アプレンティス ドナルド・トランプの創り方のレビュー・感想・評価
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トランプ大統領の就任式にこの映画を見るって、なかなかオツだね。
これがけっこう尖った映画で、面白い。
どこまで本当かはわからないが、出来事は、ほぼ本当なのでは?と思う。
ただ、描き方は、創作だろうけど。
彼を育てる弁護士ロイ・コーンとの出会いから、彼の指導により今のトランプが出来るまでをテンポよく、当時の音楽に乗せポップに描く。途中アンディ・ウィホールも出てくる。
彼との関係は、ちょっとBL的な匂いも。この二人が魅力的に描かれていて面白い(好き嫌いはあるけど)。
弁護士ロイの死で映画は終わる。(1986年)それ以降のトランプがどうなっていったかも知りたいところ。
その意味では中途半端。だけど、彼がどのように作られたかの片鱗は味わえる。
映画的に面白く、現在の大統領の裏事情をこんなに明るく描く米国って国は素敵だと思う。
ただ映画としてはチェイニーを描いた「バイス」の方が面白かったし、深かった。
こちらは描き方がとても映画的で面白いけど、表層的。
めちゃくちゃ似てた!
人間臭くて憎めない
個人的にはトランプ大統領を支持してますので、雑で乱暴でケチだとしても、あの位でないと国は動かないから「頑張れトランプ!」。しかし、キッタナイ方法で成り上がれるアメリカは嫌い、けどこんな映画を放映できる自由度はアメリカの好きな部分でもある。負けを認めない、勝ち続けろ、ルール的なもの…自分に響いてしまった…「絶対に否を認めない」ビジネスには少なくとも必要かもと思った。もっとトランプさんを調べてみたくなった。
これはロイ・コーンの没落譚
映画としての魅力はあった
人の魅力って何で構成されるのだろう。何でその人の周りに人が集まるのか。コミュニケーション能力、未来へのビジョン、プレゼン能力、思いやり、そして金と権力…。人に聞けばその人ごとに違った答えが返ってくるはずだ。ドナルド・トランプという人間にどんな魅力があるのか。直接話したことはないし、彼のことを大して知らないのにこんなことを言う資格はないと思うが、金と権力以外に思いつかない。なのにまたもやアメリカ大統領になってしまった。多くのアメリカ人には魅力的な人物に見えるのかもしれない。信じられない。
そんな中、この映画だ。どんな立場でトランプという人物を描くのだろうと興味が湧いて劇場に足を運んだ。でも本編が始まってすぐに監督の立場が明らかにされる。なるほど、そういう立場ねと。あまりにもあからさまだったけど。
1970年代から始まる本作。ロイ・コーンという弁護士と出会い、勝つためには手段を選ばない処世術を学んでいくという話。普通にトランプがトランプ・タワーを建てて成功していく話なんだけど、いわゆるサクセスストーリーにはとどまらない魅力があった。なんだこれ。孫正義のように一から築き上げたものではなく、ある程度父親の基盤があっての話だけど、そこはあまり気にならない。若き日のトランプと同じようにアメリカの金持ちの奔放な暮らしぶりにただ圧倒されてしまった。
父親との関係性や、周りの妨害といったあたりで、ほんの少しだけドナルドに感情移入したり魅力を感じさせる流れに思えたが、結局そうはならない。いろんなことがあってつらかったかもしれないけど、つまるところドナルドが嫌なやつなんだもの。あんなやつに人はついてこないだろと思う作りだった(そう感じたのも元々トランプを好きになれないからかもしれないけど)。
大統領になってからの彼のことを示唆するようなシーンもあって笑える。そして何よりの驚きが、ドナルド・トランプを演じたのが、アベンジャーズでバッキーを演じたセバスチャン・スタンだったってこと(終わった後に気づいた)。バッキーと同一人物とは思えなかったよ。すげー演じ分けだな。
アメリカ大統領としてのトランプを批判することが目的なのかもしれないが、そんなことを抜きにしても映画として面白かった。でも、ドナルド・トランプが嫌なやつだということは再確認できた。それでいい。自分の考えとそんなにズレていなくてちょっと安心する。
The Apprentice...
