アプレンティス ドナルド・トランプの創り方のレビュー・感想・評価
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意外や意外、おもしろかった。ぜひお勧め
トランプが米国内での公開差し止めを求めたいわくつきの作品。
オリジナル脚本は、ニューヨーク・オブザーバー紙で不動産担当の駆け出し記者だった頃からトランプを取材してきた、脚本家で作家のガブリエル・シャーマン。
監督は、事前に知らなかったがあの怪作『ボーダー 二つの世界』を撮ったイラン出身のアリ・アッバシだった!
こちらは製作の意向だろうか、米国政治とは関係のない人物をと幼少期をイランで過ごしヨーロッパに移住したイラン系デンマーク人のアッバシに白羽の矢が立ったようだ(以上、脚本と監督の項はjiji.comの豊田百合枝氏の記事より構成)。
アプレンティスとは、見習い、実習生のこと。
小生は観たことはないが、トランプが「お前はクビだ!」と叫ぶのが人気を博したリアリティ・ショー番組のタイトルが『アプレンティス』だったらしい。
つまりは、若き日のトランプ"実習生"を「ああいう悪党」に創り上げた先輩悪党との半生、という物語だ。登場人物のほとんどと、公知のエピソードは実在であり事実であります。
先輩悪党とは、悪辣な手口で裁判を闘う弁護士、ロイ・コーン。トランプの後ろ盾、あるいは「教師」として彼をレッスンしていくが、最期は不法行為で弁護士資格を剥奪され、その直後にエイズを原因とした複合疾患で命を落とす。
公式サイトのインタビュー映像でロイ・コーン役のジェレミー・ストロングが語ったことがこの作品の本質を見事に言い当てている。
「モンスター(コーン)が別のモンスター(トランプ)を生み出した、フランケンシュタインの物語なのだ」
そう、フランケンシュタインとは怪物のほうじゃなくて、それを生み出した博士のほうだ。そして自分が生み出したモンスターを制御できなくなって復讐されてしまうんだっけ。
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さて、選挙戦の結果でただでさえ胸糞悪い小生としては、He'll make America stupid again.などと呪詛を吐いているのに、何をわざわざ映画館に足を運んで最悪な気分になろうとするのだ、と思いつつ、なぜかチケットを取ってしまった。
うーむ 意外や意外、かなりおもしろかったw
まずトランプ役のセバスチャン・スタンが見事である。
これは特殊メイクではない。そもそも横顔が似すぎていることもあるけれど、外見だけの話ではなく、あの喋り方や間の取り方まで徹底的に研究して演じている。
後半になって肥満し、顔も丸くなっていくのも、役者として体重を増やしたとのこと。
ただ、このやり方はトム・ハンクスも鈴木亮平もいろいろな役者がやっているけれど、後年に糖尿病発症のリスクが非常に高くなるらしいので、特殊メイクでもいいよ、もう、と言いたくなる。
また、ロイ・コーン役のジェレミー・ストロング。
すでに何年も前に故人となったこのロイ・コーンという人物の振る舞いを映画が公開されたこの2025年時点で実際に見たことのある人はほとんど居ないだろうが、これまたジェレミー・ストロングの鬼気迫るクールな演技には脱帽である。
妻イヴァンカ役のマリア・バカローヴァも併せ、この3人の存在感はこの作品を「政治&セレブ・ゴシップ作品」に堕すことなく、かつ、すでに周知のネタバレエピソードをなぞるだけにもせず、見事なドラマに仕立て上げている。
役者、脚本、監督。三拍子揃えて最高のモノを引き出した製作。
もう一回、観に行こうかな。
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トランプはなぜ公開されたくなかったのか?
