アプレンティス ドナルド・トランプの創り方のレビュー・感想・評価
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今が旬の映画
ついこの間、日米首脳会談があったばかり。トランプは、「ありがたいこと」に日本に無理難題を突き付けてこなかった。
その彼の若き日の姿を再現しているのだが、のし上がるまでに彼もそれなりに泥水をすする生活をしていたのがわかって面白かった。
邦題サブタイトルに、「創り方」とあるとおり、彼がどうやって人格形成されていったのか、その一端もわかるだろう。
日本はアメリカに大敗しながら、戦後はかなり接近、一瞬でも経済的にその上に立つこともあった、と思う。
しかし、今も今後もそんなことはあり得ないだろう。
ますます、米国の属国化する。
その意味では、少なくとも今後4年近くは彼が生きている限り、付き合わねばならない。ドナルド・トランプの精神性を知るためにも、見ておいて損はない映画だ。
ただ、純粋に映画として評価するなら★2つの駄作に近いと思う。
主演の俳優は適役でよいが、妻役の女優はゴージャス感が薄く、セクシーさにも欠けて不適だったと思う。
表題に書いた通り、「旬」であることから★2つ分おまけしておく。
封切りから3週間以上たっているが、上映回数、館数が少ないこともあってか東京都心のシネコンはそこそこ7割近い入りであった。
肯定的な人も、否定的な人も、どうでもいい人も、鑑賞すれば納得してしまう映画
この映画は、トランプ大統領が過去に彼のメインフィールドである、不動産業界でどのように頭角を表してきたのか、のしあがってきたのかを描いている。
この「のしあがる」という表現をした時点で、すでにそこには、力強い「リーダーシップ」や「意志の強さ」を包摂していると同時に、どこかダーティでマネーパワーを使って他人を蹴落とし、我が道を突き進んでいく、危険な「毒」をも含んでいる。
トランプ大統領に対する是非が分かれる分岐点は、多くの場合このような理由からではないだろうか。この映画は、その「分岐点」をうまく表現している。つまり、否定派の人(実際に鑑賞するかは別として)やどうでもいい人は「あー、やっぱり、こうゆう人なんだ。」となるであろうし、肯定派の人は「聖人君子じゃあるまいし、綺麗ごとだけでは済まないのが資本主義だ。」と思うだろう。
2度目の大統領となった彼は大きな変革を行うとしている。
「CIA」や「FBI」、「FRB」、「USAID」の改革・解体、「不法移民の強制送還」、「連邦所得税の廃止」などなど・・・。
おおよそ、今の日本では到底考えられない、羨ましい程の規模であり、スピード感である。
長期に渡って社会に根差したシステムを根底から変えるには、まず最初に破壊しなければならないが、それには、「薬」は役に立たず、「毒を以て毒を制す」、「毒で解毒する」という荒療治する方法しかないのかもしれない。
そして、トランプ2.0が終わる頃、この映画を見た人たちが、「毒」はやっぱり「毒」だったと思うのか、「毒」は「薬」にもなる、と思うのか・・・・・。
アプレンティス ドナルド.トランプの作り方
フィクションとノンフィクションの狭間
ただのトランプに対するネガティブキャンペーンになっていないのが映画としての凄味がある。スピルバーグが完全に反トランプへのカウンターとしてペンタゴンペーパーズを制作。あれで一度は追い落とす一助になったかも知れないが、2025年あの時とアメリカは、そして世界は変わったのだ。再び返り咲いたのだ。
アメリカの政治機構が生み出す強者がどんな歪んだカタチ、キャピタリズムの権化かつキリスト教福音派を兼ね備えたモノが世界に君臨することができる。
その病理を映画的に抽出できたのは、故国イランの実情を問い、結果国を追われ、アメリカでフォーリナーとして俯瞰できる監督アリ・アッバシの手腕に脱帽。80年代数々の政治的な案件を含め、世の中を変えてきた弁護士ロイコーン。その中で見出し、その弟子apprenticeとして、大成させ、後に切り捨てられる、現大統領トランプの孤独の悲哀をフィクションとしては感じられるが、現実の世界はトランプが王になることによって、make America great again 名のもとに世界は混沌に導かれていくことはノンフィクションなのだ。
北米では大統領選前、日本では大統領選後なので観る時系によって評価が大きく変わるのはなかなかない楽しみ方なのでぜひ。
あ、セバスチャンスタンとジェレミーストロングは最高の演技でした
後味はホラー並み
ちょっと凄いの観たという感じ。
過去の人物伝だと客観的に観ることが出来るが、
本作は現在進行形の人物であり、まさに現実と地続き。
この4年間、何度も話題に出る映画ではないか。
今のタイミングで映画館で観られたのは本当に良かった
ロイコーンの帝王学である「勝者の3つのルール」もシンプルであるがゆえに
スッと人の心に入ってきて、何が大事なのか本当に分からなくなる。
人生に迷っている人は観ない方が良いかも。個人的には物議をかもした「ジョーカー」より
インパクトが大きいと思う。
役者ってすごいと思った。セバスチャン・スタン、段々今のトランプに見えてくる。
映画の余韻はホラー並み。今後の米国、経済等目先は良くなるかもしれないが、中長期的に見ればやっぱり不安の方が大きいなぁ。。。
ウインターソルジャーがトランプ、、!!
