「コンクラーベは根競べ(恥ずっ)」教皇選挙 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)
コンクラーベは根競べ(恥ずっ)
第97回アカデミー賞脚色賞受賞作品で評価も高いので遅くなりましたが見てきました。
個人的に宗教に疎くあまり関心もない人間なのですが、これって平均的な日本人だと勝手に思っていて、だからこそこういう作品に日本人は興味があるのかも知れないと思う位、平日にも関わらず観客が多かったです。逆にこの作品ってキリスト教信者の人はどのように見たのでしょうかね?それにもちょっと興味があります。
宗教にあまり興味のない私からすれば「宗教でも選挙(多数決)なのかよ!!」って、まず最初にそもそも論の疑問から入ってしまうので、凄く重々しい本作を裏側からついつい見てしまい、選挙って政治的工作がつきものなので本作の内容を見ていると(各)国家の大統領選挙などと比べると遥かに可愛いもので、これをミステリー仕立てにしても表面上はいくら厳かであっても実質コメディーの様に見えてしまいました。
やっている事は学校の生徒会選挙と大して変わらないし、世界中から来る候補者たちも煙草はポイ捨てだわ横柄だわ修道女はメイド扱いだわといった演出はまるで高校生並みであり、完全に宗教に対する皮肉であるのに対し、映像的には荘厳で格式と権威に満ち満ちた超重厚な演出であり、そのギャップが面白いと言えば面白かったです。その辺りが本作の一般評が高い要因なのかも知れませんね。
個人的には、選挙の取りまとめ役のローレンス枢機卿が選挙開始の冒頭の演説の中で放った“多様性”という言葉が本作のメインテーマになっていた様に感じて、たまたまですが前日に書いた私の日記もその“多様性”の話をしたばかりだったので、その偶然性に驚いてしまいました。
しかし一神教の宗教と多様性って、ある意味相反する言葉なのに、今の時代の宗教ではそんなこと言ってられないという時代になってしまっているという事なのでしょうかね。
元々多神教の日本人にとっては、その辺りは至極当然に納得できるのですが…
私の日記では、人間に“多様性”を認め制御できるほどの能力が無いのが分かったので、もっと基本的な良心や倫理観に根差した教育をした方が良いと思っていると書いたのですが、今のキリスト教(カトリック教徒)ではやっと「“多様性”を認めろ」という段階なのだという事がなんとなく理解出来ました。
ということで、映画内ではラスト近くのベニテス枢機卿のトランプレ枢機卿に対する反論がクライマックスであり、それはシビれる演説で私も(娯楽映画の醍醐味として)シビれましたよ。
ただ、冷静に考えると「宗教組織ってまだその段階なのかよ」という気はしましたし、ラストもあくまでもそうなればそうなるという大団円であって、この作品の裏側には「世界は宗教の存在意義をそろそろ考え直す時期に来ている」という(隠れ)メッーセージを感じてしまいました。
追記.
最近の新作を見ているとカメラ性能の高さ故なのか、自然光だけの撮影が増えている様なシーンが多くて、実際に室内で夜のシーンや夜明けのシーンなど正直言ってリアルではあるが見難いって感じる事が非常に多くなり、これって歳(目の衰え)のせいだけではない様な気がするのですが…、こういう映画の場合テレビモニタで見る方が鮮明なので見易いのですよね。
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