「不思議な映画」動物界 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な映画
近未来・・・と言ってもほとんど現在、
人の中に、動物に変化する者が現れて、
保護するか?
共存するか?
人間たちも迷っているような世界。
料理人のフランソワは妻が動物化して、
意思の疎通が難しい中、
転地療養を勧められて、
南仏へ息子のエミールと共に引っ越しをする。
ところが妻の乗ったバスが事故で湖に落ちて
妻は行方不明になってしまう。
そんな中、
息子のエミールにも動物化の兆候が現れてくる。
「猿の惑星」とも違う。
「ゾンビ化」とも違う。
「奇形や突然変異」がやや近い気もする。
それは「進化」ではない。
「異端」に近いのだろう。
(と、いうより疫病なのかも?)
森、林、そして沼、
新生物(と、呼ばれている)は水辺を好むようだ。
エミールも夜の彷徨や、
そしてオオカミのように大きく遠吠えをする。
鳥化した青年フィクスと知り合ったエミールは、
言葉を失っていくフィクスをじっと抱きしめる。
動物界の集団と組織化は難しいようだ。
リーダーもいない。
アイデアが新鮮。
ホラーというよりファンタジーか?
息子のエミールを演じたポール・キルシュの繊細な眼差しと
演技が光る。
動物化する自分に戸惑い、恐怖し、
どうすることも出来ず野生化してしまう自分。
爪が伸び、背骨が突起してくる。
その息子を守ろうとする父親役のロマン・デュラスも
愛情深く力強い。
CGが最小限なのも不思議なリアルを感じさせる。
羽の生えた鳥人間も、
翼が椰子の木の葉っぱみたいで、とてもユニークだ。
木に登るシーンや、
空を飛ぶシーンはVFXだが、手作り感があり
素朴で微笑ましい。
暗い密林や熱帯雨林のような《闇》
獣たちの《遠吠え》
父親フランソワの決断は如何に?
アイデアが新鮮だった。