「明日就任するのは本当にこの人?」アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 くまくまさんの映画レビュー(感想・評価)
明日就任するのは本当にこの人?
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大体の悪徳弁護士ものは、倫理的にどうなの?とか、違法すれすれ!というものだが、ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)は完全に違法。
それでも、挙げられないのは、声を上げれば自らも破滅してしまうという人間の弱みをがっちり掴んでいる「勝者」だからなのか。ウツボのような澱んで微動だにしない瞳が恐ろしい。
そんなコーンに助けを求めたトランプ(セバスチャン・スタン)は、ウツボに飲み込まれて消化されてしまうのかと思ったら、大き過ぎてウツボがゾウの形に変形していく。
水をちびちび飲みジジババ相手に集金していた冴えないトランプが徐々に自信をつけていくところは応援したくなるような部分もあったが、増長し過ぎた彼は人間として醜悪極まりない。ラスト近くの手術はあえてグロテスクな描写が、フランケンシュタインのような怪物を作っているようにも見えた。
彼が超大国の主となるこれからの4年間、日本も相当強く出ないと滅茶苦茶にされてしまう。それにしても、次期大統領になろうという人を題材に日和らず忖度せず、よくこういう映画を作れるな、とアメリカの表現者たちのバイタリティは本当に尊敬に値する。
それにしても、コーンはどうしてあんなに力をなくしてしまったのかが分からず。年と病気が原因としても、愛人1人良い施設に入れられないなんて、お金は使い果たしちゃったの??
終わりがあっさりしすぎて、もっと見たかったので少し物足りなかったけれど、全体として怖さとストーリーがしっかりしており、見応えあり。ジェレミー・ストロングとセバスチャン・スタンの演技も素晴らしかった。
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