「エログロスプラッタ 話が全くオチてない……」サブスタンス Sugarさんの映画レビュー(感想・評価)
エログロスプラッタ 話が全くオチてない……
だらだら長文です、すいません。
タイトルの通り、エロやグロテスクな表現が先行して、折角のテーマやストーリーが置き去りになっている感がある作品。
人間の業を描いて心理的に強い圧をかけてくるスリラーに近い内容かと思いきや、単なるスプラッター映画。
率直なところ、下品というしかありません。
エロ要素についてはエリザベスとスーの若さの比較のために若い肉体、裸体を押し出すことは演出として理解できるのですが、あまりにも過剰。
エクササイズ番組のシーンは必要以上に多く、スーが最初に約束を破ってしまう理由が男を連れ込んだからタイムリミットに間に合わなかったため、というのはあまりにも弱い。
別人格として生まれつつあった若者の、一度なら問題ないよね、という軽薄な思考を説明するためだとしても動機がエロというのがちょっと受け入れがたかったです。
人の背中を突き破って新しい人間が生まれてくる、というあらすじからを聞いて(グロな成分、表現があるな……)ということも事前に感じ取り、覚悟していたつもりでした。
ただ、あまりにも過剰じゃないでしょうか。
スーが複数回規則を破った後、エリザベスがゴラムのような見た目になりますが、あそこまで老化した見た目にする必要はあったのでしょうか。
そのあと体はもう思うように動かないのかと思いきや、かなりアグレッシブでパワフルな行動をとっていたので内心で(ハァ!?どうなってんだよ、老化は!!)と思わざるを得なかったです。
終盤にかけてはもはやコメントする必要もありません。
全編通して、で薬の規則違反の副作用を説明する際に 見ていて生理的に気持ちが悪い という表現しか見られなかったのが不満です。
過激な映像の割には 極端に醜くなる とか 抜けるはずのない歯が抜け落ちる などどこかで見たことのある表現で奇抜さはなく、本当にこうした描写が必要だったのか疑問です。
グロと並行してスプラッターの表現、演出も過剰です。
背中からスーが出るシーンから嫌な予感はしていましたが、チキンがへそから出るシーンもラストのシーンも、あんなに血を飛ばすことないでしょう。
ラストシーンでモンスター化したスーを見て、事態を飲み来めない観客が「モンスターだ!」と叫びますが、もう違う視点から見ている観客の私も叫びたくなるほど突飛な展開でした。
最終的には死をもってストーリーが終わるわけですが、この死が語るものがはっきり見えてこない。
折角
・人間、特に女性が持つ美への変わらない憧れ
・老いへの恐怖、嫌悪感
・人への強すぎる憧れと、その反動の羨望から来る自暴自棄
・誘惑に惹きつけられる心、はねのけきれない弱さ
・栄光、名誉の廃れやすさ、移ろいやすさ
・女性の権利と男性側の傲慢
・社会の力関係の強弱が他人の人間性や尊厳を破壊している現実
こうした普遍的で攻めやすいテーマがあったのに、映像面での演出があまりにも過剰すぎて全てのテーマが投げ出されてしまった感があります。
過剰な映像の背景に何か示唆があれば納得のしようもあるのですが、全くそれらが感じられず悪趣味、露悪的な意図からやってるとしか思えません。
映像のホラーのお約束、定石を踏襲しただけかもしれませんが…
制作側が最初に決めたホラーというジャンルに縛られたのか、(ホラー映画だし内容で適当でええやろ これがホラー映画っぽいし適当でいいわ)という思いで作ったのかはわかりかねるところですが、作り手の作品に対する誠意や真剣さを感じることができない本当にダメダメな映画でした。
映画com上では高評価のこの作品ですが、google検索上の評価では☆1が多数。
いずれこの評価に落ち着くだろうなあ、と今から思ってます。
【追記】
物語途中のカフェにいた男性が登場した際 (ああ、この人の受け取りケースを破壊したり、薬品を受け取った後に強奪するんだな・・・) と思ったのですが、こうしたシーンは描かれず。
また鑑賞後に思ったことですが、エリザベスは電話を通じて誰だかわからない薬品の管理者を接触することはしても、実際に顔を見知っている最初のクリニックの助手や男性にコンタクトを取ろうとしないなども粗と言えば粗だなあ、と感じました。
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