劇場公開日 2024年8月3日

「ホントのSDGsとは」うんこと死体の復権 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ホントのSDGsとは

2024年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

現代社会では事実上禁忌とされている「うんこ」と「死体」に焦点を当てた異臭作、じゃなくて異色作でした。映画の中で死体が出て来るのは、(勿論創作という前提ですが)良くあることですが、うんこが出て来ることは稀で、記憶にあるのは「せかいのおきく」くらいでしょうか。同作はおわい屋の話だったので大量のうんこが出て来ましたが、殆どが白黒で撮影されていました。一方本作は、カラーで放映されており、しかも本物のうんこが多数出て来る訳で、あらゆる点で唯一無二の作品だと断言することが出来ると思います。

で、こんな作品を何故作ったのかという誰もが思う疑問は、冒頭の関野監督のナレーションで説明がなされます。曰く、循環型社会とは何かというものを探求するというもので、それはそれで納得の行くものでした。作品を観て改めて思ったのは、排泄物にしても死体にしても、本作で紹介されたハエやコガネムシ、ミミズのような昆虫が食べることで栄養分の高い土に分解され、それが植物の養分になって草木が繁茂する。植物は二酸化炭素を吸収し酸素を生み出すとともに、それを動物が食べ、その動物の排泄物や死体がまた昆虫たちによって分解される。こうした循環は、太古の昔から繰り返し繰り返し行われており、仮にこれが行われていなければ、地球上は排泄物と死体の山になっていたことは間違いのないところだと確信したところでした。

そして人類と言うのは、この循環から外れた存在であり、それ故に繁栄を勝ち取ったと言えるものの、それが行き過ぎた結果が現在の地球温暖化を超えた地球沸騰化(by グテーレス事務総長)。そのため、世間では”SDGs”が流行しているものの、資本主義に組み込まれた”SDGs”が沸騰化を鎮静させる決定打になるかは甚だ疑問であり、そうしたもののカウンターとしての本作の存在意義は、非常に重いのではないかと感じました。

そんな訳で、本作の評価は★4とします。

鶏