教皇選挙のレビュー・感想・評価
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候補者たちも人間なり。
パワーゲームと最後の展開が秀逸
小難しい内容かと思いきや、お話は「白い巨塔」のようなパワーゲーム。テンポも良く、最後の展開には唸ってしまいました。勘の良い人は読めるのかもしれませんが、私は「そうきたか」と興奮しました。オススメです。
宗教映画で最もパンキッシュな作品
普通に面白い お金のかかった一級のミステリー作品
コンクラーベ(教皇選挙)は『ダ・ヴィンチ・コード』に代表するダン・ブラウンさんの小説で概要は知っていましたが、当然ながらその内部や状況を垣間見ることはできないので、本作はとても興味深かったです
しかも選挙の候補者がそれぞれ都合の悪い黒歴史や事情があったりして、予想を超えた展開が次々に起こるストーリーが秀逸、広義の意味で閉じられた空間で起こるシチュエーションものなんだけど、目が離せず始めから終わりまで飽きることなく楽しめました
そんなサスペンスフルな作品を盛り上げるのがヴァイオリンなどでの素晴らしい音楽、そして重厚で格調高い映像美
そんな本作、先日の第97回アカデミー賞でも8部門にノミネートされるのも頷けますし、特に主演男優賞にノミネートされたレイフ・ファインズさんの演技が見ごたえがあり、とても良かったです
バチカン市国の国家元首
まさか!!システィーナ礼拝堂爆破!?
ミケランジェロの天井画は大丈夫なのか!
というところが一番ビックリでした。
が、あれは破片か何かがガラス窓を壊しただけで済んだようなので安心しました。
バチカン市国は歴(れっき)とした独立国家なので、CIAのように情報収集する組織もあるのですね。世界各国に散らばっている枢機卿の中には大使のような方、スパイのような方もいて、場合によってはローマ教皇の指示の下、ゴルゴ13に要人暗殺を依頼してたりして。
ラストでは、順位も入れ替わるほどの二度目のビックリ!!
投票用紙を燃やした煙突の煙によって、新教皇決定を一般市民へ知らせるまであと一時間。
というタイミングで、そうきたかっ!、と思わず膝を打った人も多いはず。
アノーラ同様、ラストで一気に心を掻っ攫っていくパターン。お見事です。
チャップリン「独裁者」を思い出した。
メッセージ性が強い作品でした。
トランプを想起させる教皇候補者の説教に
反対した弱者の説教には、
チャップリンの「独裁者」を思い出した。
米国での公開が昨年10月でしたが、
あと半年公開が早かったら、米国大統領選挙も変わったかも
と思わせる作品で、知性の高い方にはお薦めです。
他国性企業で働いていた私ですが、
キリスト教団体も、同じ多国籍組織なんだと感じた。
「多様性」が企業文化を支えている。
その多様性がトランプにより否定されている昨今、
当該作品の最後の何気ない女の子達の映像に
将来への希望を感じたのは私だけではあるまい。
トランプが何をしようとも、
世の中は確実に「変化」しているのだ。
PS : 正論を貫き通してきた主人公、皆が望むなら、
教皇になってもいいかと思った時、
なんと、女差別をしている自分に気が付き愕然とする。
自分が思っている以上に、世の中は進化していたんだと気が付く。
その気持ちを「亀」と「女の子」が表現していた。
Michi
知られざる世界を覗き見するような面白さ
ローマ法王を選出する選挙、いわゆるコンクラーヴェは世界中から大きな注目を浴びる伝統と格式に則った選挙制度である。これまでに数多くの法王が誕生したが、個人的には前々任者ヨハネ・パウロ2世の印象が強く残っている。在位期間が長かったというのもあるが、テレビなどでもよく目にしたので何となく馴染み深い。
そんなコンクラーヴェの内情に迫ったのが、この「教皇選挙」である。