妖怪から怪物への伝承
現実世界でのトランプ大統領再任と映画公開が同時と言うすごいタイミングだけど、時節ネタだけではない非常に見応えのある作品で、2時間があっという間でした。不動産会社を経営するアクの強い父親とパイロットで颯爽とした兄に挟まれ、自信のなさそうな御曹司のトランプ青年が、辣腕弁護士ロイ・コーンの指南のもと成功していくのが前半のストーリーです。このロイ・コーンと言う男のキャラが強烈で、アグレッシブで冷酷な性格は上流社会の伏魔殿に巣食う妖怪のようです。ところが、中盤からトランプが自信と欲望を肥大化させ、身振り手振り、口調や目つき、体型まで変化していくにつれ、ダークサイドの師弟関係が逆転してくるのでさらに面白くなってきます。妖怪のような風貌のロイ・コーンがどんどん萎びていくのに、その妖気を吸収したトランプ青年が、師匠や親兄弟、家族まで貪欲に呑み込んでいく異形の怪物へと変貌していくのは圧巻です。監督のアリ・アッバシはイラン出身だけに、外国人の視点で冷徹に70年代から80年代の時代の熱気の中でのトランプ像を描く腕前は秀逸です。役者では、モノマネではなくトランプと一体化したかのようなセバスチャン・スタンの熱演が素晴らしかったです。マーベルに出ていた時,こんなにうまかったっけ?また、ロイ・コーン役のジェレミー・ストロングも、まさに妖気漂う怪演だけど、しっかりと主役を盛り立てる見事なバイプレイヤー振りでした。
「ドナルド・トランプの創り方」
...という副題にあたるものは実際のところ、この映画には描かれていません。
映画が描いている物語は、初めから巨大な野心だけは持っているが、他には何も持たない若いロクデナシ(Bastard)が、悪名高い悪徳弁護士をロールモデルと仰ぎ不動産業界のビジネスマンとしてのし上がっていくストーリーです。
明らかな児童虐待や洗脳的環境の生い立ち、もしくは著しい貧困下でもない限り、いわゆる民主主義国家において、人は(それが無意識か、意識的選択かの違いはあるにせよ)自らロールモデルを選び、自分の人生を形成していくものです。勿論、その過程や環境が恵まれたものかどうかについては考え方次第で、個人差も大きいですが。人格形成や人生の出来事、結果の全てを第三者の影響によると見なすのは、無責任かつ短絡的すぎる捉え方だと思います。
一部の解説記事などでは、この映画について、善良な若者が怪物に作り変えられていく過程を...といった論調で語られている印象ですが、実際主人公が善良であるところは最初から最後まで一つも描かれてはいません。基本的にこの映画には、徹頭徹尾ロクデナシしか登場せず、少なくとも日本の一般市民が共感できるところが一つもない、というのが妥当な印象かと思われます。
"勝ち・負け"や"損・得"が基本的な価値基準であるアメリカ合衆国においては、世の中の"ある部分"をフラットに、リアルに描いた秀作、ということになるかもしれませんが。それでも、この映画を見て清々しいとか、勇気をもらった、とかポジティブな感想を持つ人はいないでしょうね。なぜなら主人公が、とにかく一般的に云われる道徳とか倫理観を微塵も持ち合わせていないロクデナシ(Bastard)として描かれているから。同時に、(その人物、人生自体を肯定するかどうかは別として)絶対に諦めないしぶとさ、執念深さを終始一貫示していることに理解を示すアメリカ人は一定数いるかも知れませんね。
シーンの多くは主人公のプライベートな場面(師と仰いだ悪徳弁護士や夫人、親兄弟との密室)での会話ややり取りから構成されており、多くは憶測や脚色の域を出ないものだと思われます。(インタビューや自叙伝などで本人達に語られた事柄が根拠であれば別ですが、そこは未確認。これまた筆者の"憶測"に過ぎませんが。)
いずれにせよ(製作者の意図がどこにあったかとは無関係に)、"結果的"に、これは彼の半生を描いた伝記映画というよりは、明らかに反トランプ氏プロパガンダ映画として出来上がった印象です。
