「政治ゲームはいつもどこでも似た様相を呈す」教皇選挙 とびこがれさんの映画レビュー(感想・評価)
政治ゲームはいつもどこでも似た様相を呈す
LGBTQをテーマに含んでいると聞いていたし、フランシスコ前教皇の死去について予言的でもあり、今観るべきかと河原町MOVIXへと足を運びました。
教皇の死により使徒座空位(セーデ・ヴァカンテ)となり、全世界の枢機卿が収集され、教皇選挙(コンクラーベ)が実施される。選挙が終わるまでは枢機卿たちは俗世から隔離される。閉じられた世界で次なる教皇の有力候補たちを中心に、日本の政治家よろしく根回し・買収・スキャンダル暴きを始める…
しかし結局、チェスをやれば8手先を読む前教皇の手のひらの上!だったというわけです。前教皇はジョシュア・アデイエミ枢機卿の過去の女性関係を暴き、明るみになるようシスティーナ礼拝堂に連れてきた。これをまた有力候補であるジョー・トランブレ枢機卿に指示し、無自覚なまま蹴落とし行為に加担させた。秘密裏に任命していたヴィンセント・ベニテス枢機卿の秘密も知っていたに違いない。そしてクソ真面目で忠誠心のあるヴォルデモート枢機卿に、じゃなくてローレンス枢機卿にコンクラーベを執り行わせた。
ベニテス枢機卿の教皇の器に相応しい人格と、インターセックスである体の特徴。彼はいずれ、その特徴を世間に公表するだろう。女性は聖職者にはなれないカトリック教会の教皇たる人物には子宮と卵巣がある。教会は大きく揺れ動き、痛み苦しみ、先へ進んでいくだろう。それこそが改革派だと言われた前教皇の狙いだったのでしょう。目指すのは前進する教会である、とベニテス枢機卿は語った。100人を超える枢機卿も、自ずと誰が教皇に相応しいのかを悟り、選挙は終了、システィーナ礼拝堂の煙突からは白い煙が上がる。
まあ、コメディ映画ですよね。13億人の信徒の最高指導者の決め方が、こんな前教皇の独断と策略で動かされてちゃ話になりません。選挙が長引いて疲れてきて、なんか世間が荒れているらしいし早く自国に帰りたい。そんな時になんかちょっといいこと言ったやつに教皇の立場を押し付けて終了、みたいな。
ん、でもそんなもんなのかなあ。影響力の絶大な組織上層部の人間が、素晴らしい能力と人間性を備えているのだろうか。それは願望に過ぎないのか。アメリカ政府のイエメン空爆情報流出なんか見てると、適当な素人集団が世界を動かしているような気もしてくる。
勢いでこないだ会ったばかりのベニテス枢機卿を教皇に選出し、あと1時間で世界で最も有名な人間になるんだという段階で秘密を明かされるヴォルデモート、じゃなくてローレンス枢機卿。どうすんねん、うーん、あー、お、おう、あー… くらいで映画が終わった。
…カトリック教会に対するネガキャンだったのか?この映画は。
だが現実の枢機卿たちは、先の教皇選挙の予習のために本映画を鑑賞していたそう。日本人枢機卿の前田万葉氏もそうらしい。たとえネガキャンだったとしてもそうじゃなくても、フィクションはフィクション。現実の枢機卿たちは気にも留めてなさそう。一度演説とか説教?とか聞いてみたいものです。
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