外から見るのと中から見るのとでは大違いで、泥臭い駆け引きや陰謀、欲望渦巻く戦いが繰り広げられ、神聖なイメージとは程遠い骨肉の争いが展開される。当たり前であるが、聖職者だからと言って全員清廉潔白なわけではない。夫々に大なり小なり野心を持っているし、他者を陥れてでも頂点に立とうとする狡猾さも持っている。聖職者である前に一人に人間なのだ。
以前、オットー・プレミンジャー監督の「枢機卿」という作品を観たことがある。これは、情熱にあふれた若い神父がカトリック教会の実情を目の当たりにして信仰心が揺らいでいく…というドラマだった。そこにもコンクラーヴェは登場してきた。票集めに躍起になる取り巻きや、裏で駆け引きに興じるフィクサー的な存在が出てきて、やっていることは政治の世界と一緒で権力の座を巡る派閥争いである。
本作にも一癖も二癖もある個性的な枢機卿が登場して、激しい選挙戦が繰り広げられる。
リベラル派のベリーニ枢機卿、保守派のトランブレ枢機卿、初のアフリカ系教皇の座を狙うアデイエミ枢機卿、現在のカトリック教会に批判的な伝統主義者のテデスコ枢機卿。更に、ここに本作の主人公であるローレンス主席枢機卿、前教皇から直々に任命されてはるばるアフガニスタンからやって来た若きベニテス枢機卿が加わる。
教皇に選出されるためには全体の2/3以上の票が必要で、決まらなければ何度でもやり直すという方式だ。今回は急な選挙ということもあり、これだけ候補者が並び立つと票は当然、分散してしまう。そのため何度も投票が繰り返されることになる。その間、各候補者の思惑が複雑に絡み合いながら、票取り合戦はヒートアップしていく。中にはスキャンダラスな事実が発覚したり、ある種俗っぽさもあるのだが、そこも含めてエンタテインメントとして非常に上手く作られていると思った。
物語は終盤から意外な展開に突入していく。
カトリック教会という”組織”に仕えるのか?信仰の源である”神”に仕えるのか?この問題はローレンスの中で常に問われ続けられるが、それが”ある人物”の声によってついに解消される。
正直、このクダリはやや安易という気がしなくもなかったが、ただ本作はこの後にもう一段階どんでん返しが用意されていて吃驚した。ここにこそ本作の言いたいテーマがあったのか…と唸らされた。
これを”革新”と捉えるべきか、それとも伝統を破壊する”反乱”と捉えるべきか。それは観た人それそれが判断する所であろう。
現在、世界中に叫ばれている多様性にしてもそうなのだが、夫々の立場が夫々の思想を持っていて当たり前である。
こうした意見の対立は実は重要なことだと思う。但し、ただ一方的に自分の主張を言い合うだけではダメである。そこから何かを学び取らなければ意味がないと思う。夫々に自らを省みることで歩み寄る姿勢というのが必要なのではないだろうか。
劇中でローレンスが語る言葉。”確信”ではなく”疑念”を抱くことの重要性。その言葉の意味が身に染みる。
本作はコンクラーヴェの実情=”闇”に迫るだけに留まらず、既存の伝統的価値観を安易に鵜呑みにすることの危険性、時代と共にその価値観が刷新されていくことの重要性を訴えている。同時代性という観点から見ても、極めて普遍的なメッセージを言い放っているように思う。
尚、本作のローレンスは、最初から自分は教皇に相応しくないという立場を取っている。ローマ教皇ともなれば相当の重責を負うことになる。そのプレッシャーを嫌ってのことだと思うが、彼を見てナンニ・モレッティ監督の「ローマ法王の休日」という作品を思い出した。この映画は、誰も法王になりたがらず、小心者の主人公が半ば押し付けられる形で法王になってしまうというコメディだった。教皇の座に就くことは確かに名誉かもしれない。しかし、それが本人にとって本当に幸せなことなのかどうかは誰にも分からない。
この大オチは意外性なのか?
画作りが素晴らし過ぎて目を見張る!
赤を基調とした色彩の鮮やかさ!