では、そのプロパガンダは成功しているかというと、恐らくそうではありません。なぜなら、親トランプ派は「こんなのはデタラメだらけのフェイク映画だ」と言うでしょうし、反トランプ派は「やっぱり思った通りのロクデナシ野郎じゃないか」と言うでしょうし、どちらでもない人にとっては「胸くその悪いつまらないモノを見せられた」となるからです。結果、少なくとも反トランプ氏プロパガンダとしては機能せず、この映画がもたらすものは、単に「分断の助長」でしかない、ということになります。
ちなみに、映画の良し悪し、好き嫌いとは無関係に、この作品は、描かれた当時のアメリカ合衆国や主人公を取り巻く世界を、見事に再現しているように見えます。撮影が、セットや衣装や小道具など、ディテールに拘って手間とお金をかけて非常に丁寧に行なわれたことに疑いの余地はありません。また、主演のセバスチャン・スタンさんをはじめ、出演者の演技はどれも見事な出来映えです。あの"ウインター・ソルジャー"が徐々に(我々の知っている)トランプ氏に近づいていく様子が見事に演じられていました。その点では、最初から最後まで見る者を引きつける完成度の高い映画であるといえます。
トランプの「成長」をメンターたる弁護士ロイ・コーンとの関係を軸に描く。
映画は主人公の「成長」を描くものだ。弱いヤツから強いヤツへ、嫌なヤツから良いヤツへ、その「過程」が共感、感情移入できる作品が「良い映画」と呼ばれる。
本作もトランプの「成長」を描く。
時間軸としては15〜20年ぐらいなのかな。
野心あふれる若者が、その野心、自尊心、エゴ、ワガママを巨大化させていく姿を描く。
トランプの姪(精神科医)の著書ではあの性格は、独裁者気質の父親の影響で形成された旨の分析だったが、本作でその父親の存在感は希薄で「目の上のたんこぶ」程度の扱い。
それより弁護士ロイ・コーンに焦点を当てている。
今後、「トランプ作品」は数多く作られるだろうが、その時はまた別の視点になるだろうが、本作が「ベンチマーク」になるのは確実。トランプ役のセバスチャン・スタンも同様。
トランプは市民からどう思われていたのだろう?公聴会のヤジやインタビューアーの態度(チヤホヤする)がイコール「市民目線」となるだろうが、大統領選立候補以降の「熱狂的な人気」の片鱗も見えない。これは今後の作品に期待しよう。
願わくば、
アダム・マッケイ監督版とか、
サシャ・バロン・コーエン脚本&主演版とか見てみたい。
彼らがトランプをどう「料理」するか。
資本主義が生んだ虚像
アプレンティス
自分の想像よりも、思いのほか早い段階でトランプの人生の表舞台から消えるロイ・コーン。
トランプが彼の傀儡のような存在になり下がるのかと思いきや、そうではなく、飼い犬に手を噛まれた形となった。
イラン人アリ・アッバシの視線はあくまで客観的。
随所に「トランプらしい」描写があり、うまい。
口説き途中で氷に滑って転んだり、ださい髪型を必死に直す姿など、かっこつけたいのにどこかかっこ悪くて、小物感が漂う。キッシンジャーなど政界のフィクサーのような凄みも感じず、大言壮語で金にものをいわす。要するに世間知らずの根っからのボンボンなんだな、と。
ロイ・コーンはなぜ彼に目をかけたのか。たまたまルックスがタイプだったのか、道化にするなら面白い素材だと思ったのか。
他人の言葉やアイデアや、価値観を自分に取り込み、自分の考えのように語るトランプ。
そんな彼が抜きんでた存在になれた理由は、結局のところ、これだという決定打はない。
若さと傲慢さと思い上がりに、親からの金と運…。そしてアメリカの資本主義というシステム。
シンプルな理想を語るがゆえに、そこが魅力ととらえる人もいるのかもしれない。
キャッチコピーの化け物という形容は仰々しくてあまり相応しくない。
高圧的な父親の教えを受け継ぎ、克己心はなく理念も信念もなく、虚像に虚飾を重ねて肥大化した人物。
ロイ・コーンの涙は、こんな薄っぺらな人間に目をかけた自分への哀れみ、自責の念からだろう。
ただ、本当にそれだけなのだろうか。本当のところ、彼のポピュリストでスマートでチャーミングな側面が、大統領に押し上げたのではないだろうか?という疑問が首をもたげる。
