「聖職者も野心と迷いを持つ人間である」教皇選挙 Rosaさんの映画レビュー(感想・評価)
聖職者も野心と迷いを持つ人間である
評判の高い映画なので、期待を持って観に行きました。残念ながら私にはイマイチでした。理由は3つぐらいあって、
その1
教会が舞台のため、出演者のほぼ全員が「欧米系の容貌の中年男性」で服装や髪型が皆同じ、または酷似しているため、登場人物の区別がつきにくい上に、西洋人の名前が覚えづらくて、映画の序盤、人間関係や役割の違いがなかなか頭に入って来づらいこと。
その2
ストーリーが一貫して教会の中での会話劇なので、人の動きや場面転換が少なく、台詞から物事を理解せざるを得ず、観る側が左脳を使い続けなければならなくて、集中力が2時間もたない。
その3
登場人物が「比較的、善良な人」と「何らかの悪事を成した人」に分けられ過ぎていて、人物描写が画一的に感じられること。
神と人の関係、教皇の権威性、聖職者が信仰に対しても確信を持ち過ぎずに自ら迷いながら「罪深き人間」に寄り添う存在であるべき、といったテーマを描くのであれば、一人一人の中に善と悪が共存するような人物描写にした方が、リアリティがあるのじゃないかな、と思いました。
勧善懲悪が過ぎるなと。
普段、韓国映画または邦画ばかり観ていて、久しぶりの欧米映画だったから、余計に上記のように感じたのかも知れません。
ユーモアや気を抜く場面や登場人物が全然なくて、「すごく硬い映画だな」と感じました。この点は「ソウルの春」に似てるなと。
「ソウルの春」も、登場人物が「軍服を着た韓国人の中年男性」ばかりで、会話劇、「善良な人vs悪い人」が割とクッキリ描かれてる、という意味で、上記の3要素はほぼ同じなんだけど、私には「ソウルの春」の方が断然良かったです。
一緒に観に行った友人もほぼ同じ感想でした。友人曰く「もう一回観れば、面白さがわかるのかもね。ストーリーや登場人物の役割をわかった上で観れば」と言ってて、確かにそうかも知れないと思いました。
一般的にはダイバーシティに関して、欧米は日本や韓国より先を行ってると思われてるけど、「キリスト教の総本山であるバチカンにおいて、聖職者は欧米系の男性に限定されている」というのは、「男性天皇しか認め(たく)ない」という日本の保守とそっくりなんだなと感じました。最後のオチの顛末も、いずれ日本の皇室でも同様のことが起きるんだろうな、とも。
選挙で「票をお金で買う」、「過去の悪事が暴かれて有力な候補者が失墜する」などは、日本の選挙と酷似していて、国が変われど、人間がやること、犯す過ちはどこも一緒なんだなと感じました。
前教皇の目論見で新教皇は決まっていたのです。選挙のプロセスはパフォーマンスに過ぎません。
途中、色気を出したローレンスには爆破によって天上からガレキが降り注ぎます。(爆破は誰が?)
ベニテスと亀は前教皇のお気に入りでしたね。
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