音楽、演技、演出のどれをとっても重厚であり、これぞ映画と言える。
ただ一方、お話はと言うとコンクラーベという知られざる世界を題材にしているが、中身は人間のやる選挙ということで、ロビー活動に蹴落とし合いの工作合戦。
神に仕える身がというだけで、目新しさはまったく無い。
結局、誰が選ばれるかは序盤で予測される人物で個人的には反則に思える大オチで落とす展開。
映画とすれば、この人物はミスリードに使うべきだし、レイフ・ファインズ演じるローレンスが地位というものに呑み込まれそうになる葛藤の話でよかったのではと思う。
その葛藤を目覚めさせる神の一撃として、あの爆破シーンを大オチにすればと思う。
あの爆破シーンの力強さと美しさは、それに相応しいインパクトをもっていた。
素晴らしい間の取り方
教皇選挙(コンクラーベ)の話。キリスト教最高権力者を決定する選挙なので、「白い巨塔」「清洲会議」のような被選挙人のストーリーを予想していたが、違うものでした。
選挙を執り仕切る人の苦悩を描いたストーリーで新鮮でした。
選挙が進むなかで、スキャンダル、陰謀、不正が発覚していき、選挙が難航する。
新しい切り口のストーリーも良かったが1番印象に残ったのは静寂の間が素晴らしく、その時の全体的構図もシンメトリーが意識的に使われていて美しいです。また、全体的に黒や灰色が多い中、赤い服や赤い絨毯など、まるで絵画の様な美しさがありました。
難点は
①人の名前が多い
日本人からすると外国人の名前がなかなか覚えられないものです。○○枢機卿が大量に登場するので誰が誰か分からなくなります。
②キリスト教のルールが分からない
キリスト教のルール、戒律が分からないので一部意味が分からない所があります。
荘厳さに圧倒されました
コンクラーベ
なんだかユーモラスにも感じられる名前だけは知っていましたが、教皇の選任式、程度の知識しかありませんでした。
この映画では教皇の逝去から次の教皇が選任されるまでの過程がつぶさに描かれます。
異教徒の外国人である私にとっては映画でなければ見る事のできない世界に圧倒されました。
綺羅びやかな衣装、荘厳な建築物、伝統の重さを感じさせる儀式の流れ…
108人の枢機卿が一堂に集い、誰かが必要な得票数を得るまで繰り返し投票が行われます。
伝統か変化か。
信仰か野心か。
舞台は枢機卿たちの宿舎と投票会場であるシスティーナ礼拝堂のみ。
灰色の背景に緋色の法衣が鮮やかに映える映像美を背景に、厳かなはずの儀式の裏では人間の欲得が渦巻き、虚々実々の駆引きが繰り広げられます。
多様性、ジェンダーギャップなど昨今注目度が高まっているキーワードを巧みに盛込んでドラマティックでありながら淡々と進行するストーリーが、人間性をじっくりと描き出します。
この機会を逃しては見る事のできない世界。
是非ご覧になってください。
期待度○鑑賞後の満足度◎ 驚くべき結末!「神が全てを創造したのであれば、この世にある全てのものはあるがままの姿が神の御心に適っている」正に其の通り。それを変に解釈して歪めているのは人間。
①因みに私はキリスト教徒ではありません。
②「確信」と「盲信」と「狂信」と…これらの境って確かにグレーだわ。
③こういう緊張感のある演出は心地好い。演技的にも出演者はみんな演技巧者なので安心感と安定感はたっぷり。
特に、教皇選挙のしきり役を任され(しきり役って我々庶民の仕事や活動でも大変な役回りなんですよね)、公平・公正な立場に立とうと思いながらも、革新派と反動派の板挟みになり、自分もパワーバランスの戦いに巻き込まれそうになりながら、やがて前教皇が何故自分を辞めさせなかったのかを理解するようになり、最後前教皇の(おそらく)希望通りの結果に辿り着くまでの上席枢機卿の苦悩を演じきったレイフ・ファインズがやはり見事。
④泉水のある広場を白い傘を指した赤い衣装の枢機卿たち(レイフ・ファインズだけ傘を指していない)が通っていくシーン。
昔の(特にヨーロッパ)映画には必ずこういうシーンが挿入されていたように思う。最近の映画ではあまりお目にかからない。
こういうシーンが映されると“ああ、映画を観せてもらっているなぁ”という気になりますね。
⑤中盤までの緊迫感が凄かっただけに、法王有力候補の二人が脱落する原因が世俗的過ぎて(まあ、普通こんなもんなのでしょうが)、こんな感じで最後まで行くのかな?、っとちょっと緊張感が緩んでしまったが、終盤にかけての捻りで盛り返しました、って感じかな。
⑥若い頃あんなにキレイだったイザベラ・ロッセリーニが初老の修道女役で助演している姿が、若い頃は神々しいほど美しかったのが晩年『オリエント急行殺人事件』(1974年版)で冴えない中年女を演じた(でも、この演技で3回目のアカデミー賞獲りましたけど)お母さんのイングリッド・バーグマンの姿とダブって感慨深いものが有りましたねぇ。
⑦自分が死んだあとに教皇の座を巡って醜い争いが起こることを予想しつつも極秘に秘密兵器を仕込んでおいた前教皇はタイトルに書いたような考えを持つオープンな心の人だったようだが、自分が死んだあとに親族内で血で血で争う事件の発端になる遺言書を残した『犬神家の一族』の犬神佐兵衛翁みたいだな、とちょっと思った。
本作では血で血を争う様なことは起こらないけれども、或る意味それより醜いことを炙り出すことになる。
⑧原題の“Conlave”ってそのまま片仮名読みすると「コンクラベ」⇒「根比べ」ですね。
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