つかみかけたところで霧散するトランプ像。
結局、目を離せない存在なのは確かだ。
経済的に豊かになることは重要だBecoming Economically Prosperous is Important
原題は「The Apprentice」で見習いと言う意味。
世間を渡る術を知らなかった
若きトランプが、いかにして、
生き馬の目を抜く世間と渡り合っていくのか
を描いている。
反トランプの人からすれば、
【ほら見たことか、やっぱり酷い奴だ!】
になるんだろうな。
今のコンプライアンスからすれば、
出てくる有力者の数々は
とんでもないし、
あり得ない、だろう。
個人的な体験からすると、
1980年代から今世紀に至るまで、
SNSが発達するまでは、
世間はあんな感じだった。
今でもある意味変わっていないかもしれない。
(それは駆逐されつつあるが)
今から30年くらい前は、
大人たちはあれくらい荒々しかったし
ガチンコな感じだった。
その観点からこの映画を観た
と思ってくれれば幸いです。
若きトランプは、
野心家で、自分考えたアイデアで
生まれ育ったニューヨークを良くしよう!
良くしたい!と思っていた、と。
ただそのアイディアは、父親を始めとする
上の世代から、相手にもされていなかった。
そんな時、悪名高き弁護士ロイ・コーンと出会うのだ。
彼から学んだ世渡り術を
【真摯に学び?】、
夢を実現させて行く。
実際、彼のやったことで、
放置されていたマンハッタンに
投資を呼び込んだのは事実なのだ。
個人的にはこの映画を観て、
トランプさんは、
若い頃から一貫して変わっていないのかも
と思った。
自分のやれること、
その及ぶ範囲、
応援してくれる人を
経済回してみんなで豊かになろう
って言ってるだけな気がするのだ。
それらを実現するためなら、
交渉を厭わない。
つい先日、世界を驚かせ
物議を醸したアイディアも
そこに住む人たちを豊かにして
持続的に食べていけるように、
2度と争いの起こらない地にするために
本気で言っている気がしてならないのだ。
今の僕には彼を非難する人々の言動は
問題を解決に向けて1ミクロンも前進させない
【きれいごと】にしか聞こえない。
The original title is The Apprentice, meaning “trainee” or “learner.”
This film depicts how a young Trump, who was unfamiliar with the ways of the world, learned to navigate the ruthless and competitive society.
For those who are anti-Trump, this will likely be a confirmation of their views:
“See? I told you he was a terrible person!”
From today’s perspective on compliance, many of the powerful figures that appear in this story would be seen as outrageous and unacceptable.
Based on my personal experiences, I can say that from the 1980s to the early 2000s—before social media took off—the world operated in a similar way. In some ways, it may not have changed much even now, though such an approach is being gradually phased out.
