劇場公開日 2024年9月27日

「映像化は無理と思っていた辻村先生」傲慢と善良 Ericさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0映像化は無理と思っていた辻村先生

2024年10月3日
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鑑賞方法:映画館

原作を読了しての鑑賞。タイトルのように辻村深月先生が「映像化は無理」と思っていた作品。読んで私もそう思った。マッチングアプリは未経験だが、原作はこれでもかというほどズバズバガシガシ突き刺さる。人の内面を貫く文章でできている。これを映画化…。

まずどうしても尺が足りない。例えば真実のストーカーがいたとなる辺りでも「ストーカーの身を考えて警察を呼ばない」という妙な心情をカットせざるを得なかったのは分かるが、それで真実の嘘が弱くなる。こうまでして架に想って欲しかった傲慢さが小さくなる。読んでしまった身としてはこのようなところに欲求不満を感じてしまう。ぶつ切りは覚悟していたつもりだったが…。

映画で架は元カノの充実しているような姿に「皆そのように生きられたら」と言うが果たしてそうだろうか。恐らく架が元カノを100点と思うからこその発言だろうが、皆が彼女のようになったら社会はパンクする。満点でなければ生きられない社会は地獄だ。そして満点に見える人でも抱えるものが、これから起こるかもしれないものがある。ここは脚本に疑問を覚える。

あの話を本当に頑張って映画にしようとした。ラストを変えても物語にしようとした。その頑張りは大いに認めるがやはり薄いと感じた。公式サイトで辻村先生が「きれいなラブストーリーにすることはできるかもしれない。だけど、(略)」と言われているが、原作にグサグサやられた私はその「きれいなラブストーリーにしかならなかった」と思わざるを得なかった。もし真実が耕太郎を選ぶラストだったら。耕太郎は映画で脚色されているので恐らく非難轟轟になっただろうが「おっ」という別の満足感があったかもしれない。

やはり『傲慢と善良』の映像化には限界があった。今回の映画ではそう考えるしかなかった。

〈辻村先生の辻の字がどうしても正しく表示できません。ご了承ください〉

Eric
ゆきさんのコメント
2024年10月4日

こんにちは。
コメント失礼します。
私も原作にかなり刺されてしまったので、、思い入れが強かったからか、少し揚げ足取りのようなレビューになってしまったな。。と思っていたのですが、共感頂けて嬉しかったです。
辻村先生は好評価コメントされていましたが、、イヤイヤ先生〜の作品はこんなもんじゃなかったよ〜!と言いたいです。
コメントも大人の事情だと思いたい。。
Ericさんのレビューも共感の嵐です!

ゆき