そりゃあ彼をのし上がらせた悪徳弁護士ロイ・コーンとの関係や、夫人との不仲説や、父親との確執や、兄を見放した件など、いろいろ白日のもとに曝されたくはないだろう。
よくよく考えてみりゃ、誰だって家族の恥部は曝されたくない。ダーティな野郎だというイメージを拡散されたくない。
でも、小生にとって非常に印象的なシーンはそこではない。
まず、駆け出しヒヨッコのドナルドは、最初は自信なさげで、父フレッド(こちら悪徳不動産業者)の会社で生活困窮者から家賃を取り立てる汚れ仕事に辟易し、法廷闘争で綱渡りになると狼狽しながらコーンの助けを懇願する。それも一度ならず二度三度と。
そして行政であろと司法であろうと相手の弱みを握った脅迫を奥の手として使うコーンに「これは違法だろう。こんなことをしていいのか?」と心配そうに言う。
そう。あいつも良心があったのだ、かつて。
もう一つ。
旅客機パイロットになったことで父とともにトランプが侮蔑し、避けていた兄のフレッド・ジュニアがアルコール依存症の影響で急死したあと、豪華な自宅のベッドで妻イヴァンカと並んでぼんやりとテレビを見ているシーン。
隣で慰めようとするイヴァンカを
「俺を見るな。俺に触るな」
と嗚咽しながら拒否する。
これはどちらも、これまでの人生でずっと「天性の勝負勘がある」「頭が良い」「何事にも動じない最強のマッチョマン」を自認してきたドナルド・トランプにとっては「弱々しいドナルド・J・トランプ」であり、受け容れ難いシーンだろう。
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そして小生がもっとも衝撃を受け、かつ、答が出せないシーンは次の2つだ。
最初は、死期が近づくコーンのために一度は決別したトランプがコーンの誕生会のディナーを催す。トランプからコーンに贈られたダイヤを散りばめたカフスボタン(しかしそこに「Trump」と彫刻が入っているのが笑えた)。
孤独感と死の恐怖で弱っていたコーンが感極まったようにそれを眺めていると、隣席のイヴァンカが周囲に聴かれないように
「偽物よ。ダイヤじゃなくてジルコニア。ドナルドはそういう恥知らずなの」
と残酷にも囁く。ショックを受けるコーン。
まず、それは本当なのか?
小生には、かつてトランプと結婚する直前にエグい「結婚契約書」を持ってトランプとの席に同行してきたコーンに対する意趣返しとして(しかも何十年も前からの執念として。おおこわ)、そして夫を自分と同じモンスターに育て上げたかつてのモンスターである彼を、肉体的な死の淵からさらに精神的な死の淵の絶望に叩き落とすためのウソであって、実は本物のダイヤだったのではないか。
あるいは、全く逆に、つまりまさに偽物である可能性もある。
トランプが自分でそういうプレゼントを手配するわけはなく、恐らくイヴァンカに丸投げしていたと思えるが、イヴァンカが手配するなら、どうせトランプなんかには見抜けまい、と、そういう手の込んだ偽物を発注して、コーンにだけ囁いて辱めることに陶酔したのではないか。
このシーンはトランプ本人ではなく実際のイヴァンカ本人から訴えられそうなくらい問題のシーンだと思う。
そして2つ目のシーンは、そんなショックを受けたあとにコーンのもとに色付きのクリームで星条旗がデザインされたバースデイケーキが運ばれてきて、ケーキを見下ろしながらあの悪党、モンスターが嗚咽する場面だ。
彼はなぜ泣いたのか。
自分が育てたトランプとその妻が、ここまで自分を辱めるのか、という屈辱に泣いたのか。
あるいは、ケーキに描かれた星条旗に「アメリカのため」と言いながら生きてきた自分の半生を重ねて、死を前にした無常観に泣いたのか。
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よく出来た映画というのは、すっきりとしたカタルシスだけでは成り立たない。
こうした「答の出ない問い」、それも本質的な問いが放り込まれていて、観た者に「むぅ」と考えさせるから良い映画なのだ。
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余談だが、トランプ家の長男として期待されながら別の道を選んだため、父フレッド・シニアとドナルドから辱められ続けた末に亡くなったフレッド・ジュニアの娘、メアリーは、長じて臨床心理学者となり『世界で最も危険な男 「トランプ家の暗部」を姪が告発』という暴露本を書いた。2020年に日米で発売され、日本では小学館が刊行した。
内容は面白かったが。