About 30 years ago, adults were rougher, more direct, and engaged in serious, no-holds-barred interactions.
I hope you can watch this film from that perspective.
Young Trump was ambitious. He wanted to improve the New York he was born and raised in—he genuinely wanted to make it better.
However, his ideas were dismissed by the older generation, including his own father.
Then, he encountered the infamous lawyer Roy Cohn.
From Cohn, Trump learned the art of survival—earnestly?—and used those skills to turn his dreams into reality.
The fact remains that he succeeded in attracting investment to a neglected Manhattan.
Personally, after watching this film, I feel that Trump has remained consistent throughout his life.
He simply focuses on what he can do, the scope of his influence, and those who support him—trying to generate economic prosperity for everyone.
To achieve that, he is never afraid to negotiate.
Even the recent, controversial idea that shocked the world—I can’t help but feel that he is genuinely proposing it to ensure the prosperity and sustainability of the people living there, turning the area into a place where conflict will never arise again.
At this point, the criticisms against him sound like nothing more than hollow idealism—offering not even a micrometer of progress toward solving real problems.
見習いトランプの成長物語
映画の原題『THE APPRENTICE』は見習い、初心者という意味で、映画は若き日のドナルド・トランプがロイ・コーンの指導を仰ぎ、その哲学を学びながら大富豪にのし上がっていく軌跡を描いています。
脚本は元雑誌記者で過去にトランプへの取材経験もあるジャーナリストのガブリエル・シャーマン。彼は『ほとんどが事実に基づいて描いたものであり、なぜトランプがあのような人物になったのかを描きたかった』と語っています。
一方、トランプはSNSでこの映画について『嘘っぱちで品のない映画。安っぽくて攻撃的で反吐が出るほど悪意ある中傷だ。おそらく失敗するだろう』と批判しています。
どちらの主張が正しく、どこまでが事実で、どこまでが脚色なのかは分かりません。ですので、この映画はあくまで現実のトランプとは切り離して見るのがいいのかなと思います。
若き日のドナルド・トランプは繊細で、純粋で、どこか頼りなげな青年として描かれています。一方、この世界には勝者と敗者しかおらず、自分は絶対に成功して勝者になるという強い野心を抱いていました。
しかし、父が営む不動産業は経営難で財政は火の車。トランプは事業再建に向け幾度となく父に助言を送りますが、取り合ってもらえません。
そこでトランプが頼ったのがロイ・コーンで、政財界の実力者が集まる高級クラブでコーンと出会ったトランプは、トイレまで付きまとうなどして執拗に自身の顧問弁護士となるよう懇願します。
