ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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面白いけど、あれがベストな終わり方だったのかな?
話が面白いし、観ていて楽しいし、「おっ!」となるカットがあった。
ただ終わり方は、「どうなんだろう?」という感じ。イゴールはちょっと不気味だがアノーラを心配して気遣っている。最後に彼はアノーラに指輪を返す。アノーラはおそらくその「お返し」に性行為をしようとする。しかし、イゴールは多分喜んでいないし、そもそもそういうつもりで指輪を返した訳ではない。それに気づいたアノーラは怒り、悲しみを彼にぶつけ、彼の胸で泣く。彼女の怒りと悲しみは多義的で、流した涙にはこれまでの色んな感情が蓄積されている。自己嫌悪もあるだろう。イゴールはそんな彼女をそっと抱きしめていた(気がする)。なんだかイゴールが主人公のハードボイルドもののようで、アノーラというけばけばしいキャラがイゴールに包まれてしまったような気がする。アノーラは当然人間だから弱さはあるし、ずっと戦うのも無理で、泣く時はあるだろうけど、男の胸で泣く姿がこの映画の終わりとして相応しかったのかな、という疑問が残る。それと、イゴールのことあれだけ信頼していたのが意外だった。
真実の愛の物語
被害者の視点と結束感
ショーン・ベイカー監督の視点。それは、前作『フロリダ・プロジェクト』では6歳の少女の視点。本作ではアノーラとイゴールの視点。二つの視点に共通するのは貧困だ。視点の向こう側は、『フロリダ・プロジェクト』では、資本主義の象徴「ディズニー・ワールド」。本作ではロシアの御曹司一家。そして、6歳の少女はトレーラー暮らし。アノーラはその日暮らしのストリッパー。ベイカー監督にぶれはない。
この視点で見れば、過度なセックスシーン、ロシアの御曹司の無軌道ぶり、御曹司を取り巻く連中のていたらくすべてがどうでもよくなる。アノーラと御曹司の結婚に反対し、彼女を娼婦呼ばわりする、御曹司の両親も想定内になる。むしろ被害者の立場で共感する、アノーラとイゴールのさりげない会話にぐっとくる。
ふたりはお互い名前の由来を言い合う。ロシア系アメリカ人のアニーは、ロシア名のアノーラが嫌い。イゴールは、アニーのほうがいいと言う。イゴールは、「戦士」の意味。アノーラは、ただの暴力男だとつきはなす。ふたりの間が秀逸だ。ロシアの御曹司のボディーガードたちとアノーラが、みな御曹司の被害者だという結束感も悪くない。
お金がすべての合理主義の中で、ひたすら人間の熱情に価値を見出す。そんなベイカー監督のポリシーが、アカデミー賞を呼び込んだような気がする。
誤解を恐れず言えば・・・
誤解を恐れず言えばこれはコメディ映画!
ただし、見た目も中身も研がれた刃物のように
ギラギラなので要注意
ストリップダンサーのアノーラは店に来たロシアの大富豪の息子イヴァンに気に入られ、契約彼女として付き合い始める
その後「結婚すればロシアに帰らなくて済む」と言われてスピード婚するのだが、イヴァンの親はそれを許さず手下の人間を使って婚姻関係を解消させようとしてくる・・・
というあらすじなのだが、とにかく登場人物の
ノリで物語が進んでいく
ノリでラスベガスに行ってノリで結婚して周りもノリで口げんか始めちゃったりする
ただし「登場人物の」というのが大事なところ
行き当たりばったりの行動を取るキャラを
しっかり計算で描ききっている
このテーマ、この物語をコメディ要素をまぶさず真面目さだけで創ったら辛すぎたのかもしれない
諸々のシーンやあの登場人物のセリフ。なによりラストを観たら到底笑っていられないんだけど「苦しいだけの映画じゃないよ! みんな観てね!」という声が聞こえるような、伝えたいものを伝えるための技術を見た気がした
なにもかもがエネルギッシュ!
これまでのレビュー読んでると、やはり好き嫌い分かれてますね😆
昨年たまたま気になって観たレッド・ロケットがほんとインディーズ映画らしくて、でもエネルギッシュで主人公サイテーだしエンディングもコレでいいのか?だったけど面白かったので、あのとっちらかった感じでアカデミー捕ったのか?ってストーリーには期待しないで観に行ったのですが、
良かったです!!