Beginner's luck
演説で過激なスピーチを続けまくっているドナルド・トランプが少し前にアメリカ大統領に就任する前のお話で、今あるトランプ像を作り上げた人物をどう見せるのかなと思っていましたが、その人物すらも喰ってしまっていました。トランプ恐ろしや。
弁護士のロイ・コーンの猪突猛進な感じで自分が正義を貫き通す姿に強く感銘を受けて自分自身も近い感じで立ち振る舞っている姿が現在のトランプの原型だったんだろうなと思いましたし、演説の一つにあった「性別は男と女しかない」発言は若い頃一貫していましたし、コーンがゲイだと発覚してからは煽りまくり罵りまくり騙しまくりと恩人を仇で返しまくってて笑っちゃいけないんですが笑ってしまいました。
自分の欲に素直でやりたいことは全部やってのけるの精神で行動しているので、その直向きさは見習いたいものですが、こうはなりたくないと本能で思わせてもくれるので本当不思議な人物だなと思いましたし、この人に惹かれる人がいるのも分かるなとなりました。
映像が古き良きな感じでタッチとしてはドキュメンタリーに近い形なんですが、当時の様子を違和感なく味わえるという点で長所になっていたなと思いました。
音楽もアッパーチューンなものからしんみりしたものまで幅広く揃えられており、聴きごたえのあるものに仕上がっていました。
ジェレミー・ストロングとセバスチャン・スタンの演技合戦は見応えしかなかったです。
トランプの生き写しでは?と思うぐらいセバスチャン・スタンのトランプ感が凄まじかったです。
そりゃトランプも激おこなわけです。
脂肪をとったり、毛を増やす手術の違和感だったりはありましたが絵面の痛さとそれを臆することなくやるので、実際にやったんだろうな…という気分にさせられるのが不思議でした。
自伝を書いてくれと頼んだ作家に書くことがあんまないと困らせるところは最高に笑いました。
こんだけ波瀾万丈の人生を渡り歩いているのに書くことないんだ…と当人も困惑したはずです。
今後アメリカがどんな国になっていくのか、日本とアメリカの関係性はどうなっていくのか、パナマ運河はどうなるのか、これからもトランプからは目が離せません。
130歳くらいまで元気に生きそうだなこの人。
鑑賞日 1/22
鑑賞時間 16:05〜18:25
座席 Z-1
ただ最後に勝つために
ドナルド・トランプ
第45代・47代アメリカ合衆国大統領
ニューヨーク・クイーンズ生まれの
自らの名を冠した不動産グループの王
お騒がせスキャンダルやテレビ露出を経て
アメリカではどの層も知らない人は
いない程の有名人
共和党も咬ませ犬的に候補選挙に
挙げたら16人の候補を勝ち抜き
あれよあれよと政治家も従軍経験も
ないながら大統領になってしまった
2025年2期目に再就任
トランプアレルギーの日本のマスコミは
絶賛発狂中である
ざまあみろ
そんなトランプの若いころから
5番街に今でもそびえ立つトランプタワー
を構えアメリカを強くする野望を持ち
成りあがるまでの自伝的映画
どうだったか
常にノイズの乗った70~80年代の
ニューヨークの世界観に
セバスチャン・スタンの
仕草まで完璧に再現した演技
まさに赤裸々に
現職大統領の過去としてここまで
やっていいのか!?とつい
引いてしまうほどの遠慮のない描写
最後まで面白かったです
転がってる〇体を跨いで歩くほどの
治安の悪い1970年代半ばの
ニューヨーク
不動産王の父フレディの会社は
そこに建設したアパート群に
黒人の入居を断ったとして
政府から訴えられていた
そんなフレディの四男に生まれ
兄フレディJr.はTWAのパイロット
ドナルドは父の会社でアパート群の
家賃回収をする毎日
ドナルドはその貧困層の
支払いの悪さに
訴訟に負け入居を許したら
会社が破綻するのは目に見えており
有数の財界人がいる高級クラブに
入り込みロイ・コーンに出会います
ロイはウォーターゲート事件で
辞任したニクソン大統領ともパイプが
あるほどの辣腕弁護士
ソ連のスパイ活動を行っていた容疑で
死刑判決が下っていたローゼンバーグ
夫妻をほぼ自白だけの証拠で
死刑に送ったとも豪語する
コテコテの反共保守派の性格はアレ
そんなロイにドナルドは状況を
相談すると政府だろうと人権屋の
ふざけた訴訟など楽勝だと言い放ちます
そんな頃からドナルドは5番街の
「コモドア・ホテル」というボロホテルを
買い取り世界一のホテルを建てる
野望をあたためていきますが
銀行にも父にもこんな貧民街にそんな
ものを建ててどうすると相手にされません
ドナルドはそれでもロイにともかく
