「やはり藤ヶ谷太輔はいいんじゃないだろうか」傲慢と善良 kab_mtrさんの映画レビュー(感想・評価)
やはり藤ヶ谷太輔はいいんじゃないだろうか
原作は未読。去年「そして僕は途方に暮れる」で初めて主演作を見て、「もしや藤ヶ谷太輔はいい俳優では?」と思うようになり、見に行った映画です(ちなみにファンではありません…といちいち書かないといけない気持ちになるのは出自が“アイドル”な人だからかな)。
恋人がある日消え、探すうちに彼女の秘密が見えてくる、というのはもはやよくある設定だなと思います。宮部みゆきの「火車」とか、少し前に公開された「市子」もそうですよね。ああ、「スオミの話をしよう」もそうだったっけ。
そこに“婚活”というキーワードがからんでくるのは新しい視点かもしれない。それと主人公の周りの女友達がエグい。こいつらあわよくば自分が架とと思ってるのに「傲慢」で自分からは何もできず、結局周りで牽制し合ってるだけなんですよね。
とはいえ、過去の同様の設定の作品と比べると彼女の秘密はわりと小さく、ある意味現実的で、まとまり方も割とベタだと思いました。
それでも★3つくらいかなと思ったのは、正直、藤ヶ谷ポイントが0.5くらいあります。
奈緒さんがうまいのはもちろん折り込み済みですが、その上でやはりうまいと思います、藤ヶ谷さん。
「そして僕は…」の滑稽で悲しくて、憎めない主人公もそうだったけど、その人物のダメな部分が出たときの微妙な表情が特にいいです、この人。ホームのシーン、「パシッ」「パシッ」と2度にわたって動きを封じられる時の声とか表情なんて、最高。
アイドルキラキラではなく、地味な映画に出て、ありふれた人物をやり続けてほしい。そしたら追いかけます。
あと桜庭みなみがいい仕事をしていました。
劇伴は面白いなと思ったけど、エンディングテーマはちょっと違うと思いました。