ロイ・コーンの演技がすごい!
周りで観た人は口を揃えて『まぁ、1回観てみるといいよ』と。
観る前から『たぶん観ても観る前と大して感想は変わらないんだろうなー』と。
実際そうだった。でも観てよかった。
かな〜り歪な帝王学ではあるものの、ロイ・コーンは友達として自分の全てを注ぎ込みドナルド・トランプをapprenticeとして育てたけど、皮肉にもその後継者育成の精神は引き継がれず、トランプ自身はかの有名なTV Showアプレンティスでも自分の凄さのShow offに終始してたと記憶してる。(ま、それでも“You're fired.”が面白くて一時期ハマって観てはいたけど😅)
それにしても誰かを演じる人がだんだんとその人にしか見えなくなってくのって本当に不思議。
(余談)
頭のハゲを切って縫い合わせるってホント!?
栄枯盛衰物語
ドナルド・トランプの上昇、ロイ・コーンの下降する人生を描いた映画だと感じました。
まさにトランプとロイの栄枯盛衰物語だと。
トランプを演じたセバスチャン・スタンは、ウィンター・ソルジャーの演技とは大違い。
髪型をめっちゃ気にする仕草や顔など、寄せ方がすごい。すごすぎる。
すごく下品で小者感が出ていて素晴らしい演技だと思いました。
ロイ・コーンを演じたジェレミー・ストロングはもっとすごい。
最初のキレッキレの演技から、病気になってからの弱々しい演技まで
その振り幅は見事でしたね。
これがトランプだ!との刷り込みは観客へ入りそうです。
人間的にはどうなんでしょうね?
この映画だけでは判断できないですが、イメージはついちゃいますよね〜。
攻撃攻撃攻撃
自分が正義
否定する
これは今でもトランプの信条あるいはハッタリの元なんでしょうね。
この作品を観て、アメリカ大統領のトランプに注目するのも面白そうです。
映画としては実に面白く仕上がっていました。
上述したふたりの俳優の演技を観るだけでも価値がある作品です。
アリ・アッバシ監督、すごいです。今後も追いかけたい監督です。
ロイ・コーンからトランプへ 悪魔の遺伝子を受け継いだ男
ロイ・コーンをよく知る人物は言う、彼のような人間はいつの時代にも存在すると。
赤狩りの嵐が吹き荒れた50年代のアメリカ。マッカーシズムの下、実質そこで主導的役割を果たし、多くの人間の人生を狂わせたのが当時若き日のロイ・コーンだった。
彼は劇中でも語られたローゼンバーグ事件で注目されたことからFBIのフーバーの推薦によりマッカーシー上院議員の主任顧問となる。
マッカーシズムとはその名の通り国務省に共産主義者のスパイが大勢潜んでいるというまさにマッカーシーのデマ発言から巻き起こった反共ヒステリーである。
当時の朝鮮戦争勃発、ソ連による原爆開発で共産主義に対する脅威が大きくなり始めたころに国民の不安の炎に見事に油を注いだのだ。
このマッカーシー発言の元となった情報自体、今では当時フーバーが彼を反共活動に利用しようとしたがためにリークしたフェイク情報であったともいわれている。実際その情報には何の根拠もなかった。しかしそれでも当時の反共活動を煽り立てるには十分すぎるほど大きく役立った。多くの人間が不当な疑いを根拠に公職から追放され、また特にハリウッドが標的にもされ、チャップリンもアメリカから追放された。
ロイ・コーンが頭角を現すきっかけとなったのが当時原爆開発に携わった義弟からユダヤ人電気技術者ジュリアス・ローゼンバーグが原爆の機密情報をソ連側に売り渡したとして妻のエセルと共にその容疑をかけられ処刑された事件である。当時は冤罪だとして世論を二分したがのちに公開されたヴェノナ文書で彼らがソ連のスパイだったことが明らかになる。しかしジュリアスが渡していたのは原爆開発に関する重要な情報ではなく、また妻のエセルの関与があったことも疑わしいものだった。