訴訟の対応を頼み込むと了承され
100%俺の言うとおりにしろと
言われます
そしてロイは「3つの鉄則」
1.「攻撃 攻撃 攻撃」
2.「非は絶対に認めず否認し続けろ」
3.「最後まで勝つと言い続けろ(最重要)」
をドナルドに教授していきます
1.「攻撃 攻撃 攻撃」
政府側のベテラン判事に電話で
さっさと訴訟を取り下げないと1億ドル規模の
訴訟を起こすぞと怒鳴り込みます
2.「非は絶対に認めず否認し続けろ」
裁判に臨み平然と退廷したロイはドナルドに
「これは勝てない」と言います
入居を断った黒人の名前の頭に
「C(Colored)」と書いてあり
人種で分けた証拠が明白だったからです
じゃあどうするんだとドナルドが聞くと・・
3.「最後まで勝つと言い続けろ(最重要)」
ロイは政府側の高官を呼び出し
愛人(同性)とまぐわっている写真を見せ
訴訟を取り下げないとこれがポスト紙に
出回って嫁が知るぞと要求します
ドナルドはドン引きしつつ
ロイが3度自身が訴訟されても
勝ってきたやり口を理解します
あとひとつロイは
「人と論ならば人の方が重要」
「人を押さえれば理屈などどうでもいい」
という「現実」をドナルドに伝授します
ドナルドはロイと訴訟の依頼を
する際に小切手を渡していましたが
ロイはそれをそっくり返してきて
「報酬には友情で応えてくれ」と
ここからタッグを組むことになります
その後ドナルドはぐんぐん
ニューヨークの街を再開発していき
妻イヴァンとも結ばれ成功者の道を
歩んでいきますが
ロイの秘書ラッセルとのあっ…(察し)
な関係なども知るようになって
いきます
そして5番街のトランプタワーの夢
トランプは市の有力者にプレゼンを
行いますがハイアットの支配人に
5番街の発展のためなら
ハイアットの莫大な納税を
チャラにさせるとつい言ってしまいます
困ったドナルドはロイに頼み込むと
秘密の部屋膨大な盗聴テープを
取り出してきて5番街再開発にあたり
ハイアットの税金をチャラにする
議決を勝ち取ります
…ひょっとしてニクソンに
ウォーターゲート事件とか
盗聴しまくる癖を植え付けたのは
…いやなんでもない
1980年代半ばに入り
アメリカは減税や規制緩和の
レーガノミクス全開
そしてトランプ・タワー完成も
まだ終わらぬうちにドナルドは
ニュージャージーの観光都市
アトランティック・シティの
カジノなど急速な開発は借金を膨らまし
ロイはやめるべきだと忠告しますが
トランプは徐々に聞く耳を持たず
他の弁護士にも頼むからと言います
ロイはついにじゃあ俺も報酬制に
してくれと言い友情は終わりを
迎え始めていきます
しかしとりあえず完成したトランプタワー
落成式に現れたロイ
そして秘書ラッセルが肺炎になったので
ハイアットで療養させるよう頼んできました
ドナルドは一応了承しますが
ロイも体調が悪そう
その後調べさせると
ラッセルはHIVウイルスに感染していた
事が判明しドナルドはラッセルの退去を
こっそり指示するとロイが怒鳴り込んで
きましたがここで決別は決定的と
なってしまいます
実際トランプは何度も負債が膨らんで
資産を売却したりしていますから
ロイの指摘は間違っていませんが
そのたび蘇ってくるのがドナルド
その後トランプも酒におぼれて
死んでしまった兄から酒はやめたが
多忙から服用していた興奮剤
アンフェタミンによる副作用
過食・インポテンツ・脱毛により
身体はボロボロになっていきます
そもそも医学的な知識はデタラメ
(このへんがCOVID-19の際の
対応も遅れてしまった事にも
影響しているかもしれない)
夫婦仲も最悪になっていき
結局ドナルドは自分の理解者は
ロイしかいなかったことを痛感し
フロリダでロイの誕生日祝いを
しようと連絡しますが
ロイは案の定HIVに感染しており
立てもしない状態でした
ドナルドは接触感染は
ないことを確認しつつ
それでもロイを呼び誕生日を
祝います
その後ロイは程なく亡くなり
ロイが余生を過ごしたフロリダの
大邸宅は徹底して「消毒」されます
その後ドナルドは自身の取材に対し
過去は語る気はないと言いつつ
生きていくのに必要なのは・・
1.「攻撃 攻撃 攻撃」
2.「非は絶対に認めず否認し続けろ」
3.「最後まで勝つと言い続けろ(最重要)」
だと語り話は終わっていきます
最後までドナルド・トランプという人物を
どこか感情移入させるようでさせない
不穏さが逆に画面から目を離させない感じ
批判でも肯定でもないライン
アリ・アッバシ監督の手腕が光っていると
思いました
怪物の誕生?