Fワードとくるくると忙しく変わる華やかなシーンの合間に入る、アノーラの鉄道車線沿いの家に帰るシーンの静けさと暗さとか、雪を見る静寂とか、動と静のコントラストが美しい
この娘は幾度となく危険をかいくぐってきたんだろうなって想像できる戦いぶりとか
心やさしいイヴァンも所詮チンピラなとことか職場の女同士の相性とか
ロシアの親父も嫁めんどくせえなと思ってるんだろうかとか、
ちょっとしたシーンでバックグラウンドを説明しているのがテンポ良くて
登場人物がみんなエネルギッシュで全然中だるみを感じなかった。
昔アメリカのシッコトムにハマってたので、後半のドラ息子探しの会話のやりとり
大好きです😆ほんとこのへんは好き嫌い別れると思う。
一部でエミリア・ペレスの失速によるタナボタ受賞と言われているけど、これは普通にアカデミー賞ありだな、と思いましたですよ(あちらはこれから公開なので観ないと判らないですが)。
とにかくものすごい勢いで進んでって、最後にあれ。
ズシンときます。
あと、ロシアのドラ息子の瞬速脱衣はすごかったな🤣
フロリダ・プロジェクトも観なきゃ。
それほどでもないような気がするな、というのが正直なところです
アメリカン・ニューシネマの片鱗を感じさせる
前半30分はとにかくヤりまくりで、そらR18になるわ、という印象だったが、追走劇のような中盤を経て、ラストのワイパーのシーンは流石としか言いようがなかった。展開にやや粗さはあったが、終わり良ければ全て良し。ラストシーンのほか、フレンチ・コネクションを彷彿とさせるアノーラの自宅界隈など、アメリカン・ニューシネマを強く意識させられる。やはりこういう監督がハリウッドにはいてほしい。
これが受賞作品かぁ
アカデミー賞でいくつも受賞してたことなど全く知らずに、事前知識もほぼなく鑑賞
娼婦のシンデレラストーリーなのかなー?と思ってたらとんでもないバッドエンド迎えてましたね
娼婦という設定からも、終始女性が弄ばれる内容なので、同姓からは胸糞な映画になってもおかしくないかなと
ありきたりなストーリーではありますが、それなりに楽しめました
カップルで鑑賞してた人いたけど、マジでチョイスミスでしょ...
カップルと女性には全くオススメできない映画なので、男性1人で見に行ってください
スタローン映画の見過ぎな僕
見終わった後、少し物足りない気がしました。
これがアカデミー賞?
アノーラは魅力的だし、イヴァンはクソだし、イゴールはいい奴。それだけか?
相手はロシアだ!ここからイゴールと一緒に敵地に乗り込んでひと騒動あるのかなあと思ってたら終わり。
他の方のレビュー見て、なるほどと思い少し印象が変わりました。
スタローン映画の見過ぎだと思いました。
アカデミー賞 ≠ 自身の好み
アカデミー賞の結果に釣られて観た口ですが⋯
結構自分の好みではないことが多いので期待はしてなかったので良いのですが⋯
やはり、個人的には、なぜこの作品???感はありました。
作品の内容自体の前情報は、まったく入れてないので、
告知のティザービジュアルで、女の人が、ショービジネスか、なんやかんやで成功するお話?
と思いながら観たら、全然違いましたね⋯笑
これは、核となる部分は、やはり女性の性的搾取問題的なやつ?
アノーラは、とにかく職業柄なのか、根底に男性に対して被害者意識を持っているよう。
イゴールに対しても、端からレ●プ魔って、だいぶ失礼な暴言吐いちゃうところとか。
そんなアノーラの複雑な心情をもっと描いて欲しかったかも。
ただ、ワーワー叫んで、なんでそんなにイヴァンとの結婚に拘るのか?