当時の裁判においてはエセルの弟の証言だけで有罪判決が下り、二人は処刑されてしまう。のちにこの証言はロイ・コーンにより仕組まれた偽証であったことが明らかになっている。
少なくとも当時ロイ・コーンがいなければ幼い子供たちが両親と永遠の別れを告げられることはなかったのである。
当時二十代の駆け出しの検事であったロイ・コーンがなぜそうまでして夫妻に罪を擦り付け糾弾したのか。彼の野心に加えて一説には同じユダヤ人である彼が夫妻を糾弾することでユダヤ人への偏見を払拭したかったのではないかとも言われている。だとすればのちにゲイである彼が同じくゲイたちを糾弾したことともつじつまが合う。
どちらにせよ合法違法を厭わない手段を選ばぬ彼の法廷戦術はこの時から培われたものであり、その様はまさに悪魔に魂を売った人間という称号にふさわしいものだった。
マッカーシズムはロイ・コーンが恋人の徴兵逃れのために行った工作やマッカーシーが赤狩り追及を陸軍にまで及ぼそうとしたためにアイゼンハワーの怒りを買い、彼らへの非難が噴出し彼らが失脚したことから沈静化していった。
扇動政治家マッカーシーは酒におぼれ49歳の若さで亡くなるが、検事をやめたコーンは元判事の父のつてを頼りにニューヨークでやりての弁護士としてリベンジを果たす。ここでも手段を選ばぬ方法で依頼人である実業家やマフィアに貢献し彼はフィクサーとしてのしあがっていく。そして彼の依頼人の中に若き日のトランプがいた。
劇中でトランプが組織的に行っていたトランプビレッジへの入居差別の裁判で判事の弱みを握り訴訟を和解に持ち込むシーンが描かれている。私は法には興味がない、興味があるのは裁判の判事が誰かということだけだというコーンの言葉が残されている。法の遵守などお構いなし、相手の弱みを手に入れそれを自分が有利になるよう利用する。ローゼンバーグ事件で彼が取った手法だ。
さすがにあまりに手段を選ばないコーンのそのやり方に若き日のトランプも嫌悪感を抱かずにはおれずその戦い方を見習いながらもコーンとは一定の距離を保ち続けた。だがコーンはトランプの才能をいち早く見抜き彼に自身の教えを伝授する。
彼らはお互いに利用し合う関係だったと言える。しかしさすがのロイ・コーンもエイズに感染して年貢の納め時となる。悪名をはせてきた彼の晩年はみじめなものだった。それでもトランプだけが無一文になった彼を最後まで面倒を見た。しかし最後の最後にはトランプに失望してロイ・コーンは息を引き取る。
悪魔に魂を売り渡したロイ・コーンはこの世を去るがその後継者であるトランプはついにアメリカ大統領にまで上り詰める。世界一の軍事大国であり、経済大国のトップに悪魔の遺伝子を受け継いだ男がその座に就いたのだ。
今のトランプを作り上げたのは間違いなく父のフレッド、そしてロイ・コーンであった。トランプの考えは父の教えに基づき人生には勝者か敗者しかいない。二つに一つであり自分は常に勝者であるということ。そしてロイ・コーンのたとえ敗北してもそれを認めず、勝者であると言い続けろという教えが加わり今のトランプが完成する。
トランプはコーンから伝授された教えを今も忠実に実践する。けして負けを認めず勝利を主張し続けろ。彼が再選を阻まれた選挙は不正であり盗まれたと言い続け、それを信じた支持者たちを扇動し議会襲撃事件を引き起こした。
ひたすら攻撃。就任後の飽和攻撃ともいえる史上類を見ない大統領令の連発でマスコミや議会は対応できないほどであり、そのまま既成事実化を狙おうとする。選挙戦の対抗馬には容赦ない攻撃を繰り返した。政敵であるバイデンのウクライナでの不正の捜査を支援と引き換えにゼレンスキーに依頼。
けして非を認めるな。そのウクライナ支援を餌にした捜査依頼や、選挙中の不倫口止め料支払いなどの不正に対する疑惑をでたらめだと言い続けた。
