「究極のSDGsなのかも」うんこと死体の復権 りあのさんの映画レビュー(感想・評価)
究極のSDGsなのかも
アフリカで人類が誕生し、南米最南端まで拡散した5万キロを、動力を使わずに逆ルートでたどる旅、グレートジャーニー、を40代で始め、10年をかけて踏破した探検家・関野吉晴の初監督作品。
アマゾンの奥地で自然と共に生きるマチゲンガ族と半世紀以上にわたって交流をもってきた彼は、人が自然とどう共存していくべきかを常に考えていた。そして2015年、地球で人類が生き続けるための「地球永住計画」というプロジェクトをスタートさせた。
そのプロジェクトで、野外排泄にこだわり、糞土師と名乗る写真家の伊沢正名、排泄物から生き物と自然のリンク考察する生態学者の高槻成紀、そして死体を食べる生き物たちを観察する絵本作家の舘野鴻と知り合った。彼らとの活動を通して、不潔なもの、として扱われがちな生き物の排泄物や死体を見つめることになった関野は、うんこと死体が循環の輪をつないでいることを知ることになる、というドキュメンタリー作品。
冒頭からうんこがカラーのどアップでスクリーンに映され、それにハエやフンを餌とする昆虫、そしてミミズなどが集まって来る。こんな作品初めて観た。
そして、そのうんちに名前と年月日を書いた札を刺し、1ヶ月位して再び観察し、その土を食べ、感想を述べあう、なんて活動に驚愕した。
持続可能な循環型社会、だと思った。
開発、は有るのかどうかわからないが、SDGsだよね。
ナイフも持たずに、石器で狩りをしたり、火を起こして捕まえた動物を焼き、かぶりつく。
得るものも有るとは思うが・・・絶句だった。
しかし、考えてみれば、こういう生活を昔はしていたのだし、いざとなれば、こうやってでも生きていける、という経験、自信、は素晴らしいことだと思う。
映像の中で貴重な体験をさせてもらった、という満足感の高い作品だった。