この脚本だと、やっぱお金?ってなってしまって、共感できないんだよね⋯。
イヴァンなんて、もうただのバカ。
鑑賞後にコメディと知りましたが、
笑う配分少なかったし、やはり、全体に騒々しくて疲れちゃったかな。
総括的には、イゴールでどうにかオッケーになった感。
出てきたときから、魅力的だったな、この俳優さん。
ちょっと、これから気になる〜。
もう一度観たい脳汁飛び出すほどの快楽の日々。
ストリッパーとして働く主人公がある日、客のロシア人御曹司と出会い、1週間限定の彼女となる契約を結び、しまいには勢い余って結婚してしまうが、そこに向こうの家族の手先が来て婚姻無効の手続きを迫られるという話。
ストーリーはわかりやすく、テンポ感もいい上に色々な感情を抱かされ、この物語の行先から目が離せなかった。
特に前半の酒、セックス、ドラックの快楽の日々の描写はまさに脳汁ドバドバそのものといった感じ。
そこからロシアの刺客が来るところから物語は急展開。
夫の逃走や喧嘩、罵倒、途中笑いも挟みながら物語は進んでいく中で刺客の男・イゴールだけが最後までアノーラの気持ちに寄り添っていたことに主人公は気付いていたのだと思う。
ラストシーンの涙はセックスだけが自分を取り戻す手段であるためか、信じていた人から自分に愛されてなどいなかったからか、娼婦などと散々に言われて存在を拒否されたからか。
色々なことが起きた1日が終わり、必死に堰き止めていた感情が涙となって溢れ出す最後のシーンには感動した。
そして何よりこの主人公のパワーが凄いと思った。
もうここから2人の元通りの生活を取り戻すのが難しいだろうなという局面においても、主人公が離婚を拒否するのは2人の愛よりもむしろ自身の尊厳のために闘っているように見えた。
アンチ・シンデレラストーリー、ちょっとビターで最高に刺激的。
まさにその言葉通りの傑作でした。
前半気まずいが後半引き込まれる
あまり題材として興味は惹かれなかったものの、アカデミー賞なら見とくか。。と鑑賞。
前半これまでかというくらいのセックスシーン三昧、両隣男性だったからなんだかとても気まずい、男性側も横に女性座られたら気になるだろうなと思いつつ。両隣のおじさまがポップコーン食べ続けているのは照れ隠しかとどうでもいい勘ぐりをしながら、これハズレかなあと見てた。
でも後半のドタバタになってからは、大してストーリー何も進んでないのに釘付けになった。ひとえに主演のマイキーマドソンの体当たり演技にやられたのかも?ファッキンとマザーファッカーをひたすら繰り返す、語彙力の少ない悪態も逆にわかりやすく、また出てくる人ほとんどロシア人で英語が得意でない設定だったのが少し身近に感じられた。娼婦、にあたる単語がいくつか出てきてその度にアニーがブチ切れるのも彼女の矜持なんだなあと。しかし身分差の恋の物語かと思いきやただ逃げるだけのお坊ちゃん、アルメニア人の警護役?と一緒になって怒るアニーにちょっとだけ感情移入。
そしてイゴール役のユーリーボリソフさんかっこよかった。はじめはいつ暴力振るうのかとビクビクしつつ、最後はただのいいやつでいつ手出すのかなと思いつつ。キスは拒まれるも抱きしめるラストシーンに少し救いを感じた。でも彼らは結ばれるわけではなくあの後会うことはないんだろう。
面白かった、けど、作品賞かあ。。?は疑問。主演女優賞はわかるけど、そこまでのメッセージ性やこの作品ならではの斬新さがあったわけではないように感じる。ノミネート作品まだそんなに見れてないけど、duneもwickedも断然作品としては上な気がするけどなあ。。不思議。
コミカルで軽く進行しながらも段々と力強いテーマ性が見えて来る
同じ日に4本観ることを予定していた映画の中では、一番期待していなかった作品でしたが、結果として、一番面白かった映画でした。
心にも少し残りました。
話の始まりは、非常に軽くて下らない。
でも、展開は予想外で、深刻な事態なのに軽妙なやりとりがとても面白い。
そういうコミカルで非常に軽い内容で進行しているようでいて、段々と、かなり力強いテーマ性が見えて来る。
私の映画のセレクトって雑だとは思っているのだけれど、雑に選んでいるからこそ、こうした意外な出会いが有るのだと思う。
深夜に観終わったけれど、いい気分で家路につけました。
翌日にアカデミー賞の発表。
作品賞と主演女優賞を獲りましたね。然ありなん。
受賞、おめでとうございます。
ロシア版から騒ぎで疲れました
今年のアカデミー賞は、もはやアカジミー賞としか言いようがない地味な作品ばかりでした。本作は、作品、監督、脚本、主演女優賞など主要部門を押さえた作品だけど、正直言ってどこがいいのかさっぱり分からない映画でした。ロシア系風俗嬢がロシア人成金のボンクラ息子と勢いで結婚したことで巻き起こる騒動を描くコメディだけど、まるで感情移入できない登場人物達が大声で喚いて騒いでいるだけで、うんざりしました。現代版シンデレラストーリーとは言うけど、色と金の欲望バカップルの狂乱生活を延々と見せられ、共感がわきません。中盤からコメディになってくるけどなんかイマイチ切れが悪いし、ダラダラ話しが続いてしまりがないように感じました。役者では、イゴール役のユーリー・ボリソフがちょっとよかったかな。
アカデミー賞って???