これら三つの教えが彼を億万長者の地位に押し上げそして今の大統領の地位にまで押し上げた。今の現時点で彼は勝者なのかもしれない。だがロイ・コーンのようにいつか負けを認める日が来るかもしれない。その時彼は潔くそれを認めるのだろうか。
彼がただの実業家であったならば今のままでもいいのかもしれないが、いまや世界に影響を及ぼしうる強大な権力を握る米大統領である。彼の采配一つで人々の人生を大きく狂わす。マッカーシズム下のロイ・コーンが行った比ではない。
けして自分の非を認めず、むしろ自分を批判する人間たちを罵倒し続けるその姿は果たして民主大国の大統領にふさわしいと言えるだろうか。これではロシア、中国、北朝鮮の指導者となんら変わらないのではないだろうか。
ロイ・コーンの親族が言った、彼のような人間はいつの時代にも存在すると。1930年代のドイツ、50年代のアメリカ、そして現在のアメリカだ。
ヒトラーはヴェルサイユ体制の下で不満を募らせた民衆の心をつかみユダヤ人を仮想的とすることで独裁政権を築き上げた。マッカーシズムは国民の共産主義への不安を煽り思想信条の自由を蹂躙し多くの人の人生を奪った。トランプはエリート層から追いやられた周縁の人々の不満を掬い取り移民や有色人種、性的マイノリティの排斥を訴えて支持を得た。
人々の抱える不安や不満に目ざとく目をつけてそれを自身の支持につなげて権威主義に走るポピュリズムは民主主義の宿命ともいえる。彼らポピュリストは虎視眈々と人々の中に蠢く不満のエネルギーが噴出する機会を伺っているのだ。
トランプのような人間はこれからも出てくるだろう。民主主義社会において既成政治が多くの人々の受け皿となれないのなら、それは民主主義を駆逐するポピュリズムの台頭を許すことになる。
悪魔は常に人の心の弱みに付け込みその心を乗っ取ろうと機会を伺っているのだ。民主政が機能不全を起こして民衆の期待に応えられなくなり、人々が独裁でもいいと望むようになればそれこそ悪魔の思う壺となる。
映画はロイ・コーンのドキュメンタリーで見た映像がそのまま再現されたようなシーンなどが多くあり、ほぼ事実に則って描かれていると思う。例えば自宅兼事務所ビル内の自室で裸での腹筋運動、会議での様子。乱交パーティーシーンなどは実際彼はゲイたちのたまり場の店などに入り浸っていたことからも察しが付く。
この作品を2015年のトランプの大統領選初出馬を表明する以前に鑑賞したなら興味深い有名実業家の物語として楽しく見れただろうが、いまや大統領再選を果たした人物が本作の主役である。あの悪夢がまさか再来すると誰が予想しただろうか。劇場を出る私の足取りは重かった。
是非とも本作にはアカデミー賞作品賞、主演男優賞を取って貰いたい。スタローンが悪魔に魂を売り渡した今、かつて赤狩りにさらされたハリウッドにはぜひともトランプと闘ってもらいたい。
痛快という人もいるかもしれませんが
この作品は、現アメリカ大統領のドナルドトランプ氏が、ロイコーンという(悪辣な)弁護士と出会い、彼を師と仰ぐことで、ついには彼をも凌ぐモンスターになってゆく過程を描いています。
他の方も言っているように、この作品で描かれたロイコーン、ドナルドトランプが、実際の人物にどれだけ忠実かはあまり考えずに観た方が良いと思います(もし80%忠実だとしたら、、それはなかなか空恐ろしい気も、、、)
文春オンラインが役作り等について、ロイコーン役を演じたジェレミー・ストロングさんへのインタビュー記事を載せていて興味深く感じたので、観に行ってきました(ちなみに、ストロングさんの役作りの仕方は、何か建物を建てるかのような面白い捉え方でした)。
小さい映画館がほぼ満席でしたが、テーマがテーマなので、観客は年配の男性が多かったです。