日本でも何かと話題のトランプ大統領。日本の報道をみているとトランプは悪!!というイメージがつきかねないネガティブな内容ばかりやけど、アメリカではどうなのか実際のところを知りたい。
今月大統領就任し、早速トランプ節炸裂というところで日本での公開タイミングもこれ以上ないくらい完璧👌
なりたい人に近づくためにはその人になりきってみるのがよいとよく聞くけれど、まさにそれを実践してみたという話。師弟関係がいつのまにやら弟子が師匠を追い越してしまった。この世で勝ち上がっていくためには、絶対に負けてはならず常に勝者でなくてはならない。そして自分の過ちを認めることはトランプにとっては死そのものなのだろう。
日本人は「空気を読む」「謙虚である」ことによって周りとの調和をはかりひたすら自分が世間から浮いた存在にならないように生活をしている人も多いと思う。やから、トランプのような常に自信満々で感情面の配慮をせずに発言をする部分に恐怖を感じるのだろう。相手に恐怖を与えるくらいがいいというセリフもあったが、まさに外交面でもこのやりかたはうまくいっているのかもしれない(これからどうなるかは誰にも分からんが)
この映画がどこまで事実に近いかは不明やけど、トランプにとっては周りの人間は駒以外の何者でもないのかな。使える人間か使えない人間か。大統領としてはアメリカファーストを体現してくれると期待するのはわかる。が、しかし人間としては大切なものが欠けていると思う。妻もロイも近くで支えてくれていた存在なのにね。
ネタバレになるので詳細は書かないが、トランプのメンター的存在であるロイの後半を観ているとトランプの今後は果たして…
いや、しかし現役大統領の映画を作るなんてアメリカさすが自由の国や…日本でよし!岸田さんや石破さんの映画作ろう!!なんて絶対ならない😅主演のセバスチャンスタンの役作りに感動した。動きまでそっくりや!
動かない善人より、動く悪人
【米国民は、動かない善人よりも、動く悪人を選んだ】
そんな事を展開するでもなく、
最後まで製作意図は分からなかった。
「聖地には蜘蛛が巣を張る」と似ていて、
熱量を感じない、
等速直線運動の映画。
等速直線、どういう事か。
登場人物をとりわけトランプを単純に善悪や黒白で捉えようとせず、
人物の多面性、複雑な側面を描こうと試みている点は、
前作同様に理解はできる。
しかし、簡単に言ってしまえば、
その試みは十分に果たされていないように思える。
特に、主人公の葛藤を描ききれていないことが、
この作品を薄く感じさせる原因だ。
確かに、
題材によってはそのような演出や編集がうまくハマることもある、
例えば、登場人物が一つの視点から描かれ、
観客がその視点を深く掘り下げていくような作品であれば、
このアプローチは功を奏するだろう。
しかし、
本作の題材はドナルド・トランプという、
現代の政治的(悪の)象徴であり、
その人物像については、
ネットやニュース番組、
または他のメディアがすでに膨大な情報を提供している、
なおかつリアリティ番組「アプレンティス」の映画版だ。
トランプの関係者、特にロイ・コーンとのエピソードや彼の整形手術など、誰もが知っている事実がすでに盛り込まれているため、
作品内でさらに掘り下げるのか、やらないのか、
そこが中途半端だ。
芝居自体は魅力的で、
特にトランプの家族とのシークエンスには感情的な深みが見られる。
母親から罵倒されたり、
兄への労り、
父親からの影響を受けながらも自立していく姿など、
彼の人物像を描く上で重要な要素がきちんと描かれている。
しかし、そこに「アイアンクロー」的な展開を、
プロットを建ててやるかどうかの決断を避けた結果、
どこか中途半端な印象が残る。
さらに、
劇中で触れられたトランプタワーに関する税の優遇措置も、
後に市民運動により撤回されて、
莫大な金額が請求されるという事実については触れられていない、
ダークトランプ誕生のプロセスの重要なひとつのエピソードだ。
以上の点が、
作品全体の熱量を抑え込んでいる、
等速直線的な展開のように感じられる理由だ。
もしこの事実をもっと掘り下げて描いていたならば、
トランプという人物の多面性を、
より鮮明に浮かび上がらせることができたのではないだろうか。
歴史的に見てもダークな側面を持つ大統領であるトランプをどう料理するかというのは、非常に難しい問題であっただろう。
再びアメリカを偉大なる国に!!
