傲慢と善良のレビュー・感想・評価
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これはある意味ですごいかも?
魅力台無し
小説の方が
小説で読むべき作品かな、というのが印象です。
「傲慢と善良」という言葉自体がそもそも抽象的なタイトルであり、そのタイトルに迫るにはそれ相応の描写が必要で、とても2時間の映像作品に込めるのはなかなか難度が高いという印象でした。
加えて、恋愛映画にはなっていましたが、ミステリーとしての要素は非常に薄くなってしまっており、映像は綺麗なのですが、お話に引き込まれないという印象です。
そもそも原作は真実の失踪から始まるため、「何が起きた?」という引き込まれ方をしますが、映画は架の婚活から入るので、いきなりの没入感が薄いのです。加えて、藤ヶ谷氏の「焦り」「動揺」がずっとあまり見えてこないので、とてもわかりづらく、ハマれない印象でした。
藤ヶ谷氏の演技を見る機会は(個人的に)最近そんなに多くなかったので新鮮でした。が、シュッとしたエリート感はよく出ていますし、それなりにまとまりのいい演技をするのですが、逆に個性を感じないというか、味がない感じで物足りなさが目立ちました。加えて何故か冒頭のROLEX・GMTマスターが似合わない・・・。(おそらくGMTってもう少し体格のいいおじさん感のある人に似合う時計な気がして・・・)わかりやすいですが、高級時計でももっと藤ヶ谷氏がしていて違和感のない高級時計があったような気がします(この辺りは個人的見解ですが)。
という感じで、原作を読んで(ちょっと時間も経ち忘れてしまってますが)期待していた分、物足りなさを感じたというのが正直な感想です。
もう一つの深掘りがあっても良かったかも。
今年354本目(合計1,446本目/今月(2024年10月度)5本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
どうにもわかりにくいな…と思ったら原作小説があるようで、それを下敷きにする以上あれこれ変えることもできないし…といった事情がある作品です。
マッチングアプリで知り合った2人と、そこに忍び寄るストーカー、あるいはお互いの過去…といった部分を扱う映画です。「ミステリー」の分類になっているので謎解きや動機当ての要素が強く、「婚活マッチングアプリはありかなしか」のような問題提起の映画ではない点に注意が必要です。
多くの方が書かれているように、映画自体は120分とコロナ事情を経て今過渡期にあろうという2024年においては「まぁ標準的かな」という長さの映画ではありますが、色々なことを扱った関係でどれもこれも中途半端な部分があることと、原作小説をやはり前提にしている点で理解の差が出てくる(ただ、後者に関しては告知されている以上、原作を知らないふが悪い、とは言える)といったところでしょうか。
ただどうであろうと、結婚するしないといった話はマッチングアプリを使おうがどうであろうが当事者の意思が最優先なのであって、アプリを使ったから強制されるとか(その親が)社会通念を超えていちいち口出しをすることはない筋合いのものであり、この点について適切な描写があったのは良かったところです。また、「ミステリーもの」といっても謎解き一辺倒ではなくいろいろな「軽い」問題提起的な部分もあり(そうした「困っている」当事者に周囲はどのように関与、助言すべきか、等)、この塩梅が良かったところです。
どうしても「ミステリーもの」である事情からあれこもこれも書くのはあまりよくないかなと思うのでこのあたりです。10月1週は本命対抗と有名作品が多いですが、先週からのひっぱりであるこの作品もまだまだおすすめといったところです。
採点に関しては以下まで考慮しましたがフルスコアです。
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(減点0.2/心裡留保と相手方の保護)
心裡留保は善意無過失の相手方に対抗できません(93条)。また、善意の第三者にも対抗することはできません(後者は民法大改正で追加されたもの。ただし過去の最高裁判例の積み重ねであり、明文化されたに過ぎない)。この点やや微妙な描写がありますが、法律系資格持ちは気が付くかな程度でストーリーが崩壊するほどではないので指摘だけにします。
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原作だけが価値あり
原作に比べて70点くらいかなあ
映画化する前から察していたことだけど、こういう、えぐるような心理描写が持ち味の小説を映像化するとこのへんが限界だよね、という気がしました。