作品中のロイコーン弁護士も、トランプ氏も、自分が勝利するためには汚い違法行為をも辞さずに勝ちにいく人物として描かれています。
ストーリーの序盤は、トランプ一家が、経営する不動産へ黒人の入居を拒んだという理由で政府から不当?に訴えられたところを、ロイコーン弁護士が、政治家のセックススキャンダルを使ってゆさぶりを掛け、封じ込める話が描かれます。不当な裁判をひっくり返し、それをきっかけに不動産王への道を爆進する、ということで、ある種の痛快さを感じる人もいるかな、とは思いましたが、、、やはり汚い手を使ってでも勝ちに行くという、後ろ暗い生き方のグロテスクさは、作品全体を通して表現されていたように思いました。
う〜ん、こういう生き方は自分はしたくないなあ、、の一言につきます笑
自分が置かれた環境によって、そういう生き方をしないで済むのならば、それに感謝しないとね、、。
今の時代、人は何歳まで生きるのか分かりませんが、仮に自分が人生の前半、ロイコーンのような激しい人から足を払われたり、利用されたり、理不尽な目に会ってばかりいたとしても、人生の後半、そういうことと無縁で(やられず、やらず)生きられるなら、人生万々歳かな、と思いました(ああいう世界に一生生きるとか、ムリ!笑)
この世で大事を成す人は、本当に全てこのように清濁併せ呑む人ばかりなのでしょうか。
役作りのインタビューに興味を持って観に行きましたが、自分には毒気が強すぎた感じです(身体にこたえたのか、今日になって熱が38.5℃でて、未だ下がらず、、、シンドイ、、)
俳優さん達は名演技だと思いましたが、
作品が描いているものがしんどかったので(どこかに救いがあったら良かったけど、無かった) 評価は3点にさせて頂きました。
ただ、救いといえば、、、作中でトランプがAIDSを患うロイコーンを別荘に招いてもてなすシーンがありましたが、そこが唯一救いといえば救いだったかな、、(ただし作中では、トランプがロイコーンにカフリンクをプレゼントし、ロイはそれをとても喜ぶのですが、トランプの妻がロイに向かって、それは金メッキにジルコンの安物だと言って彼の気持ちを奈落の底に突き落としますが、、)
追記: レビューを書いていた時、高熱が出ていたもので、平熱に戻ってから「何か変なこと書いてなかったよね、、、」とつらつら考えていましたら。
この映画では、トランプとロイコーンのみっともないところ、なりふり構わず、いかなる手を使ってものし上がろうとするところなど、人間の持つ悪の面だけに90%以上フォーカスしていることに今更ながら気づきました(気づくの遅っ! 笑)。 人間は100%の天使でもなければ100%の悪魔でも無い訳で、人物像を立体的に描こうとするなら、善の部分も描いてよいはずなのかなと思いますが、そこの描写が極端に薄い作品だと思いました。他のレビュアーさん方も本作品は、反トランプのネガティヴキャンペーン的作品、とおっしゃっているのは、そういう理由だと思います。制作者に 「誇張抜きでこの醜悪さが2人の実像だと思うから、この作品でフォーカスして描きたかった」と言われてしまったらそれまでですが、私自身は、だから「この作品には救いの部分が無い、、」と感じたのかな、と思います(世も末な感じしか残らない泣) 。
そこまで描くか、若き日のトランプを
テーマがぼやけてる、ような。
少し描写が足りないように感じる部分があり、結果としてメインテーマがぼやけているように思えました。
まず最序盤、ロイ・コーンの仕事ぶりについて。いつも裁判所などでは暴言を吐くばかりで最終的には脅迫で全部片を付けるというワンパターンなやり方でした。もちろん、ロイが悪辣な弁護士であることはこの物語の重要なピースではあるのですが、もう少しどうにかならなかったのかなあ、ロイの有能さの描かれ方が少し足りないのでは?と感じます。他には、ロイがなぜここまでトランプに目をかけたかという理由も欲しかったです。