その情熱を見込み顧問弁護士を引き受けたコーンですが、彼は多くの顧客や企業から偽証や証人脅迫、証人買収、横領などで訴えられており、勝つためなら非合法含めどんな汚い手段も厭わない悪徳弁護士でした。それでも大統領の非公式顧問を務めたり、世界に名だたる大富豪を顧客に持つなど、その手腕は確か。
コーンはまずトランプに3つのルールを授けます。それは『攻撃、攻撃、攻撃』『絶対に非を認めるな。全否定しろ』『どれだけ劣勢でも勝利を主張し続けろ』という非常にシンプルなものです。さらには目的のためなら手段を選ばないコーンの手法も学んでいく。
良くも悪くも素直で純粋なトランプはこれを忠実に実行し、完全に自分のなかに取り込んでいきます。
若き日のトランプは常識も恥じらいもあり、厳しすぎる父親に遠慮しつつ、手柄を立てて認められたいと願う純朴な青年でしたが、コーンとの出会いを通じ、道徳心は消え失せ、まさに我が道を行く怪物が作り上げられていきます。
ただ、トランプは決してコーンの操り人形だったわけではなく、彼は彼なりの信念、哲学があり、そこにコーンの手法を取り入れることで自分に足りないピースを埋めた、というのが正しいかもしれません。
もともと若き日のトランプは並外れた行動力があり、あまり深く考えず自分が思い描いたゴールに向かって突き進んでいく猪突猛進タイプだったのですが、そうなると当然、様々な軋轢を生み、問題にぶちあたります。
そこで威力を発揮したのがコーンの指導で、ありとあらゆる手段を駆使して力技で強引に事業を推し進め、批判は一切認めず、どんな不利な裁判も非合法な手段でひっくり返していくのです。
たとえばニューヨークのビル建設に際しては、債権者への返済を拒み、労働者への報酬未払いも常態化し、さらには議員を脅迫することで税金免除を勝ち取るなど、コンプラ的には真っ黒なわけです。
一方でトランプは荒廃し犯罪が横行するニューヨークを蘇らせると豪語し、ホテルの買収や改築など大事業を次々と成功させてニューヨークを活気ある街へと蘇らせていきます。そして、人々はそんなトランプを熱狂的に支持する。
過程に問題があろうが、中身が真っ黒だろうが、体裁さえ整えれば誰もその中身など気にしせず、人々は成功者として崇め称えてくれる。このスキームを確立したトランプは勢いに乗り、次々と事業を拡大していきます。
かつて見習いだった男は金や名声と引き換えに道徳や人間性を失い、不動産王の地位を確立すると、かつての師とも決別し、我が道を行く怪物へと変貌します。
現在の日本のような漂白社会では絶対に通用しないやり方ですが、昔の米国は良くも悪くも成功者に対し、倫理的に問題のある人物でも許容されるルーズなところがあり、トランプのやり方がハマったのでしょう。
こうしてトランプの性格とコーンの教えがうまく噛み合い、事業を次々と成功させ、とんとん拍子に大富豪へとのし上がっていきます。やり方はどうであれ、これだけの財を築き、大統領にまで昇り詰めたのですから、世の中なにが正解か分からない。
一度決めたゴールに対する異常な執着心、なにがあっても一切ブレない信念、並外れた行動力、そして意外にも先見の明。目指す方向が正しければ、その過程がどれだけ真っ黒でも、問題山積でも一切気にしない。こんな常人離れした割り切りと振り切った性格こそがトランプの強みなのだろうなと映画を見て感じました。
個人的に、ほら吹きで単細胞のトランプがなぜ大統領にまでなれたのか、なぜあのような怪物に仕上がったのか、興味があって映画を見ていたのですが、事実かどうかは別としてなんだかいろいろ腑に落ちることも多くて楽しめました。
また、トランプは性的多様性を認めない立場ですが、それはコーンが同性愛者でエイズで亡くなったこととも関係があるのかなと思ったり、映画はそんな彼の政策に繋がるような逸話がいくつも出てきて興味深かったです。
トランプ氏のバックグラウンド拝見。
ドナルド・トランプ氏とロイ・コーン氏との出会いが
あって今の大統領トランプ氏へ多大なる影響を与えたのだなと
理解できた。彼の人間性、そして彼のスピーチ…
多様性を批判する政治的コメントもあるが、その奥底には
ロイ・コーンの死も無関係ではないのだろうと推察する。
現在進行形の大統領をモチーフに映画を製作するのは
とても大変で勇気のある試みだったと思うし政治的に
どこまで踏み込んで締めくくるのか興味深かったが
エンタメ作品として充分に楽しめた。
ドナルドトランプ役のセバスチャン・スタン氏
は背格好から歩き方まで完璧なほど特徴を捉えていたし
ロイ・コーン役のジェレミー・ストロング氏の演技力は圧巻であった
事も付け加えておきたい。
卑劣な手で成功を掴むことは珍しい話ではない