小説では、どちらかというと地の文?ト書き?の部分にこそ深い味わいがあったし、それが魅力でした。
それを2時間あまりにギュッと詰めて、セリフまわしだけで表現するとこうなっちゃうよなーという印象。
それなりに楽しめたし失望するというほどではなかったけれど、やっぱり、映画向きのもの・小説向きのものってあると思うから、小説は〇万部売れたから映画化!となっても同じ水準を期待するのはなかなか難しいですね。
ま、見にいっちゃうんですけれど。
ただ、ラストは若干オリジナルが入っていて、私は、これはどちらかというと映画の方が好きでした。
2人はいったんはっきり別れてお互い別の道を歩んだ後に再会してのハッピーエンド。
2人の歩んだ経緯を考えると別れは必要だったと思うし「あ、この2人大丈夫そう」とスッキリ終われました。
奈緒さんの演技力の故かもしれませんけれど。
あと、ヤギも可愛かったし!笑
余談ですが、原作の辻村深月さんは、ご主人とは学生時代からの付き合いで適齢期に結婚されているんですよね。
ということは、おそらくご自身は婚活の経験はなかったはず。
それをここまでの作品に仕上げる、その手腕に脱帽です。
プロの売れっ子作家さんにこんなこというのは逆に失礼かもですが。
婚活って経験してる人が多いし、そういった人が共感したくて見にくるジャンルだと思います。
自分が経験のない世界を、経験のある人が見て説得力あるものに昇華させる、作家ってすごいものだなと思った次第。
人間って素直に生きる事が苦手な、いきものと思わされた作品。
原作本を読む方がよい
普通の人は傲慢で善良
期待し過ぎて鑑賞するとハズレた時に評価が一段下がってしまうような気がしている。好きな役者、好きな原作、大作話題作…。
最近は、なるべくあらすじなどの情報を事前に知らないで鑑賞するようにしている。
この作品も時間潰しの繋ぎで鑑賞したので何も知らない状態だった。宣伝ポスターから主演と恋愛モノ?がわかる程度だった。
着席して「やっぱり…」と思った。観客の年齢層を見ると若者が多い。カップル、女性同士、女性ひとりが多く、自分のような年齢層は稀だった。
映画について簡単に感想を書けば…
なかなかよかった。今はわりと一般的になりつつある?婚活アプリによる男女の出会いと恋愛模様を描いた内容だ。
西田尚美さんと前田美波里さんのセリフが刺さるし、藤ヶ谷さんの女友だちの余計な言葉もあるあるだしね。
どんな人も相手にハイレベルを求めるよね。容姿、学歴、経済力、将来性、安定性、性格、健康、家族構成etcとキリがない。
気持ちはわかるけど、死ぬまで約束されたことなんて何ひとつない。片翼だけで飛べる飛行機なんてないし、バランスが大事なんだと思う。
恋愛が成就するには、相手のためにどれだけ自己犠牲できるか、相手のダメなところをどれだけ許せるか、じゃないかな。
いいコトばかり求めて相手を見ていると例え搭乗できても…。
人物造形とテーマの凄さ
奈緒ってなんか、こんな役ばっかりやってるイメージあるの。
ちょっと暗いというか、なんだよこの女みたいな。
もっとスカッと明るい役で主演やらせてあげたいな。
この話、途中までほんとつまんないの。
出てくる女の「そこは隠してくれ」という面が描かれて、気分も良くないしね。
地方都市の描き方も秀逸なんだよね。
「前橋なめてんの?」という感じもあるんだけど、冷静に考えると、恐らくこんな感じだわっていう。
奈緒が逃げたところから、面白くなってくるね。
ストーリーは、超ありきたりなんだよね。
でもそこに、『傲慢と善良』を入れて、いま恋愛ってどうやるのっていうテーマの設定がいい。
奈緒の行動はめちゃくちゃなんだけど、それでも納得しちゃうのは、人物造形がめちゃくちゃ良いんだろうな。どの辺で納得させられるのか、注意深く観て見ようと思ったよ。
『傲慢と善良』のフリとして『高慢と偏見』が出されるんだけど『確か、ジェイン・オースティン』って架が答えるんだよね。「教養あるなこいつ」と思ったよ。
辻村深月がすごいのか、清水友佳子の手はどこまで入っているのか、原作読んで確かめよと思ったよ。
よくまとまっていた
傷ついたミカンは甘くなるらしい
主演のお二人に興味を引かれて注目していた本作。公開2日目に舞台挨拶中継付き上映回があるということで、そちらで鑑賞してきました。
ストーリーは、ハイスペックな西澤架が、長年付き合った恋人に振られたのを機にマッチングアプリで婚活を始めて多くの女性と出会う中で、他の女性とは異なる控えめな魅力をもつ坂庭真実に惹かれて交際を始めるが、真実の周囲にストーカーの存在がちらつき始めたある日、彼女が突然姿を消してしまい、彼女の行方を探す中でそこに隠された真相が明らかになっていくというもの。
