「強烈な映画で、名前を呼ばれると絶頂できる人なら共感できるかもしれない」アンダー・ユア・ベッド Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
強烈な映画で、名前を呼ばれると絶頂できる人なら共感できるかもしれない
2024.6.4 字幕 アップリンク京都
2023年の韓国映画(99分、R18+)
原作は大石圭の同名小説
恋焦がれる女性を監視する男を描いたスリラー映画
監督&脚本はSABU
原題は『언더 유어 베드』で「あなたのベッドの下で」という意味
物語は、閑静な住宅街の立派な邸宅にて過ごす、専業主婦のイェウン(イ・ユンウ)が描かれて始まる
彼女は暴力的な夫ヒョンオ(シン・スハン、幼少期:ホン・ソウ)から日常的に暴力と暴力的なセックスに苛まれていた
彼女の父が危篤になっても帰省を許さず、何かあるとすぐに蹴り付けた
映画は、この夫婦の様子を24時間監視している男ジフン(イ・ジフン)を描き、彼が大学時代に彼女にだけ名前を呼ばれたことで執着している様子を描いていく
彼は彼女が住む街に観賞魚店を開き、彼女の来店を待っていた
街角で再会した彼女は、あの時のような美しさはなく、ただ香りだけは変わらなかった
ジフンは来客した彼女のために観賞用の水槽とネオングッピーを提供し、「餌だけはウチで買ってください」とお願いすることになった
そして、水槽の搬入の際に電子ロックの暗証番号を覚え、その後留守の時に侵入し、多数の監視カメラと盗聴器を仕掛け、さらに彼女のスマホにも盗聴器を仕込んだ
日本でも映画化された作品で、今回は韓国人キャスト&ロケによって、日本人監督のSABUが手掛けている
韓国映画で「セックスによるR18+」というのは珍しい印象があり、かなり激しいセックス描写が多用されている
暴力描写も容赦なく、殴る蹴る、首を絞めるなどの直接的なものが多い
物語は、自分の名前を呼んでくれた女性に固執し、彼女が「殺して」と言うまで何もしない男を描いていて、彼の心情を理解するのは難しい
夫は「暴力を共同作品」と捉えていて、ジフン自身もそれに共感している部分があるように思う
自分のできないことをしてくれる男を崇拝しているように思えるものの、彼女が「この世界から抜け出したい」と考えるきっかけを与えることになり、それがラストの惨劇へと繋がっていた
殺し切れなかったことでイェウンにはさらなる悲劇が待っているのだが、逮捕された彼は何をすることもできず、視ることもできない
何がしたいのかわからない主人公で、共感性はゼロのまま退場しているのが何とも言えないところだろうか
ともかくセックス&バイオレンス好きな人には良いと思うが、かなりキツイ内容なので、女性は避けた方が無難なように思えた
いずれにせよ、リメイク元をほとんど覚えていないのだが、見比べる意味はあまりないように思える
共同作品だと思っていたのは夫だけで、父親の医療費などを頼りにしていた実情から耐えてきた部分があったのだが、いずれは破綻していた関係のように思える
同じ名前のジフン(キム・スオ)と言う不気味な男が登場し、彼は勤務先の社長夫人を殺してしまうのだが、「彼になっていたかもしれない」と言うモノローグも意味不明に思えた
名前を忘れられないことに執着し、それが叶えばOKという感じになっているのだが、それに共感できる人は皆無のように思える
忘れてほしくない人には覚えられると思うが、せめてその先の未来を感じられるような結末であれば良かったのになあと感じた