「内向きの男性社会」教皇選挙 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
内向きの男性社会
コンクラーベといえば、外界から隔離された中で何日もかけて行われ、煙突から昇る煙の色で結果がわかる、という程度の知識。教皇の死から枢機卿たちによる投票の様子まで、全て再現ではないだろうが、厳に秘密とされているものを覗き見るような趣向がある。
亡き教皇の部屋の封印をはじめ、枢機卿たちの法服や帽子などの臙脂色が印象的。色使いや照明などの画作りが、マイケル・ナイマンを思わせる音楽と併せて、グリーナウェイの室内劇を思い起こさせる。
物語としては、票読み、足の引っ張り合い、さらには買収、スキャンダルと、まさしく選挙ならではの裏模様を描いている。冷静に見るとつくづく奇異に思えるのは、枢機卿たちが全員男性であること。内向きの男性社会の典型としてこの舞台を選んだのだろうか。女性たちは彼らに仕えるのみで、随分封建的に見えるが、その中でイザベラ・ロッセリーニの存在が強い印象を残す。
紆余曲折を経て新しい教皇が選出されるが、最後に彼の秘密も明らかにされて、そこでブツッと映画は終わる。果たしてこの後どうなるか、というのは、観客それぞれの現実世界に置き換えて考えてみて、ということなのだろう。
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