「もはや真実はどーでもよい」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
もはや真実はどーでもよい
アポロ11号の月面着陸をテレビでドキドキ見ていたのは小学4年の時、その翌年大阪万博でアメリカ館に長時間並んで小さな「月の石」をありがたく拝見したが私のすぐ目の前をズルをして横から入ってきた秋篠宮(当時5歳)がなんの苦労もせず楽しそうに歩いて行くのが腹立たしかった。そんなことでアポロがらみの映画は避けて通ることができず、映画館で周りを見渡してもやはり同年代が多かった。子ども心に衛星中継だというその月面からの映像に違和感を覚えたのは事実で、その後「カプリコン・1」や「ムーン・ウォーカーズ」「ファーストマン」でもスタジオ撮影の疑惑が繰り返して描かれ、今回は直球ど真ん中である。もはやアメリカが威信を守るためにスタジオ撮影を行ったのはほぼ間違いないのではないか?と思わざるを得ない。テレビが普及し始めコマーシャルが力を持ち始める時代をNASAのPRやアポロ計画そのものの浮き沈みに焦点を当ててコミカルに描いており楽しい。逆に言うとシリアスに描くことはできないテーマで、実際に放送された映像がリアルかフェイクかはどちらでも関係なかったし、ましてVFX万能「ポスト・トゥルース」の現代においては客観的真実などどーでもよいのだ。アーメン。
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