ロイ・コーンと出会う前のトランプ氏が、どんな人生だったのかは、ほぼ描写されてないので、気になりました。検索してみたら、姪っ子さん(兄の娘)が暴露本を出版していて、父親の教育方針が相当トランプ氏の人格に影響していることなど書いてあるらしいです。お兄さんは、普通の人だったんだろうな。
誰も幸せじゃないのに進み続ける未来
アプレンティスとは、弟子とか師弟とか見習いとかって意味らしい。
若いドナルド・トランプは成功を夢見つつ、良心があって受身な青年として描かれていた。
そんなドナルド・トランプを、ロイ・コーンが育てるが、やがてドナルドはロイが予想もしなかった怪物になるという話。
ドナルド・トランプとは、アメリカの超富裕層の傀儡であるって描き方なのかなーって思ってたけど、そうではなかった。そういう面もあるだろうけど、そこが主ではなく読めた。
ロイの勝利の三原則?(攻撃攻撃攻撃・非は認めない・勝利を主張し続ける)を実践し続けることによって、その成功体験から降りられなくなった。
でも悲しみも喜びもあまり感じていない様子で、ドナルドは全然幸せそうじゃない。
だけどそれを辞めない。
何とかの一つ覚え的に、自らハマった地獄の沼の中で、溺れていることに必死で気付かないふりをして、未来に進む。その未来が全然キラキラしてないのに。
ラスト付近で、ドナルドの自伝を書くために雇われたライターが、めちゃくちゃあきれてた感じのシーンがすごく面白く、恐ろしかった。
コーンは自分が作り出した怪物に、冷たく袖にされて世を去る。
彼も、同性愛者でありながら、ホモフォビアを隠さず「アメリカの男」という虚構を演じて、犯罪も犯しながら弁護士をやってきたけど、あのおとなしい青年がよもやここまで化けるとは思ってなかったのだろう。
最初っから、コーンが標榜する世界は民主主義ではないと思うけど、あれを民主主義と本気で思ってたのかなって思う。
ドナルド・トランプ役の人、後年になればなるほどすっごく似ててよかった。
2025年2月。ドナルド・トランプが2期目のアメリカ大統領に就任して十日余り経過した。
彼は正気を疑うような大統領令を出しまくってて、流れてくるニュースに気が滅入る。
情報が溢れすぎている時代、日々に生活に追われていたら、表面的で簡潔なメッセージしか頭が受け付けなくて、ドナルド・トランプの言うようなことがインプットされちゃうのもわからなくはない。敵を仕立てて、やり玉に挙げ攻撃することで、晴れる気分があるのもわかる。
程度に差はあれ、日本でも同じようなことが起きているから。
そこに良心の付け入る隙なんてあるんかい?もうやる気が起きねーよと、厭世的になっちゃうのが、相手の思うつぼなんだろうけど、やる気が起きねーよ。
なんなんこの世界、どこへ向かうんだろかね。
まず創作作品として見るべき(事実も含むだろうぐらいに)後半ネタバレ
今作は史実に基づいた伝記ドラマではない。 勿論、ある程度は事実を参考にはしているだろうが、特に後半は脚色・創作がかなり含まれていると感じる。
レビュー前に、これを読んで頂いた方に提案♪
政治に関する全て(書物・映画・ニュース・SNS・情報・コメント等)に触れる時は、その発信者が左派・右派にどちらに属しているかをチェックすべし♪ なにかを批判・逆に賞賛している場合は特に。 (もちろん中道的でどちらにも属さない場合も多々ある)
予告でトランプさんを「怪物」と呼んでいる事から、どうせ左派(反トランプ)のプロパガンダ作品だろうと、視聴前に監督をチェックした。
が、アッバシ監督は自身で映画コムに語っている様に、特に政治的思考はないようだ・・。
が、脚本家をチェックすると・・やっぱりだった!
このガブリエル・シャーマンという脚本家は、、NBCニュース(左派メディア)の寄稿者で、彼の奥さんはもっと左のニューヨーカー誌のファクトチェッカーをしていたらしい。
そんな左寄り作家がトランプさん(保守・右派)を賞賛する様な作品を書く訳がない・・。
欧米メディアが左派・右派どちらに属するかは、メディア・バイアス・チャートを見れば分かる♪(media-bias-chart で検索すると出ます)
(日本メディアは載ってないが、「産経新聞」以外は、TVも新聞もほとんど左)
トランプファンの私はどれどれ、どれ程トランプさんを批判した作品になっているか確かめてやろう・・的に鑑賞♪
ようやく作品内容^^;
えっ、意外と序盤から面白いじゃないか!
家賃を集金するシーンに、えっこんな下積みの様な事もしていたんだ♪
最年少で一流ラウンジクラブの会員になった時、古参メンバーに呼ばれ、おぼっちゃん扱いさる微笑ましいシーンに、笑いも出る.
