「名前を覚えながら観よう」密輸 1970 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
名前を覚えながら観よう
悲しいかな、ノれず、でした。
70年代の雰囲気とかすごくいいなと思いながら始まったものの、かなり序盤から登場人物たちのやり取りが私にはどうもうまく捉えられない。
もちろんスクリーン上で起こっていることは物語の概要として「結果こうなった」と理解はするけど、前半のポイントとなる、キャラクター同士の駆け引きや騙し合いを伴ったドラマ・会話劇を踏まえて観ると「?」をずっと頭に描きながら眺めていくしかなかった。
その内に、予期せぬハイカロリーの格闘シーン(下手すると年齢制限かかってもおかしくないレベル)が始まり、最後はマンガじみた荒唐無稽な海中アクション。
前半を楽しめていればこの辺りの(本来なら)痛快アクションももう少し印象も変わったと思うけど、もうこの頃には私の心は作品から完全に離れて、時計を気にしていた。
もちろん、私の理解力不足が原因だと思いますが。
ストーリーがコメディタッチで進む反面、内容はかなり残酷だし、いわゆる「ノワール」に分類されるであろう映画。コメディ要素がそれを緩和してたら良かったんだけど。
冒頭、公害による海洋汚染で漁民の生活が成り立たず、犯罪に手を出した(当初自覚があったかはハッキリしない)登場人物たちが、罪を犯すことに葛藤や逡巡、後悔する描写は少なく、むしろ生活を成り立たせるために正当化するほうに舵を切ったことで、観ている側としては主人公たちに肩入れする気になれないってのもある。
「抑圧された女性たちが男たちにイッパツ喰らわす」感じもあるのに、悪意が勝つ。
ノリはよく言えば昔のTVドラマ「俺たちは天使だ」みたいな感じかな。
これから観る方は、会話シーンを正確に把握するためにも序盤から人名、特に呼ばれ方が複数あったりするので、しっかり整理しながら観ることをオススメします。