「このような趣旨の映画をこの時期に見られること自体に意義があるところ」アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
このような趣旨の映画をこの時期に見られること自体に意義があるところ
今年24本目(合計1,566本目/今月(2025年1月度)24本目)。
内容が特殊な映画で、まさに実際の(2度目の)就任式と重複していたところではありますが、それでも(どのような事情があろうとも)このような趣旨の映画が「大人の事情で」回避されることなく観ることができること、それ自体に思想良心の自由や表現の自由ほかがあらわれているのかな…といったところです。
やや人権から見て欠く配慮があったのがどうかな…といったところです。ただ、実質的にはある程度フィクションにしていても実史に基づくものであるはずだし、時代背景から見て無理に現在の人権感覚に合わせようとすると逆にヘンテコな状況になるので、そこはもう仕方がないのでは…と思います。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/反訴の持つ意味を理解するのが難しい)
一つの民事裁判の進行中に相手を訴え返すことをいいますが(民訴法146条以下)、日本では「著しく裁判を遅延させることがないこと」という要件があるほか、二重起訴の禁止の趣旨ほかから抑制されているので、実際に見聞きすることは多いですが、それほど登場する語ではありません(かつ、人事訴訟や手形訴訟のように明確に反訴を禁止するものもあるので、日本ではそれほど見ない)。
ただ、アメリカのように別訴で訴えることを禁止し、反訴できる場合は反訴を強制する法体系もあり(反訴強制主義)、ここは日本とアメリカとでは微妙に解釈が違います。このあたりを理解していないと一部のシーンは詰むのかな、といったところです。
(減点0.2/現在の人権感覚に対し配慮がやや足りない)
特に免疫障害やミゼットプロレスに関するところで、その当時はそれでよかったのでしょうが(実際に免疫障害については日本でも解明されるのが遅れ、当事者が名乗り出て、また実際に国会議員になってそうした福祉面の法律が整備されるなどしたのは周知の事実。最近だといわゆる強制不妊手術の最高裁判例等、現在の人権感覚に追いつこうというのは日本ではまだまだ現在進行形)、ちょっとこのあたり、もう少し配慮が欲しかったところです(免疫障害についてあらぬ誤解を生むことになる。映画内で登場するビル建設工事のデモのシーンにも登場するが、ビル建設(換言すれば、体力仕事等)等で感染するものではない)。
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