「現在の婚活事情。」傲慢と善良 Buttonさんの映画レビュー(感想・評価)
現在の婚活事情。
今の疑心暗鬼な時代において初対面の人との普通の会話でも緊張するのにマッチングアプリで出会い交際し結婚に到るなんて私自身には到底無理な話ですが、会社内でもそういう出会いで結婚した人をちらほら見るようになりました。
ひと昔前のお見合いなら、父母の信頼出来る親戚や友人等からの紹介があり、自身の経歴や職業等を記した「釣書」をお互いに交わすので相手方の素性はある程度担保されていることになります。
しかし、マッチングアプリの場合、相手の素性が担保されていません。はったりな世界な訳です。嘘をついてもOKな訳です。
そもそも、主人公の西澤 架(かける)はクラフトビールの会社の二代目社長でルックスも良いのだからマッチングアプリを使わなくても仕事の関係でいくらでも出会いはあるだろうに…と思ってしまいますが。
冒頭で架がマッチングアプリで女性と出会いを重ねるシーンで相手の女性は必ず架のロレックスの腕時計を見ています。架も黒地に金文字の凄い名刺を女性に差し出したりします。そこで初めて女性は架の素性を確認するって具合です。
西澤 架と坂庭 真実(まみ)はそんなマッチングアプリで出会い交際を始めます。
架と真実は交際1年後に結婚することになります。しかし善良に見えた真実が架の気を引くため嘘を重ねていたことが架の女友達2人にバレて、真実は失踪してしまいます。
架の方も元カノが忘れられなかったり、真実のことを70点と言ってみたり(実際は言ってませんが)、体の関係もあるのに、交際1年経っても態度をはっきりさせなかった傲慢な男です。(天然キャラで悪い男ではなさそうです。)
架は真実を探すなか真実の過去を知ることになります。失踪後の真実はボランティア活動の為佐賀県に居ました。そこで架と再会し、お互いに心を開いて再度やり直すことになります。
しかしまあ、女性は怖い。架の女友達2人は真実を冷静に、かつ冷徹に、観察し真実の嘘を見破ります。見破った事を真実にわざわざ伝えるなんて怖すぎです。恐らく二人とも過去に架に相手にされなかったのでしょうね。その恨みと妬みもあるのでしょうけど。
真実は真実で、失踪しながらもインスタで自らの足跡を残したり、ボランティア先で西澤姓を名乗ったり、何かあざとく感じてしまいます。
傲慢さと善良さは誰しも持ち合わせているもので、傲慢な瞬間だったり、善良な瞬間だったり、傲慢な一日だったり、善良な一日だったりします。男女の関係においてはその傲慢さと善良さとのどこでお互いに折り合いをつけるのかでしょうけど。まあ、当たり前ですけど。
仕事関係であれ、プライベートであれ、日々自然な形で接するなかで恋愛関係に発展するのがやはり適当ではないのかなぁ。やはり、アプリはちょっと…。
架と真実の場合だと結婚後にもまた何か出てくるんじゃないかと思ってしまいます。結婚した(契約した)後ではもう遅いけど…。(ToT)