面白いです
ヤなやつ
さすがにロッキーとミッキー、ダニエルさんとミスターミヤギ、酔拳のジャッキーと赤鼻の蘇みたいな関係にはいかないよな。
お互いの私欲で出来上がってしまった師弟関係?が大変面白かったです。
ロイが弁護料を受け取らず人間関係の構築に比重を置く所など、マフィアみたいで思わずうなってしまう白眉な場面でした。
詳しくはないまでも、報道で大よそ主人公の完成形がどんなか分かってるだけに、
最後は期待通りしっかりやーな奴になってて、つくりものとして興味ぶかい作品でした。
トランプが成り上がってからの、諸々の裏切りなんか ・・でしょうねと、いちいち納得して見てました。
オーラスの頭皮移植と脂肪吸引オペは醜悪でありながらも、まるでアナキンがベイダー卿なっていくような変な清々しさを感じました。
本当の意図は分かりませんが、アナログTV画像風な画面演出も当時の80年代の雰囲気を醸し出してて興味深いところでした。
コレを制作できるアメリカの土壌って改めて凄い。
楽しめたので及第点。
トランプの人柄を再確認。
上昇志向の強い若者が悪徳弁護士と出会って変化していく話。
会社の副社長として雑用までこなしていたトランプが、弁護士のロイと出会い①攻撃しろ②全て否定しろ③勝利を主張し続けろという3つのルールを学び成り上がっていく。
当初は気弱なところもあったトランプが、成功し自信をつけ、そして周りを見下していく様子はしっかり描かれていた。
そして一目惚れした相手に熱烈にプロポーズしながら飽きればゴミ扱いしたり、恩人であるロイを一度は遠ざけておきながら誕生日パーティーをするなど、トランプの感情的で気まぐれな一面も興味深く描かれていた。
そして今一度この男が米国大統領にふさわしいか考えると、敵を作り攻撃し欲しいものをぶんどったり、ギャンブル的な投資で会社を潰しかけるビジネススタイルは世界帝国のふさわしくないと改めて思った。
これから4年はしんどい時代になるんじゃないかなと思った。
Worst Lieutenant
これらのエピソードのどこまでが事実に基づくか疑心あれど、これをトランプ2.0前に公開できる辺りはアメリカならでは 訴訟沙汰になるだろうか?
