「夢を諦めたことがあるひとへ」ブルーピリオド rieさんの映画レビュー(感想・評価)
夢を諦めたことがあるひとへ
夢を追いかけたことがあるひと、諦めたことがあるひとにとって、どうしようもなく突き刺さる映画だと思う。
私は夢をここまで突き詰めただろうか。それができなかったから、叶えられなかったのではないか、と自分に問うてしまう。でも、突き詰めても叶えられなかったひともいるというシビアな現実も描かれる。
その夢では食えないから、堅気でないから、諦めろ、やめろ、という大人も、みっともないという理由で言うひと(おそらく龍二の父親)もいる一方で、相手のことを思って言うひと(八虎の母親)もいる、ということは、大人になってしまうとわかる。本当に才能が、覚悟があるか、見極めるのは難しい。そして才能も覚悟もあっても幸せになれるかわからない茨の道だと分かっていても、背中を押せるだろうか、自分なら。
ぐるぐると頭の片隅で考えながら観たけれど、観終わって思うことは、夢を叶えるって本当にすごいことだ、ということ。努力と才能と、お金と、運と人の縁。いろんなものが噛み合ってやっと叶う、ことがある。そういう奇跡なのだと感じる。
夢を諦めたことがある自分にとっては、その奇跡は眩しくて、少し苦い。でもこの映画はさりげなく、追いかけたことは無駄ではない、とも伝えてくれる。
原作は読んでいないけれど、役者さんも皆素晴らしかったと思う。龍二の女装や振る舞いが、なんら違和感がなかったり。
原作も読もう、と思う、とても素敵な映画だった。
コメントする