中盤では、トランプが市長とケンカをして以降、しばらくロイが出てこなくなってしまったように覚えています。トランプがロイ・コーンから離れていくところをもう少し描いてもよかったのかなぁと思いました。これはトランプとトランプの兄とのシーンも同様で、なぜ兄が堕ちていったのかとか、そもそもの兄とトランプの関係性とかも、もう少し描写が欲しかったです。
独善的になっていくトランプも、内心の葛藤のような描写があまりなく、なんか変わっていったね、という域を出ないかなと思いました。例えば、経営面での行き詰まりや、家族との関係から、「強いトランプ」像を作り出さざるを得なかった、とかそういう描き方もできたのではないでしょうか。今のままだとただ傲慢な人格が勝手にできたように見えて、再終盤でのロイとの和解(?)などにどうつなげればいいのか少し難しいなと思います。
終盤に向けてロイ・コーンが再登場しますが、彼がなぜ落ちぶれていったか、という描写も物足りないかなと思いました。再登場したと思ったら病気なのか資金繰りなのかよれよれになっていて、もう少し説明が欲しかったです。ロイはトランプの他にもたくさん顧客はいたでしょうから、なんでああなったかはもう少し描写があってもいいと思います。もちろん訴訟がどうとか言っていましたけど。
最後のロイ・コーンとの死別のシーンはよかったかと思います。いろいろな受け取り方はあるかと思いますが、トランプはロイのアプレンティス(弟子)であり、ロイを切り捨てることは結局できなかった、ロイがAIDSだとわかって後に席を消毒するほどでも、一緒に食事をとろうとするほど彼のことを気にかけていたのではないか、と私は思いました。当時はHIVへの差別も今とは比べ物にならないほどすさまじかったでしょうしね。
ただ、カフスボタンがダイヤモンドかジルコニアかというのは、解釈に困っています。別荘に招待したり、そもそもカフスボタンを作ったりなど、トランプはこの時点で十分お金をかけていますし、トランプが吝嗇だったという描写もない。妻がロイへの復讐でそういったという解釈も可能でしょうが、トランプはロイにここまでお金も時間も使っているわけですから、そんなことを言われたってロイも一笑に付せそうなものです。大体ダイヤモンドより実業家が丸一日付き合ってくれるという時間のほうがよっぽど貴重なわけで、仮にジルコニアだとしてもショックを受けるほどかな?と思いました。
総じて、トランプのキャラクターやその「成り立ち」を表面的に描いた作品としてはそれなりに楽しめました。ただ、トランプ周りの人間関係を全部盛り込もうとしすぎたあまり不完全燃焼になっている部分があるようにも思えます。「アプレンティス」という題なのですから、ロイ・コーンとドナルド・トランプの二人の関係に焦点を当てたつくりにしてもよかったのではないか、と思いました。
トランプの裏表
ストーリーは、盛っている部分もかなりあるかと思うが、実話ベースの話しもあるにも拘わらず、米国でこういう作品が制作されて上映されるということに驚きを感じた。しかも下ネタも有りだから更にビックリ😱☀。日本だったら、首相をテーマにしたこのような映画は、忖度されて上映されないだろうね。(森繁久彌主演の小説吉田学校は、見応え有り)トランプ大統領の考え方は、弁護士ロイ・コーンの思想にかなり影響を受けたのではないかしら?
どのようにしてあの一方的な強さが作られていったのかを感じることが出来る作品
知られたくない怪物の自伝か?
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