ゲスの極みトランプがいかにしてモンスターに変身し得たのかを25%くらい推測できただろうか
AIDS罹患した恩人ロイの最後の誕生祝いにネーム入りのインチキプレゼントを施し+宴席の消毒にも余念がない
この時点までにはモンスターに入れ替わっていたようだ
道徳とか矜持とか真心とか憐憫の情も霧散し、レーガンやニクソンをなぞった愛国を特殊に昇華?させ、これだけは自信がある駆け引きを駆使してその実現に邁進するらしい
溜め息混じりに映画を観終わって帰宅、ニュースでは実トランプが就任礼拝時にマイノリティや移民への哀れみを諭す主教への反発をあからさまにしていたり、
ロイの教え通り“負けを認めず”自ら煽った連邦議会襲撃(死者も出した)暴徒に恩赦を与えていたり
支持者•同調者を露骨に優遇するBad Lieutenantに対し
本意を隠し左手で鼻をつまみながら右手で握手を求めざるを得ないザッカーバーグやTクックたちも哀れ
間違ってもノーベル平和賞など授与されませんように🙏
資本主義の最高段階におけるトランプイズム
正義の味方に憧れていた、幼い私がいます。
・正義のために攻撃を続ける
・正義の味方に非はない
・負けを認めない、屈服を受入れない
この3つのルールさえあれば、私も今頃、大統領に…
最大多数の最大幸福と云う言葉があります。みんなが少し我慢すると、みんながもっと幸福になれるという考え方です。
利潤の極大化を至上命題とする資本主義とは、相容れないのかも知れませんが、損得勘定だけが、行動原理の世界を生き抜いた結果が、あの生き様だとしたら…。
ここまで御見物を、楽しませようとしない、共感させようとしないストロングスタイルに、逆に感動しそうです。関係者が公開阻止しようとしたらしいのも、道理ですね。
そもそも私はこの映画に、どんな期待をしていたのだろう。この映画観たら、ポピュリズムの巨魁に近付けるとでも思ったのかしら。
SF好きの私がいます。
・ターミネーターを開発する。
・ドナルド青年に出会う前の、ロイ・コーンを捜す
・T-800を、送り着け……
人として、それはダメ?。
このような趣旨の映画をこの時期に見られること自体に意義があるところ
今年24本目(合計1,566本目/今月(2025年1月度)24本目)。
内容が特殊な映画で、まさに実際の(2度目の)就任式と重複していたところではありますが、それでも(どのような事情があろうとも)このような趣旨の映画が「大人の事情で」回避されることなく観ることができること、それ自体に思想良心の自由や表現の自由ほかがあらわれているのかな…といったところです。
やや人権から見て欠く配慮があったのがどうかな…といったところです。ただ、実質的にはある程度フィクションにしていても実史に基づくものであるはずだし、時代背景から見て無理に現在の人権感覚に合わせようとすると逆にヘンテコな状況になるので、そこはもう仕方がないのでは…と思います。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/反訴の持つ意味を理解するのが難しい)
一つの民事裁判の進行中に相手を訴え返すことをいいますが(民訴法146条以下)、日本では「著しく裁判を遅延させることがないこと」という要件があるほか、二重起訴の禁止の趣旨ほかから抑制されているので、実際に見聞きすることは多いですが、それほど登場する語ではありません(かつ、人事訴訟や手形訴訟のように明確に反訴を禁止するものもあるので、日本ではそれほど見ない)。
ただ、アメリカのように別訴で訴えることを禁止し、反訴できる場合は反訴を強制する法体系もあり(反訴強制主義)、ここは日本とアメリカとでは微妙に解釈が違います。このあたりを理解していないと一部のシーンは詰むのかな、といったところです。
(減点0.2/現在の人権感覚に対し配慮がやや足りない)
特に免疫障害やミゼットプロレスに関するところで、その当時はそれでよかったのでしょうが(実際に免疫障害については日本でも解明されるのが遅れ、当事者が名乗り出て、また実際に国会議員になってそうした福祉面の法律が整備されるなどしたのは周知の事実。最近だといわゆる強制不妊手術の最高裁判例等、現在の人権感覚に追いつこうというのは日本ではまだまだ現在進行形)、ちょっとこのあたり、もう少し配慮が欲しかったところです(免疫障害についてあらぬ誤解を生むことになる。映画内で登場するビル建設工事のデモのシーンにも登場するが、ビル建設(換言すれば、体力仕事等)等で感染するものではない)。
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マスターは誰なのか
すごく気になって観てました〜、ロイコーンの。
以前TVでドキュメンタリーを観たの思い出しても、
その辺の記憶が曖昧で。
ロイの映画もあったら鑑賞したくなる映画でした♪
スターウォーズ風に云うとドナルドさんはパダワンですよね。
思いっきりマスター=師匠をコケにして、闇落ちしてました。
ビデオっぽかったり、フィルムぽかったり、映像効果の色褪せやノイズ、
昔むかしのポップの楽曲も相俟って、ドキュメンタリーに寄せてますが
だまされそうなくらいです。
セバスチャン・スタンさんは名演技です!
