「幸せは歩いて来ない、だから歩いて行くんだよ」ANORA アノーラ たつのこさんの映画レビュー(感想・評価)
幸せは歩いて来ない、だから歩いて行くんだよ
前半と後半の一変する展開が象徴するように現実社会の哀感を表していましたね。
クラブで店員と客として偶然出会った二人。しかし生活環境がまるで違う二人。
ロシアの御曹司と過ごす時間はアノーラにとってまるで別世界。
そこから結婚までの流れも若い二人ならあり得ないことでは無いでしょう。
でもあの時二人には間違い無く愛が存在していました。
でも自らの力で富を手にしたわけでもなく何の力もないイヴァンが親に逆らう術などある訳もなかったですね。
イヴァンを信じ、愛を信じて語るアノーラの声はもう届きません。
もしかしたらと願う思いと、やっぱりそうだよなと納得する思いが見ていて交差しました。
まあ現実はこんなもんだ。そりゃ巨万の富の元に何不自由のない生活は誰しも憧れの世界。
でもちょっと待てよ。それと人間として豊かに暮らすと言うこととは又別の話だそ。
アノーラにとっての幸せはアノーラ自身がこれから作っていけばいい。
何かとアノーラに好意的だったイゴールの胸で流した涙は切なさだったか悔しさだったか、あるいは後悔だったのか。
でも大丈夫。人は忘れると言う素晴らしい技を持っています。
いつの日かあの時の出来事も笑い話になる日がきっと来る。
そしてアノーラはアノーラらしく力強く生きて行くでしょう。
いい映画を見ました
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humさんのコメント
2025年3月12日
いろいろあったアノーラには、あのイゴールの包容力が沁みたんでしょうかね。
いいシーンでしたね。
〝人間として豊かに暮らす〟
賛成です。
アノーラのバイタリティならきっとのりこえていくでしょうね。