「おい、ヒト、なにしてる?」動物界 オプンチアさんの映画レビュー(感想・評価)
おい、ヒト、なにしてる?
世に変身譚は数々あれど、こちらは少し異色のSF。だが設定はかなり甘い。突然変異の奇病が流行し、人々がいろんな動物(フツーは一種類だが)に獣化してしまうという近未来を描く。しかし当局の対策は、その新生物を捕獲し施設に隔離するだけというゆるいもの………
巨大な毒虫に変身した主人公が家族に迫害され、その父親が投げつけたリンゴに当たって死んでしまうのはカフカの小説だが、映画の父親は既に獣となった妻を探し続け、獣化しつつある息子を必死に守り、その不条理と疎外の構図に抗おうとする
そして、フランス映画のお約束“エスプリ”とやらが注入される。決してエンタメに振り切らず、問題提起や学びを盛り込まないと気が済まないのが“彼等”の矜持。だから、米国製エンタメのように観終わって、ああ面白かった、にならず何かほろ苦さが残る。
それでも、獣化しつつある息子の視点から、フツーの人間達を意識的に見させるカメラ撮りは興味深い。ラストで『生きろ!』と叫んで息子を逃がす父親が切なく、奇声を上げながら、森を遁走する息子の姿も胸に刺さる。
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luna33さんのコメント
2024年11月11日
>ラストで『生きろ!』と叫んで息子を逃がす父親が切なく、奇声を上げながら、森を遁走する息子の姿も胸に刺さる。
ホントそれですよね。あのラストはたまらない気持ちになりました。
もしアメリカ映画だったら観なかったかも(笑)