2月、5月までバッキーが待てなくて、ノーマークだった本作みちゃいましたが
逆に見逃さなくてよかった、よかった
現在のドナルド・トランプの政策や考え方、取引好きが若き日のロイとの出会いから始まったって信じちゃう作品
アプレンティス ドナルド・トランプの創り方(映画の記憶2025/1/21)
とうとう就任されたので、取り上げられた本人がゴミと言った問題作品観てきました。
もともと長年取材してた方の脚本で作ったそうなので、内容的には仕上がってます。当然、映画なんで多少誇張して事実と異なる部分もあるでしょうが、違和感ないと自分は思いましたよ。
自分が思い描くトランプ像となんら遜色ない。たぶん、世界中の人も同じように思ってる。
トランプ相場で儲けようとしてる投資家くらいしかウェルカム要素ないと思うし。
ちなみにスカッとする映画ではなく、内容的には胸糞は悪くなる映画です。ただ、アメリカの方でもトランプ像はこうだよと思ってることを知れるという点で観れる方は観た方が良い。
役者さんも本人に似せるように演技頑張ってる感あったんで演技に違和感無し。ロイ・コーン役の人は色んな点でキレッキレだったな。
現在アメリカでは過半数の方がトランプを支持されてるらしいので、本当にこの人物にアメリカを任せて良いのか?我々全員、歴史の立会人として、今後の政策などで見ていきましょう。2回目だからヘマしないように色々画策するとは思いますが、映画通りなら数年後、支持者は過半数割れになってると思いますよw
(個人的評価7点/10点中)
これが公開できるってトランプさんは懐ろが深いな。
ドキュメンタリーかなんかかと思っていた。
実際に大統領だった人、そして再び大統領になろうとしている人(なりました)のこんな映画を作って公開できるってアメリカという国、そしてこれを公開させているトランプさんはなんて懐ろが深いんだろう。
ほかの国では考えられないな、、、。怖。
バブルの頃、訪れたNY五番街。トランプタワーは一際美しく輝き聳え立っていた。トランプさんはまさに時代の寵児だった。
バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいにあの頃に戻って、未来ではドナルド・トランプがアメリカの大統領だと言っても誰も信じないだろうな。
(レーガン大統領誰も信じてくれなかったもんね)
今から30年後にはテイラー・スイフトや大谷翔平が大統領になってるかも。
今観ておくべき俳優
昨年の5月にカンヌ国際映画祭でプレミア上映され、また大統領選挙前にはトランプ氏が米国での上映阻止に動くなど、話題に事欠かなかった本作品。先日20日の第47代アメリカ大統領就任を機に、日本でも彼の言動が連日トップニュースとして報じられていて正にタイムリーな上映タイミングです。
と言うこで、サービスデイのTOHOシネマズ日比谷は平日11時からの回にしてはかなりの客入り。実際、上映が始まってからも入場者が数名いたり、本編が終りエンドクレジットが始まって早々に退場される方もかなりいましたが、おそらくは「普段から映画を観ている」と言うより「トランプの映画がどんなものか」という興味で観に来た方が多かったのではないかと推測します。ですが私としては、主演のセバスチャン・スタンが本作で第97回アカデミー賞主演男優賞候補にノミネートされる可能性があるため、「外せない一本」として期待の鑑賞です。
で観終わっての感想は、映画として十分に楽しめる仕上がりになっていると思います。勿論、暴露映画というわけでなくあくまで「彼が怪物になっていく過程」にのみフォーカスされた内容のため、正直なところ若干の物足りなさは否めません。とは言うものの、やはりトランプは映画の主役として折り紙付きのキャラクター性。そのため、なんだかんだと夢中になれて123分はあっという間に感じました。
それというのも、本作一番の見所といって過言ではない「セバスチャン・スタンの演技力」。彼のアプローチは有りがちな形態模写とは違い、もっと微細でごくごく自然な目つきや口元などの「表情の作り方」が似て見えて、観続けるうちにどんどんとトランプとして違和感がなくなっていきます。スタンは別の映画(『A Different Man(原題)』)でも主演男優賞ノミネートが予想されており「今観ておくべき俳優」の一人。是非、3月の受賞式で彼を見られることを楽しみにしています。
そして本作の監督を務め、また製作にも名を連ねるアリ・アッバシ。こういう映画も撮るのかと意外な気もしましたが、彼自身の出自や過去作を思い起こせば、トランプの移民政策やレイシズムに対し当然一家言お持ちかと思います。或いは、もっと言いたいこともあったかもしれませんが、充分に伝わってきました。次回作も期待しております。
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