時に作られたプレートの上で溶けてなくなってあっさり掃除されてしまった所は笑えた。
・入れ替わった時にお互いのごみを押し付け合う状態が、デミムーアがお婆ちゃん化してたのもあって、介護で苦しんでるように見えて居た堪れなかった。
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