その中心メンバーが、ロイ・コーンなる、辣腕弁護士だった。
その後、窮地に陥ったトランプが、そのクラブにいるコーンに助けも求めるのに、トイレまでくっついて行くシーンに感心した。
「本当にあなが必要なんです!」的に訴えるトランプは豪胆だが、実直で、その姿にマナーにうるさいコーンでさえ、耳を貸してしまう。
根回しする日本流ではなく、当たって砕けろのアメリカを感じた♪
そんな見入るシーも度々あり、特に負けそうになった裁判を一発でひっくり返す"裏技"をコーンから伝授されるシーンは、「ほ~~!」と声が出そうになったほど♪ まあこれがフィクションか事実かは判断出来ないが、脚本的には最高に巧い展開。
ビジネスに勝つ3箇条なども教わり、トランプはドンドン成長し、トランプタワーを無事完成させてからは、成功列伝となり、
前半1時間位は、没入出来て、あっとういう間♪
なんだ、良作じゃないか! その時点では★3.9~4.0でもいい位♪
自分の青い部分を描かれたから、トランプさんは上映を拒んだのか・・
ぐらいに甘い考えが浮かぶ・・
が、後半。 師であったコーンとは、対等以上の関係になり、徐々に態度も不遜に・・・
きたきた、やはりマイナスイメージの拡散が!
後半はまるでトランプさんが豹変したかのように、卑しい人物に描かれている。
そう、この作品は米では大事な大統領選の前に公開されている事にも、
その意味がある!
↓ ネタバレ
病いを押して僅かな事を頼みに来たコーンを、罵り、文字通り、恩を仇で返す。
落ちぶれた兄に僅かな金を与え、追い返す・・。
醜くなった容姿は金で補う・・。
親をも騙そうと・・
傲慢・厚顔・金欲・欺瞞・搾取 とあらゆる角度から、
トランプさんを悪しき者としての描写が続く。
この辺から、徐々にフィクションを感じて、当然見ていて面白くもない。
特にコーンへプレゼントしたダイヤに妻が、
「これは本物じゃないわ! ジルコニアよ」という台詞。
実は私は、宝石類も扱った事があり、ダイヤをぱっと見て、
本物か人工石か素人が判断出来ない事を知っている。
あのシーンは、すぐに創作だと認識し一気に冷めた・・。
(妻が嘘をついたのか、当初より知っていたのかは不明だが・)
と、まあ悪印象を引ききずってのエンディングは、
当然トランプさんにプラスにならない。
が、トランプさんは、ほぼ圧勝に近い形で勝利した。
敵の民主党が勝利した州は、投票に身分証を必要としない、
州のみだった。(これが意味するのは・・)
尚、この監督のインタビューで、「彼には数多くの重罪や不正行為、告発や問題がありました」と語っているが、この監督こそが、左派の脚本家らに、うまく言いくるめられてるのでは、と感じる・・。
youtube等で、良識ある日米の政治通の意見を知れば、皆、あの訴訟や裁判は、とにかくトランプさんを選挙戦に出させない為の、無理筋工作で、良識ある判事なら、却下して当然の事例ばかりだと・・・。
怪物の創り方
トランプが大統領に返り咲いた(恐ろしい)
このタイミングで観る意味。
とはいえ、ドナルド・トランプの物語と言うよりは
ロイ・コーンと言う怪物製造機についての
映画のように感じました。
ロイ役のジェレミー・ストロングの怪演は
見どころ満載じゃないでしょうか。
不気味でずる賢くて気味が悪い(褒めてます)
またそんな彼をまるで師と仰ぐ?若きドナルドが
徐々に師を越える化け物、怪物に変貌していく様を
見ていると吐き気がしそうなほど嫌いでした(笑)
これも作品としては褒めていますw
それにしても若かりし頃のドナルドさん
容姿をめちゃくちゃ気にしてたのね。
脂肪吸引も頭皮の手術も結果的には効果なかったねw
予告編で済んでね?
ニュースのみかたがわかる
英雄映画では無い
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