本作がアカデミー賞 作品賞を受賞したので、観に行きました。
良くも悪くも、僕がイメージする 男にグゥパンチをするような"アメリカ女性像"そのものであり、
「本当は好きだった」「女だからこそ 泣きたい時もある」とラストシーンにに影響されて、共感してしまう女性が多々派生してしまう事を危惧します。
男には都合の良い事ではあるが。。。
アノーラは、自分に対する言い訳を、自分自身に魔法のように洗脳しているが、しょせん お金だけの人間
映画の節々を観ていて、感じました。
この映画を観たら、同じく春を販売する事を非常に稀で、異常だと考えないアメリカンなリアル"シンデレラストーリー"
「プリティ・ウーマン(1990年)」と比べた方が良いと思う。
しかし本当の"シンデレラストーリー"なら、「愛と青春の旅だち(1982年)」を観る事を勧めます。
シャボン玉
一気に観れた。
が、終わってみればやるせない話だったし、嘘のない話だった。
劇中でアノーラは自身の事をシンデレラに例える。御伽話と違うのは、王子が絵に描いたようなクソ野郎で、王家が寛大な心も持たず、社会には身分も階層もあると認知し行使してる普通の権力者だった事だ。
ラストのSEXは悲しいなぁ…。
強がり100%というか、初め自分が返してあげれるのは身体くらいしかないって事なのかと思ってたけど、アレは施しだったんだな。マウントを取ろうとした相手に同情を向けられたら情けなくもなるわなぁ。
悔し涙だったんだろうか…ありもしない幸せを夢見た自分への怒りなのだろうか?
主人公はSEXワーカーで、大富豪の息子と知り合い結婚する。バカ息子がホントにバカっぽくて恐れ慄く。彼がこの作品にもたらした功績は計り知れないように思う。俺は彼を見て「この作品は面白いかも」と思った。
なるほどと思うのは「結婚」が実行されるまで、彼女は幻想を抱かないのだ。コレは仕事。対価として金を要求し、バカ息子の甘言にも振り回されはしない。
男は21歳、女は23歳。
口約束ではない、法的に認められている「結婚」をする。…どう考えても男に誠実さはない。アノーラも愛している風でもない。
でも、彼女はこの契約を機にクソみたいな自分の現実から這い上がろうと必死だったように思う。
いや…たぶん俺がそう解釈したいだけなんだけど。
そんな彼女はなかなかにタフだ。
屈強なボディーガード達に屈しないし、怒鳴り散らす後見人に言い負かされる事もない。
この男達が登場してからは、かなりコミカルなシーンが続く。
ただ、敢えて面白い事をするわけでもなく、間がいいというか、笑えてしまうと言うか…ボディーガードの登場は車内のツーショットで長回しなんだけど、なんいい。すこぶる気負いがないし、なんなら脚本の所在も忘れてしまいそうだ。
口論してる4人(参加してるのは3人だけど)のシーンも、のべつまくなしに喋りまくる。おそらくアノーラの台詞はほぼアドリブじゃないのかと思うのだけど、噛み合ってる。
不思議なんだけど、英語を話せない俺ですらそう思う。長いシーンなんだけど全く飽きないのだ。
皆様勿論、芝居巧者なのだけど監督のセンスも光るシーンだった。
坊主のボディーガードもいい味出してて、コイツだけが常識人だった。片方のデカいのは途中からずっとラリってるし。
イヴァンが逃走してからは、ホントに色んな事が差し込まれる。笑って見てられるのはどれもコレもキャラに沿ったエピソードのように思うからだ。正直あんなに長くやる必要はないのだけれど、ラストに向かう肩慣らしだったんだろうなぁと思う。
結局、2人は離婚する。
高慢ちきな母親はナイスなキャスティングだった。「母親が嫌いだから、母親が嫌うような女と結婚したのよ」って捨て台詞は強烈だったけど、それに大笑いしてる父親とかワザありな演出だったなぁ。
きっと父親もあの奥様には手を焼いてて、浮気もしてるし、興味ないんだろうなぁって。
全て手に入れてるであろう上流階級の人々でも、金を払っても買えないものが「愛情」なんだなぁなんて事を思ったカットだった。たぶん婿養子なんだろうなぁとか…w
終わってみれば、当初から彼女が予想していた現実は、なんら覆る事はなかった。
シャボン玉は割れるのだ。
でも、アノーラは
「本気なの?」
「本気だよ」
その言葉を真実にしたかったんだろうなぁって思う。自分の居場所を作りたかったんだろうなぁって。
遊女の手練手管じゃないけれど、行為の一環としてする告白など信じるられるような境遇ではなかったのだと思うんだけど、日常に擦り潰され、粒子程の大きさになっても、唯一残された彼女の純潔が「結婚」だったようにも思えて、切なかった。
縋りたくもなるよなぁ…。まやかしだと思っていても、目の前に結婚証明書なんて現実があれば。
センセーショナルなトップシーンからは想像もつかないような切ないラストカットだった。
アカデミーでは編集賞も取ったそうな。
なるほど、と思う。
面白いアングルはいっぱいあったし、編集する事で倍増する箇所も多々あった。加速したりチェンジアップがあったりと楽しかった。
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