まずは序盤のテンポのよさで、すんなりと作品世界に引き込まれます。スペック高めの男性を狙う女性たちと、それを見透かして冷ややかに見下す感じの男性という構図が、観る者の共感を誘います。これは男女を入れ替えても成立しますし、自分がされたら嫌なくせに、一方で自分は平気でそうしていることを客観的に見せつけられます。そんな時に現れた、善良そうな真実に架が惹かれるのはよくわかります。
そんな真実の突然の失踪から物語は大きく動き出します。行方を追う架が出会う、真実の両親や結婚相談所の小野里らから、真実の生い立ちや隠された一面が透けて見え、架自身はもちろん観客の結婚観をも揺さぶる展開が巧みです。特に、小野里の言葉の一つ一つが、前田美波里さんの落ち着いた演技と貫禄に裏打ちされて重く刺さります。中でも「ピンとくる相手とは、その人が自分につけてる値段だ」という言葉にはドキッとします。ピンとくる相手というのは、“自分と等価だ”と判断しているということで、己の傲慢さが際立つ表現です。傲慢と善良は必ずしも対義だとも表裏だとも思いませんが、こと恋愛に関しては矛盾しながらも同居する性質なのかもしれないと感じます。
いずれにせよ、真実の失踪を経て二人がそれぞれに自分を見つめ直したことは確かでしょう。特に真実の様子は明らかに変化します。周囲を気遣い、常に遠慮がちな彼女が、自分の意思をはっきりと表示するようになります。また、自分に釣り合う女性を探しているようだった架は、見栄や外見や条件ではなく、存在そのものを愛おしく思える女性を求めるようになります。本作は、二人のラブストーリーであると同時に、人としての成長譚のようにも思えます。設定こそ違えど「四月になれば彼女は」と流れやテーマが似ているような感じがします。
劇中の言葉で、傷ついたミカンは甘くなるらしいことを知りました。「贈る言葉」の歌詞にも通じますが、人も同じで、痛みや悲しみを知るこで、優しく心豊かになれるのだと思います。
主演は藤ヶ谷太輔さんと奈緒さんで、真実の失踪をきっかけに見せる変容を好演しています。脇を固めるのは、倉悠貴くん、桜庭ななみさん、阿南健治さん、宮崎美子さん、西田尚美さん、前田美波里さんら。
舞台挨拶中継では、藤ヶ谷太輔さん、奈緒さん、萩原健太郎監督が登壇されました。上映後ということもあって撮影裏話も聞け、あっという間の楽しいひとときでした。中でも、本作では助監督のアイデアが各所に取り入れられていたというのは、とても興味深かったです。レストランでのピアノ演奏、ヤギの登場、そのためのヤギオーディション、小野里邸で出されたジャムとケーキなど、全て助監督のアイデアらしく、それを取り入れる柔軟で寛容な現場の雰囲気も伝わってきます。
個人的には、原作小説のラストを映像で観たかったなぁ
%=点
原作未読です。
最初の方は、響くところが少なく
二人の出会いまでの説明で
互いの駆け引きがもどかしく思え
たりしました
奈緒さん演じる真実は思った事が
言えない性格で(毒親のせいかな)
同級生や彼の女友達に対して
「嫌い」と、言う
精一杯の意思表示が悲しかった。
結婚するという呪いから解放されて
二人は上手くコミュニケーションが
取れたというか、相手の言葉が
理解できるようになった気がする。
架(藤ヶ谷さん)の、女友達が
正直すぎて?なんでも
思う事を口にするのって
いま、そんな人いるのかな…って感じでした。
ストーリーに良いアクセントになりました…
西田尚美さんが、言った台詞あたりから
ハッピーエンドの香りがしてきました
是非映画館で見てください。
人って普通に生きてるだけで”傲慢”をまき散らす存在なのかもと怖くなった
日々の自分の何気ない言葉や何気ない行動が、視点を変えると”傲慢”なのかも… 人って、そして私も普通に生きてるだけで人って”傲慢”をまき散らす存在なのかも...と少しだけ怖くなった。
藤ヶ谷さん奈緒さんがとても良い。
架のスマートで気配り出来そうなのに無神経(マイルドに言うと鈍感)なところ、真美の素朴で優しそうなのに心の底が見えない感じ。二人の良い所と痛い部分を、力まずごく自然に表現されていたので、物語に散りばめられた刺さる言葉がすっとそのまま受け止められた気がする。
小説は文章から想像が湧き出て頭で映像が再生されるのが面白いけど、この原作ありきの映画化作品で、植木鉢の花、みかんの木、ヤギが視覚的に映画らしく感情を映す素敵な役割をしてて、でもそれに加えて花や果実や動物の”映像から湧き上がる匂い”が伝わる感覚があって、小説にはない映画ならではの良さと思った。
いい映画でした。一度では消化しきれないので2度みないとと思う映画でもありました。
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