「「(コールが)ウソをついた」「最近習得した技術だ」」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
「(コールが)ウソをついた」「最近習得した技術だ」
久しぶりに公開初日の作品を劇場で鑑賞。
TOHOシネマズ日比谷のDolby-Atmosで「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を。
ソ連との宇宙開発競争で遅れをとっていたアメリカはNASAを創設し、有人宇宙飛行計画のマーキュリー計画を立ち上げた。そこで選ばれた7人の宇宙飛行士たちの物語はフィリップ・カウフマン監督の傑作「ライトスタッフ」に描かれた。
1961年5月にJFケネディ大統領が1960年代中に人間を月に到達させると声明し、NASAは人間を月に送り、安全に帰還させる事を目的にアポロ計画が実施される。
しかし、アポロ1号は発射台の予行演習時に火災が発生し3人の宇宙飛行士が焼死、その内の一人はマーキュリー計画で地球を周回したガス・グリソムであった。
アポロ8号で人類が初めて月の周回に成功したのは私が中学3年の時だった。
そして映画は1969年のお話。
打上責任者のコール(チャニング・テイタム)はアポロ1号の事故は自分のチェックミスのせいだと思っている。彼は1号の3人の宇宙飛行士の碑の花壇をこまめに手入れしている。
ニクソン大統領側近のモー(ウディ・ハレルソン)は、月面着陸で国民の関心を引くためにやり手のPRマーケティングのプロ、ケリーをNASAに雇用させる。ケリーは、宇宙飛行士を使って、食べる物、着る物(下着!)、OMEGAの時計までタイアップを取る。
実直なコールは、そんなケリーのやり方を心良く思わないが、ベトナム戦争の最中で予算が削られれば月面着陸が出来なくなるかも知れないのだ。アポロ計画に反対の議員も説得しなければならない。コールは、ケリーを朝鮮戦争の時の愛機P51Dに同乗させ800km先の議員の説得に向かう(このP51Dは単座を複座に改良したもので「トップガン マーベリック」でトム・クルーズがJ・コネリーを乗せていたのと同型である。「ライトスタッフ」でサム・シェパード演じるイェッガーが乗っていたF104も駐機していた)。コールとケリーの努力で反対派の議員は賛成に転じる。
「これで帰りの切符が買える」ってオイオイ。月面着陸を成功させると言う目的を果たすためケリーとコールは意気投合して行く。「ムーンリバー」と「ラブ・サムバディ」のかかるタイミングが良いね。
国民の、世界の注目を集めるために月面着陸を生中継しようとする。
コール「月着陸船に乗せるような過酷な条件に耐えるカメラは無い」
モー「あるんだな、これが」開発中のTVカメラを入手していた。
しかし、モーはいざと言う時のためにコールには内緒でフェイクの画像を用意する。ケリーの知り合いの監督を使うが融通が利かない。ケリー「キューブリックにしとけば良かった」(キューブリックが「2001年宇宙の旅」を発表したのは1968年)。
上部の決定と言う事で、モーからたとえ成功しても中継はフェイク画像を流すと聞かされ、良心の呵責に耐えかねたケリーはコールに中継のフェイク画像の件を話す。
フェイク画像を流せるようにしたカメラを直さなければ。部品が足りない。ケリーは電気店に行きSONYのトリニトロンカラーテレビを入手し、コールの部下がその部品でカメラを直す。アポロ11号の打上は既にカウントダウンに入っている。間に合ったのか。「時間がなくて動作確認出来ていません」
打上、月面着陸に成功し中継が始まる。
果たして送信された月面着陸の画像は本物か、フェイクか?ケリーとコールの恋の行方は?
製作にも名を連ねるスカーレット・ヨハンソンがスタイル抜群のボディに60年代のカラフルな原色ファッションを身にまとってエンジン全開である。ハマり役。
月面着陸の映像がモノクロなのは、カラーカメラだと重量が数倍になるのと当時の技術だとカラー画像の伝送が大変だったようだ。
当時の技術で月面着陸を果たして無事に地球に帰還すると言う事がどれだけ困難を極める事だったのだろうか。
事実を生かしつつ虚構を盛り込む。こういうの大好きで、個人的には大変楽しめたからNASAへのリスペクト込みで☆4.5を献上します。
あ、猫にエサはやらないでください。
おまけ:月面着陸のNHKの瞬間最高視聴率は68.3%だったそうだ。私もそのうちの一人。
(関係無いけど)昔の旭化成の化学調味料ミタスの容器が(アポロ計画の前の)ジェミニ宇宙船の形だったのを知っているのは70ジジイの私位か?
味の素は瓶で、旭化成のミタスはプラスチック容器でした。使っていたのがプラスチック容器だったら多分ジェミニ宇宙船の形ですよ。当時のCMでも「ジェミニ宇宙船の形です」っていってましたから。
Mr.C.B.2さん、コメントありがとうございます。
>化学調味料ミタスの容器が(アポロ計画の前の)
ジェミニ宇宙船の形だった
ミタス。
ウチでも使っていた気がします。懐かしい。
ただしジェミニ宇宙船の形ではなかったかも…残念。
コメントありがとうございます!楽しめたり感動して、自分が考えるきっかけ与えてくれたら4.5かなあ。5をつけるときは迷いなくよかった!時です。甘々の点数基準です!
Mr.C.B.2さん、共感およびコメントありがとうございます。
「最近、習得した技術だ」というセリフは、とても良かったです。二人のナイトフライトも良かったですね。
さらっと流していた月面テレビカメラですが、確かにあの当時の技術で月面で動作するカメラは難しそう。よくぞ調達して持って行ったものです。生中継考えた人、ぶっ飛んでると思います。
こんばんは
「カプリコン・1」にコメントありがとうございます。
はい、走ってゆく映像は思いっきりスローモーションでした。
Mr.C・B・2さんの今作のレビュー、素晴らしくて、
コメントしたいなぁと想ってました。
車、飛行機、音楽、と何でも本当に詳しいんですね。
素敵なレビューですね。
ラブコメ調で楽しかったですね。
おはようございます。
「ソルト」へのコメント有難うございます。
仰るように、近年3時間近い作品が増えて来ましたね。
3時間だと、劇場も回す回数が減るし、観る側も身構えるし、ヤッパリ映画の尺は90Mから2Hくらいが良いかなと思います。
昭和の映画を配信で観ると、多くはそれ位ですよね。
最近、弊社でもコロナが再び流行って来ました。ご自愛ください。では。これからも宜しくお願いいたします。