「ジャンル映画であることの歓びに溢れた作品」サブスタンス ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャンル映画であることの歓びに溢れた作品
本作「サブスタンス」のコラリー・ファルジャ監督はフランス出身の女性監督だ。
同じくフランス出身の「RAW 〜少女のめざめ」、「TITAN/チタン」のジュリア・デクルーノ監督と2人の女性監督が
ジョン・カーペンター監督やデヴィッド・クローネンバーグ監督らが切り拓いたジャンル映画を背負って立つ今の時代のジャンル映画界の双璧となっているのが面白い!
第一幕、第二幕はルッキズムを扱った社会風刺映画の様相で進むが、第三幕でモンスターパニック映画へ急激シフト!!本作は「ヘルタースケルター」でもなければ「パーフェクトブルー」でもなく、「遊星からの物体X」や「ザ ・フライ」のDNAを持ったSF、オカルト、モンスター、ホラー何でも来いの"ジャンル映画"であったのだ!
何かわからないけど取り敢えずルールは守ってくれ!止めとけ!という思いを登場人物はことごとく裏切り、想像を絶する事態になっていく。ルールはいたってシンプル。サブスタンスのキットが、まるでAPPLE製品かのようにデザインされ尽くしたミニマルなパッケージになっているのは極めて今風だ。ルールを破るとペナルティがある。そして破り続けるととんでもないことが起こる。なんてシンプルな映画だろう。
"女性"という身包みを全て失い、最期は自分という仮面と思い出のみが残る。それも次の日には綺麗さっぱり洗い流されて忘れ去られる。強烈な映画だった。
スーを演じたマーガレット・クアリーさんは人工の乳房を装着しパーフェクトボディを表現。まさに求めれるものを身に纏った理想系。美と完璧さを追い求めるとどうなってしまうのか。彼女はまた同じ過ちをおかし、それがモンスターを生み出す引き金となってしまう。
ラストはよくぞここまでやり切った!の一言!
私が観た劇場では2人退場しましたが、まさに狂気!「遊星からの物体X」と「ザ ・フライ」を掛け合わせたかのようなモンスターが血吹雪をあげる。
コラリー・ファルジャ監督も妥協は一切せずに内なるモンスターを解き放ったと語った通り、CGIなしの生身の物体として強烈なビジュアルを放っている。デミ・ムーアもよくぞこの役を引き受け、挑んだと思う。彼女が演じたことによる説得力がこの作品には不可欠だっただろう。
今年暫定一位の力作!!
次作も非常な楽しみだ。
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